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40歳で体外受精を始めたばかり。 私に合った効率的な採卵方法は?

専門医Q&A 不妊治療

40歳で体外受精を始めたばかり。 私に合った効率的な採卵方法は?

始めたばかりの体外受精。治療中の適切な過ごし方とはなんでしょうか?東京女子医科大学産婦人科の中林章先生に伺いました!

2018.10.20

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相談者:れもんさん(40歳)

今後の治療内容の模索と、治療中の適切な過ごし方、
やったほうがいいことと、やってはいけないこと


今年の4月末にGnRHアゴニストのロング法で採卵し、胚盤胞1つ、分割胚1つ、OHSSのため1周期ずらして胚盤胞移植が陰性で、その次周期である今周期に移植に向け、ホルモン補充をしているものです。胚盤胞のグレードはAH6BB、顕微授精、アシステッドハッチングありです。


 


前回陰性だったことに伴い、またOHSSになったことからこの移植後の採卵方法を考えています。もちろん今に集中はして、サプリや運動など改めて見直してやっているところではあるんですが、早めに知って対応策を考えたくて投稿させていただきました。



卵子は全部で8個採れて、成熟卵が5個、そのうち受精卵が4個でした。


医師に今後を相談したところ、卵巣の反応は悪くないからそのままこの治療でといわれましたが、自然周期のことも気になってきています。自然周期であれば採卵後周期を空けずに移植できますし、貯卵していくこともできるからです。ただ、採れない可能性や数の少なさでの不合理性を医師から指摘され、簡易法やアンタゴニストでの刺激を提案していただき、迷っています。


 


自然周期は、高齢でも反応が薄い方や逆に若い方向けと説明され、ホルモン補充周期のほうが向いている的なことをいわれました。やはり今の私の状況であるならば、年齢も踏まえて卵子を1つでも多く採るほうを選択するほうがいいのでしょうか。
卵も採れて毎月移植できるのが一番ありがたいので、その最短の方法を模索しているのですが、簡易法でもクロミッドとHMGの併用など考えても、結果、卵巣が腫れないか心配です。



卵子がたくさん採れてもいい卵子でないと意味がないといわれたこともありますし、1個しか採れなくてもそれが質のいい卵子になるならそっちのほうがいいと思うのですが、採卵方法や刺激方法で卵子の質は変わるものではないでしょうか。何となくですが、自然周期のほうがいい卵子な気がしてしまいますが、卵子の質が変わらないのであれば数が採れたほうがいい気もして日々考えています。


 


治療日数もまだ浅いですし、移植までたどり着かせていただいている状況で、もちろん今後もお世話にはなりたいのですが、年齢もあり最短で進みたいことを考えると、今の病院でやり続けていいか、自然周期を推している病院に転院するか、考え出したらキリがありません。今の医師からは「4回採卵していい卵子に出会えたらいいほう」といわれました。それくらいは同じ病院でやるべきでしょうか。まだ治療自体始めたばかりで勉強不足な点も多いため、何かアドバイスいただけるとうれしいです。

また、合わせての質問で恐縮ですが、体外受精中の運動など、いつのタイミングでやめて再開したらいいかわかりません。ウォーキング、スクワット、ストレッチ的な体操などに加え、ホットヨガも始めたいと思っています。できることは何でもやりたいと思っていて、その適切なタイミングなど教えていただけるとうれしいです。医師には普通の生活と、わからないなら安静にとしかいわれずで、いまいちよくわかりません。


 


また、体外受精中の性行為もいつのタイミングでしていいかわかりません。「採卵前と移植後はしないで」といわれていますが、逆にそれ以外はいいのでしょうか? 移植前などしていいものかわからず、先日主人に聞かれて、確かにこのままセックスレスになってしまうのも残念な気がしていて、可能な範囲でできれば教えていただきたいです。もちろん、しないほうがいいならそれでも大丈夫です。治療は主人ともに最優先したいことなので、ご指導いただければ幸いです。


中林 章先生(東京女子医科大学産婦人科)




これまでの治療についてどう思われますか?


初回の採卵ではロング法で8個卵子が採れて、胚盤胞もできたということですね。これは非常にうまくいったといえるのではないでしょうか。れもんさんのAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値は2.97ng/ml。40歳でこの数値は悪くなく、30代くらいの卵巣機能があると考えられます。


 


AMH値は同じ年齢でも高い人、低い人がいて、もしれもんさんの値が1以下だったらロング法をしても1個か2個しか卵子が採れないと思うのでこの方法は選ばないと思いますし、逆に5以上の高値だとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こすリスクが高まるので、この場合もロング法を選択しないと思います。


 


自然周期のほうがいい卵子が採れるって本当?


「刺激をしてたくさん卵子をつくると質が低下する」と思われている方もいるようですが、そのようなことはありません。原始卵胞が発育し成熟卵胞となり卵子が獲得できるのですが、原始卵胞は生まれた時から徐々に減っていって、やがて枯渇していきます。毎月数百の卵胞がなくなっているようですね。刺激するということは、このなくなるものを拾い上げて有効に使っていくということ。


 


質に関しては自然周期で採卵する場合と変わりません。むしろ数がたくさんあればあるほどいい卵子が出てくる割合が高まるので、刺激をして多めに確保しておいたほうが早く妊娠するのではないかと思います。


次回はどんな誘発法を選んだらいいのでしょうか


なるべく多く卵子を確保することが一番のポイントになるかと思います。毎月採卵できますが、それを一度に確保するか、2、3個ずつ何回かに分けて採卵するかはご本人のご希望にもよると思います。自然周期採卵だと毎月のことなので、お仕事をされている方にとっては通院することや何度も針を刺すことが負担になるかもしれません。



ロング法だと一度にたくさんの数が採れますが、この方法で使うGnRHアゴニストというお薬は次の周期に影響してしまうことがあり、続けて採卵を行うということに関してはやや不利なやり方なんですね。



ある程度数を確保できて、次周期にも影響しないということならアンタゴニスト法、5個程度と少し数は減りますがクロミフェン+注射という方法でもいいかと思います。

また、OHSSを心配されていますが、20個とか30個採れてしまう人は重症のOHSSを起こしやすくなりますが、8個ならそれほど心配されることはないのでは。その点は、担当医の先生も注意深く見ながら、適切な形で進めていると思います。


ただ、ホルモンバランス(エストロゲンとプロゲステロンのバランス)が悪くなっていることが考えられるので、8個くらい採れた人はいったん凍結して環境を整えてから戻したほうが妊娠率は上がると思います。
非常にいい状態の胚盤胞ができて、胚盤胞と分割胚、1個ずつ凍結できているので、今後も十分妊娠を期待できるのではないでしょうか。


体外受精治療中の運動や夫婦生活について


体外受精治療中の運動についてですが、これは日頃行っていて、気持ちいいと感じる程度のものなら大丈夫だと思います。マラソンやハードな筋力トレーニングなど、体に負担を強いるほどの運動は避けたほうがいいでしょう。



夫婦生活に関しては、当院では人工授精や採卵、胚移植などの施術を行う前日と当日は避けていただいています。夫婦生活に加え、施術当日は運動も控えたほうがいいかもしれません。通常の家事をする分には問題ないと思います。


中林先生より まとめ


●刺激法で卵子の質が低下するということはありません
●アンタゴニスト法やクロミフェン+注射もおすすめです



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お話を伺った先生のご紹介

中林 章 先生


慶應義塾大学医学部卒業。東京女子医科大学産婦人科学講座准教授。医学博士、臨床研修指導医。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。臨床遺伝専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。内視鏡治療も得意とし、外科的な観点からも不妊をサポート。趣味はテニス。「不妊治療歴は17年。これからも妊娠・出産という女性の人生の一大イベントをサポートしていきたいと思います」。

≫ 東京女子医科大学産婦人科

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