HOME > 不妊治療 > その他 > 【不妊】卵胞のトラブルが起きる原因と対策
HOME > 不妊治療 > その他 > 【不妊】卵胞のトラブルが起きる原因と対策

【不妊】卵胞のトラブルが起きる原因と対策

まとめ 不妊治療

【不妊】卵胞のトラブルが起きる原因と対策

卵子のもととなる卵胞が育たない、正常な卵子へと成熟しないなどといった事態が起きる理由にはどんなものがあるのでしょうか?

2018.9.6

あとで読む

不妊治療に取り組むなかでステップアップしていくと、卵胞(卵子のもととなる細胞)の成熟とタイミングを合わせて行う治療が増えてきます。
そうなると、卵胞が想定どおりに成長しない、あるいは育ちすぎてしまう、など、これまでわからなかったトラブルが目で見えるようになり、心配になってくる方も多いようです。

卵胞にかかわるトラブルがなぜ起こるのか、そして治療のうえでできる対策についての記事をご紹介します。


卵胞が育たないのはなぜ?


不妊治療のために婦人科を受診してはじめて、卵胞が正常な卵子へと成熟しないこともあると知って驚いた方もいるのではないでしょうか。

卵胞が正常に育たないのにはさまざまな原因があるようですが、そのなかの2つをご紹介します。

“不妊原因の一つに排卵障害がありますが、そのなかでも多く見られるのが「LUF」と「PCOS」です。いずれも卵胞が正常に育たず、妊娠の大きな障害となります。
当院でも「なかなか妊娠に至らない」といって来られた方を調べると、LUFだったというケースが多いですね。
LUFとは黄体化未破裂卵胞のこと。通常、LHサージが起こってからおよそ36時間後に排卵します。成長した卵胞が破裂して卵巣の外に排出された卵子は、卵管を通って精子と受精します。ところがLUFの場合、何らかの原因で成熟卵胞が破裂せず、排卵をしないまま黄体化してしまうのです。排卵をしていないので、当然、その周期は妊娠することができません。
LUFは子宮内膜症、腹部の手術やクラミジア感染などによる骨盤内の癒着が関連しているといわれることもあるようです。しかし、はっきりした原因はわかっていません。年齢が高い方でも若い方でもLUFを認めます。周期によって起こる時もあれば、まったく起こらない時もあります。正常な方でも年数回はLUFが生じるとされていますが、頻繁なら不妊につながりますから、何かしらの対策が必要になってくるでしょう。  症状がないのでご自身でLUFを自覚することはできません。妊活をしていてもなかなか妊娠しないという方は一度外来を受診し、1周期は超音波で診て、排卵後に卵胞がちゃんと潰れているかどうか、排卵しなかった卵胞が残っていないかを確認してもらうといいでしょう。
LUFは原因がはっきりわからないので、予防することは難しいと思います。ですからなるべく多く卵胞を育てて、LUFになる卵胞が出現する確率を減らすことが一番なのでは。”

“PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は卵巣の中に10mm前後の小さな卵胞がたくさんできてしまい、排卵が起きにくくなってしまう状態です。排卵障害を引き起こす原因の7割を占めるといわれています。日本人では全女性の7~8%程度、WHOの統計だと15%程度にPCOSを認めると報告されています。
PCOSになる原因はまだはっきり解明されていませんが、現在のところ、ホルモンの分泌バランスの乱れやインスリン抵抗性が影響しているのではないかと考えられています。

診断基準としては
●月経の異常や無月経
●多嚢胞性卵巣
●血中男性ホルモンの高値または、
LH基礎値が高値でFSH基礎値が正常

などがあります。血中のホルモン検査や卵巣の超音波検査を受けることで診断できます。また、PCOSの人はAMH(抗ミュラー管ホルモン)が高齢の方でも高値のことが多く、10 ng/ml以上の場合は卵巣刺激をする際に注意が必要です。”



“PCOSの方では、体外受精の時にロング法やショート法などを実施するとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になる危険があります。AMHが高値であれば高刺激は避けたほうがいいかもしれません。”


■きちんと排卵に至る卵胞を育てる方法は?



卵胞が変性卵になってしまう理由は?


次に、卵胞が正常な卵子に成長しないというケースについても知っておきましょう。

“この方は卵巣の予備能を示すといわれているAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が0.06ng/mlで、43歳という年齢を考えてもかなり低めだと思います。数が少ないだけではなく、変性卵の確率も高いということは、年齢以上に卵巣機能が落ちてきている状況といえるのではないでしょうか。 変性卵は確かに年齢が高くなると増えていく傾向があります。しかし、若くても体質的な問題で変性卵ができるケースもあり、逆に40代の人でも変性することが少なく、いい卵子が採れることもあります。エムさんの場合、年齢と体質、両方の要因が考えられるかもしれません。”

“1回目は低刺激、2回目は高刺激で採卵に臨まれているようですね。方法を変えても結果は変わらず、卵胞はなかなか育たないし、育っても変性卵になってしまう。43歳、44歳くらいになるとたくさん刺激をしてもなかなか反応しなくなることもあり、体外受精でも一般不妊治療でも成績があまり変わらなくなってきます。

ステップダウンすることも1つのやり方だと思いますが、この方はFSH値がまだそれほど高くなく、卵子も採れていますから、まだ体外受精を続けていく余地はあると思います。 ただ、高刺激でも低刺激でもそれほど結果が変わらないのだったら、わざわざ体に負担の大きい高刺激法を選ぶ必要はないのでは。低刺激、もしくは自然周期で1、2個ずつ根気よく育てていって、どこかでいい卵子が出てくるのを待つという方法が好ましいのではないでしょうか。”



“なかなか良い結果が得られず、精神的にも大変だとは思いますが、採卵をやめるのではなく、目標は持ちながら少し気長に、納得がいく形で治療に臨んでいただきたいですね。”


■卵胞が1つしか育たず、それも変性卵でした



年齢などの条件によって卵胞も変わる


最後に、卵胞の育ちすぎについてお悩みの方のご相談とドクターの回答をご紹介します。

“相談者:らすくさん(34歳) 1周期目は卵胞が育たず(D26でも8㎜程度から動かず)にリセット、2周期目(今期)はD21で卵胞は20mmに育ち、D23とD24に排卵検査薬が陽性に。タイミングもとりましたが、D26で卵胞が25mmになっていたので、HCG5000をうってもらいました。そしてD30の本日再度見てもらいましたら、45mmにまでなっていました。
医師から「こういう破裂しない卵胞がたまにあるんですよね。」と、未破裂卵胞のようにいわれ、「生理が来たら来院してください」とわれましたが、自分ではLUF(黄体化未破裂症候群)なのではないかと心配しています。こんなに大きければ、生理が来ても消滅はせずに残ってしまい、3周期目は見送らなければならなくなるのではないかと不安です。基礎体温はもともと二層性ではなく、よくわからないのですが、36.7くらいです。
また、今回は注射によるリセットではなく、自然に生理が来るのを待ちましょうと言われたのですが、ただでさえ自力で生理が来ることはほぼないのに、まして卵胞が残ったままで自然に生理が来るのか、いつまで自然な生理を待てばよいのか不安で仕方ありません。 ただの未破裂卵胞だとしても、45mmまで育ってしまった卵胞が、次回の生理で自然に消滅するのか?(中略)このような状態で自然に生理はくるのか?とっても不安です。”

“排卵誘発剤接種後のD30で45mmの卵胞が見えたということ、医師の「こういう破裂しない卵胞がたまにあるんですよね」という言葉からLUFではないかと心配されていますが、超音波検査だけでは核のある卵胞なのか、排卵済みの卵胞の残像なのかは判断がつかないこともあります。この文面からわからないのですが、卵胞か残像かは血液検査をするとはっきりするので、まだ血液検査をやっていないのであれば、検査をするのが望ましいでしょう。

らすくさんの場合、排卵を誘発するクロミッドを服用しているのと、卵胞が25mmになったD26に排卵誘発剤HCG5000を注射してます。通常、HCG5000を注射した場合、16mm以上の大きさになっている卵胞は36時間後に排卵されるので、恐らく排卵済みの卵胞の残像が見えているのではないかと考えられます。”

“もしLUFであったとしても多くの未破裂卵胞は自然と消滅するので、次の生理は来ると考えていいでしょう。2週間しても生理が来ない場合は、一度そのタイミングで受診をしてみてください。妊娠が成立している可能性も充分に考えられます。”



“らすくさんはLUFの可能性を心配していますが、排卵検査薬陽性後の良いタイミングでHCG5000を接種しているので、妊娠されている可能性も充分にあります。(中略)生理が来たらその時ですが、来ない場合は接種後2週間を目安に受診をしましょう。”


■育ちすぎた卵胞。ひょっとしてLUF?



未破裂の卵胞があると聞くと、それが次のタイミングまで残っていることが心配になりがちですが、自然に消滅するということで、その点についてはあまり心配する必要はなさそうですね。

いかがでしたか? 一口に卵胞のトラブルといっても、原因も対処法もさまざまですね。普段自分ではわからない部分の不安は抱え込まず、かかりつけの先生に相談してみるのがおすすめです。


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top