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卵胞が1つしか育たず、採れても変性卵ばかり。いい卵胞を育てる方法は?

コラム 不妊治療

卵胞が1つしか育たず、採れても変性卵ばかり。いい卵胞を育てる方法は?

採卵2回でそれぞれ卵子が1個しか採れず、それも変性卵…。
どうしたらいい卵胞がきちんと育つようになるのか、
秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生に伺いました。

2018.9.5

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採卵2回でそれぞれ卵子が1個しか採れず、それも変性卵…。
どうしたらいい卵胞がきちんと育つようになるのか、
秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生に伺いました。


 


※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。





エムさん(43歳)からの相談


採卵を2回ほどしました。一度目はクロミッド®を6日とゴナールエフ®皮下注用150を3回で卵胞は1つしか育たず、その1つを採卵してみたら変性卵でした。その次の生理がきてフェリング®300、セトロタイド®、フェリング®450、ガニレスト®、フェリング®300、ガニレスト®とクロミッド®を6日。やはり卵胞は1つしか育たず、採卵をすると変性卵でした。今は鍼治療に通い、大量のサプリメントを飲み、病院からDHEAをもらい1錠ずつ服用。どちらも3ヵ月目です。今回の周期は採卵をやめました。きちんとした卵胞を育てるための治療をどこに受けに行けばよいのでしょうか。教えてください。


●これまでの治療データ


【検査・治療歴】ブライダル検査、子宮卵管造影検査。AMH(抗ミュラー管ホルモン)値は0.06ng/ml、生理3日目のFSH値は15mlU/ml。
【不妊の原因となる病名】卵子の老化
【現在の治療方針】病院ではDHEAを1錠のみ。採卵の時はクロミッド®とフェリング®とガニレスト®を使用。ほかに鍼治療をしたり、各種ビタミン等のサプリメントを服用。
【精子データ】量、運動量、形、すべて普通で問題ないとのこと。






Doctor’s advice


●年齢が高いと変性卵も増加傾向に。
●遅延法、自然周期採卵などの選択も。
●サプリや鍼も続けて後悔のない治療を。




お話を伺った先生のご紹介

秋山 芳晃 先生(秋山レディースクリニック)


東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

≫ 秋山レディースクリニック

エムさんは採卵数が少なく、採れても変性卵ということですが。


この方は卵巣の予備能を表すといわれるAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値がかなり低く、生理中のFSH値も高いですね。原始卵胞が減ってきていて、その質も低下しているという状態。それはやはり、年齢要因が大きいといえるでしょう。そのようなことから考えると、発育卵胞数が少なかったり、変性卵が多く含まれるのはある程度仕方のないことかもしれません。


変性卵とはどのような状態なのですか。


変性卵は細胞質が壊れてしまっている卵子です。年齢が高くなってくると変性が起こりやすいとされていますが、生活習慣やストレス、不規則な生活、体質的なことなどから若い方でも起こることがあります。
また、毎周期起こるとは限りません。まったく同じ排卵誘発法で採卵をしたのに周期によって変性卵が起こったり、起こらなかったりというケースも見られます。
変性卵になってしまうのは珍しいことではなく、1、2回起こったから妊娠できないというわけではありません。最終的にいくつか卵子が採れて、その中に変性していない卵子があれば治療は可能なわけですから。この方のように1個しか採れなくて変性卵だった場合、その周期は治療ができませんが、もう少し採れる数を増やしていく、あるいは何回か採卵を重ねていけば正常な卵子が出てくる可能性はあると思います。


卵胞をきちんと育てていくためにはどうすればいいのでしょうか。


医療的に何かをするとしたら、卵巣の刺激法を変える、もしくはまったく刺激をしないで自然な形でトライしてみるという選択肢もあるでしょう。
採れる卵子が少ない場合、最近はGnRHアンタゴニストという薬を使った遅延法というやり方もあります。卵胞にはいろいろな発育段階のものがあるので、それを少しずつ足並みを揃えて育ててあげると、数が増えるというデータがあります。
GnRHアンタゴニストは、排卵の直前に引き金が引かれないように抑える薬。それを生理周期の最初から使い始め、特定の卵胞が十分に大きくならないようにホルモンの分泌を抑えながら、複数個の卵胞発育を待ってから刺激を開始する、というやり方です。
当院では最近この遅延法を始めたので、まだ多くのデータは集まっていません。しかしエムさんと同年代で2回続けて卵胞が育たなくて採卵がキャンセルになった方が、今、採卵できそうな状態にまできています。誰にでも確実に効果があるとは言いきれませんが、うまくいけばこの遅延法で、採卵までいく複数の卵胞を育てられるかもしれません。
もう一つはまったく刺激をしないという選択です。エムさんは特に2回目の採卵でたくさん排卵誘発剤を使っていますね。AMH値が0・06 ng/mlと低いので、刺激をしても採れる卵子の数にはどうしても限界があると思います。逆に強い刺激を続けていくことで、卵巣をさらにくたびれさせてしまう可能性があるかもしれません。
それよりも自然周期で採卵を行う。一度に採れる数は少ないけれど、何回かトライしていっていい卵子が出てくるのを待つという選択もあるかと思います。
年齢が高く、卵巣機能が落ちてきていますが、まだ卵子が採れているので諦めるのは早い。しかし、さらに刺激を加えても飛躍的に卵子の数が増えることはないでしょう。少ないなりにどうするか考えたほうがいいと思います。今のうちに集中して治療を行うのをおすすめします。
「どこに治療を受けにいけばいいか」というご質問ですが、自然周期の場合は排卵を抑えられないので、365日採卵に対応している施設でないと難しいかもしれません。今、治療に行き詰まっているようでしたら、一度、自然周期から刺激法まで幅広い治療法を選択できる施設に行って相談されてみてもいいのではないでしょうか。


卵子がまったく採れない、もしくは何をしても少数しか採れないという方に対して、新しい治療は出てきていないのですか?


近年、卵巣機能が著しく低下した早発卵巣不全の方に対して、IVA(原始卵胞体外活性化法)という治療法が開発され、一部の施設で行われています。これは腹腔鏡下で卵巣の一部の組織を採取し、体外で発育前の原始卵胞を活性化してまた体内に戻し、そこから卵子を採るという方法です。
まだ施行例が少ないので、評価については何とも言えない段階です。ただ受ける方が増え、効果が明らかに認められれば、今後、治療の選択肢の一つになってくるかもしれません。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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