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顕微授精で2回とも胚盤胞まで育つのは各1 個。今後どう治療を進めればいい?

顕微授精で2回とも胚盤胞まで育つのは各1 個。今後どう治療を進めればいい?

顕微授精で2回とも胚盤胞まで育つのは各1 個。今後どう治療を進めればいい?

2013.6.20

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相談者

たんぽぽさん(36歳)
■ 男性不妊のため顕微授精をしています。2回目の排卵直後、精子が全視で10匹しかなく、かなり難しいと言われました。刺激法で多くの卵をつくる必要があったのか?と気が滅入っています。胚盤胞まで育つのが毎回2個と少ないのは、どうしてでしょうか?このまま同じ病院でアンタゴニスト法に臨むか、ほかで自然周期、もしくは低刺激法での採卵に臨むか、悩んでいます。精子について、もっと調べたほうがいいですか?

ジネコ:たんぽぽさんのこれまでの不妊治療について、どう思われますか?


高橋先生:1回目をロング法、2回目をショート法で治療。そして、2回目は7個受精を確認したという状況や経過を見る限り、男性不妊の治療として基本的には問題ないでしょう。
顕微授精をした場合、一般的な受精率は70〜80%程度なので、たんぽぽさんの成熟卵が9個あって、そのうち受精卵が7個確認されたということであれば、顕微授精の治療法による成績としては成功だといえます。今回の場合、問題は、胚盤胞まで育ったのが各1個ということ。これは胚盤胞到達率としては悪い結果といえます。


ジネコ:ではなぜ、受精卵が育ちにくいのでしょうか。


高橋先生:受精卵のその後の発育状況がわからないので、詳しいことは言えないのですが...。基本的には、精子の問題でいい受精卵ができない場合の多くは、最初の3日目くらいでほとんど胚の成長が止まってしまうのです。なぜなら、精子の異常というのは、基本的には遺伝子(染色体)の異常だからです。ですから、染色体の異常ならば、胚盤胞まで到達する確率はかなり低くなります。
卵子の質が原因で胚盤胞にならない場合は、3日目までの発育は正常で(遅い場合もありますが)、4日目以後の発育が悪くなることが多いのです。たんぽぽさんの場合は胚盤胞数が少ないとのことですので、卵子の質による原因が考えられます。
当院でも、男性不妊だといわれて治療をする患者さんの、4分の1は女性のほうがもっと悪い状況にあります。男性のほうの原因は、検査などをすれば、割とすぐに男性不妊だと診断がついてしまうからという理由もあります。卵子については、基本的に検査で判断することは無理なのです。ですから、顕微授精をしても受精率が低いのは精子の問題だけでなく、卵子側の質に関係している場合もあります。
たんぽぽさんのようにAMHの値も悪くないし、その他の検査も問題ないということであれば、通常、不妊の原因は精子側の異常だと考えるのは自然なことと思います。しかし、実際に治療を行ってみないと原因がわからない場合も多く、このような状況は意外とあることなんですよ。


ジネコ:次回の卵巣刺激法は、アンタゴニスト法でよいでしょうか?


高橋先生:ロング法、ショート法で良質卵が採取できなかった場合、次の刺激法をアンタゴニスト法にするのは正しい選択です。アゴニスト使用で良質卵が採取できなかった人が、アンタゴニスト法で成功する例は少なくありません。
たんぽぽさんには、自然周期や低刺激周期法はおすすめしません。低刺激法では採卵数が少なくなり、胚盤胞の数も少なくなるか、ゼロになる可能性があります。AMHの値がいいのですから、アンタゴニスト法で十分卵巣刺激をして、1つでも多くの胚盤胞を作り、できれば胚盤胞を凍結して移植するのが、次の一番の方法と思います。自然周期法は聞こえはいいのですが、採卵数が通常1個で妊娠率はきわめて低く、採卵できない場合も少なくなく、毎月採卵することになります。すでに卵巣機能が低下している女性では、この方法しかありませんが、たんぽぽさんが今選択する方法ではありません。
2回目の採卵時に、ご主人の精液所見が悪かったようですが、次回採卵までに、いい状態で精子を凍結しておくことをすすめます。当日も採精しますが、ご主人の不安解消にもなります。
たんぽぽさんご夫婦のような場合は、今後も顕微授精の適応になるかと思いますが、卵子の状態がよくなり胚盤胞まで育てば、妊娠のチャンスはあると思います。しかし、厳しいことを言うようですが、顕微授精をしたから必ず妊娠できるということでもなく、残念な結果になるケースも頭に入れておいてくださいね。たんぽぽさんは今までも胚盤胞が1個育っているのだから、妊娠の可能性がゼロということではありません。ただし、今まで2回の顕微授精で胚盤胞まで育ったのが各1個と少ない原因は、精子側だけの問題ではなく、卵子側の質にも関係しているということも否定できませんね。


ジネコ:最後にたんぽぽさんにアドバイスをいただけますか?


高橋先生:年齢のことを気にされているようですが、36歳という年齢は、今の常識で考えれば問題ありませんし、今までも10個以上採卵できているので大丈夫です。
気が滅入ることはあるかと思いますが、諦めることはありません。主治医とよく相談しながら、次回はアンタゴニスト法に挑戦することをおすすめします。そして、胚盤胞が1個でもできたら、今まで着床していないことを考えれば、胚盤胞を凍結して、次の周期にでも凍結胚を移植するとよいでしょう。
希望を持って治療に臨んでいただきたいですね。


高橋 克彦 先生
慶應義塾大学医学部卒業。インターン時代に立ち会ったお産に感激し、産婦人科医を目指す。1990年に日本初の体外受精専門外来クリニック、高橋産婦人科を開業。後に広島HARTクリニックと改名。2000年、東京HARTクリニック開設。「日本初」の実績を次々と打ち立て、日本の不妊治療界をリードする。「イスタンブールでの学会に参加した後、せっかくなのでその後1週間ほど夏休みを取って、エーゲ海あたりを旅行します。のんびりと景色を楽しみながら、リフレッシュたいと思っています」と語ってくださった高橋先生。




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