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精液検査の結果が急激に悪化。原因として考えられるのは?

コラム 不妊治療

精液検査の結果が急激に悪化。原因として考えられるのは?

精液検査の結果が急激に悪化。原因として考えられるのは?

2018.8.30

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※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。





Chiemiさん(31歳)からの相談


▶短期間で悪化した精液検査の結果


昨年11月に男性不妊がわかり、不妊治療中です。最初の精液検査は私の通う婦人科で、量0.8ml、数900万/ml、運動率22%でした。この時からメチコバール®、ユベラN®、補中益気湯を処方され服用しました。3週間後に詳しい検査のため泌尿器科へ行き、量1.6ml、数4200万/ml、運動率32%で血液検査も問題なく、タイミング法でしばらく様子を見ることに。しかし3回のタイミングでも妊娠せず、今年から人工授精を始めました。人工授精1回目は、量0.2ml、数100万/ml、運動率10%(洗浄後は数200万/ml、運動率5%)、人工授精2回目は、量0.5ml、数20万/ml、運動率10%(洗浄後は数20万/ml、運動率10%)と顕微授精レベルの結果となりました。短期間での急激な悪化の原因は何でしょうか。処方薬が合わなかったのか、市販の亜鉛サプリがだめだったのでしょうか。






Doctor’s advice


●原因としては、喫煙、飲酒、糖尿病などが考えられ、ストレスや疲れも大きく影響する。
●このままの精液所見が続くようであれば、体外受精も視野に入れた不妊治療を。



 


お話を伺った先生のご紹介

江夏 徳寿 先生(英ウィメンズクリニック)


医学博士(神戸大学)。日本泌尿器科学会専門医、指導医。日本生殖医学会生殖医療専門医。2011年より神戸大学医学部人泌尿器科 医員、2016年より神戸大学医学部腎泌尿器科助手。2016年4月より英ウィメンズクリニック男性不妊外来を担当。2018年4月より英ウィメンズクリニック男性診療部部長、研究部副部長に就任。

≫ 英ウィメンズクリニック

薬の処方後3週間の結果は問題がなかったものの、人工授精を始めてから数・運動率とも急激に結果が悪くなっています。


精液所見は変動しやすいのであまり一喜一憂はしないほうがいいのですが、この方の結果は急激な右肩下がりなので気になるところです。通常、結果が悪くなる方の多くは精子濃度や運動率の問題ですが、精液量まで減ってしまうケースはなかなか見られません。


メチコバールR、ユベラNR、補中益気湯は、どのような効果がありますか。


メチコバールR、ユベラRはビタミン薬で、精子のDNA構成を助ける、酸化ストレスを抑えるという効果を見込んで出しています。補中益気湯もよく男性不妊に使われる漢方です。これらの薬は、患者さんが積極的に協力しづらい背景もありランダム化比較試験をしにくいため、エビデンスレベルとしてはそこまで高くはありません。そのような事情もあって効く人、効かない人にばらつきが見られます。亜鉛サプリは一般的には精液量を増やす効果があるといわれていますが、液量が増えていないので効いているかどうかは不明です。


いったん3週間後は上がりましたよね。


これが薬の効果だとは言い切れないのです。精子は精巣細胞から精子になるまで74日ぐらいかかるため、精巣の中の環境がよくなったとしてもそこから2カ月ぐらい経たないと本当の効果はわからないと言われています。飲んで3週間後にいったんよくなったというのは偶然かもしれません。


短期間での急激な悪化の原因について、考えられることを教えていただけますか。


原因としては、糖尿病、喫煙、飲酒、が考えられるほか、急激な変化の原因として多いのはストレスや疲れです。不妊治療自体がストレスになっていないかをご主人に一度聞いていただくのも必要かなと思います。
あとは禁欲期間(射精をしない期間)がどれぐらいあるかというのも大事なところです。特に精子の濃度が低い方は、禁欲期間は中一日がいいといわれています。精子の濃度が下がると精子をためるために射精の間隔を開けようと考えられる方がいらっしゃいますが、そうすると逆に精子の運動率などが下がってしまう原因になります。
また、育毛剤の使用も精子に悪影響を与えることがあるため注意が必要です。育毛剤は脱毛の原因となる男性ホルモンの活性をブロックしますが、男性ホルモンは精子形成にも重要な役割を果たすため影響を与えてしまうのです。


後の方針やアドバイスをお願いします。


実際にお話を聞いてみないとわからないところはありますが、薬を変えるという選択肢はあると思います。血液検査なども問題ないということですが、一般的にはまず精索静脈瘤などがないかどうかをチェックし、薬に関しては男性ホルモンの値が下がっていればそれを補う薬を使用します。メチコバールR、ユベラR、ビタミンB12、ビタミンEになりますが、もっと抗酸化作用の強いビタミンサプリに替えることもあります。
不妊治療に関しては、この精液所見が続くのであれば、体外受精へ踏み切るかどうかを考えざるを得ないと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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