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妊娠と潜在性甲状腺機能低下症

専門医Q&A 女性の健康

妊娠と潜在性甲状腺機能低下症

「次回は三ヶ月後に再検査と言われました。このまま何も治療せず、妊娠は可能なのでしょうか?流産が辛かったため、不安です。」

2014.8.23

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みちさん(28歳)


潜在性甲状腺機能低下症でも、妊娠が可能か聞きたくてご連絡しました。
私は8月10日に初期流産をしました。胎芽も見えず、胎嚢の成長も止まり、自然流産でした。
それから、一週間後血液検査で潜在性甲状腺機能低下症の疑いがあると診断されました。TSHは5.2で、FT4は0.97です。
次回は三ヶ月後に再検査と言われました。
このまま何も治療せず、妊娠は可能なのでしょうか?
流産が辛かったため、不安です。




お話を伺った先生のご紹介

吉田仁秋 先生 (仙台ARTクリニック)


近年の晩婚化と共に妊娠しにくい方が増えております。
当院では年間約700名程の患者様が訪れるようになり、そのうち半数の方が自然妊娠し、残り半数の方が手術や生殖補助医療を必要とします。
当院では不妊に関する最新の医療を提供できるよう、海外も含めて学会や研究会に積極的に参加し、発表しております。
最近では、アメリカ生殖医学会発表や日本生殖医学会、日本受精着床学会のシンポジウムなどがあります。
また東北大学農学部動物生殖科学講座との共同研究により研究成果を発表し、世界体外受精会議記念賞をも獲得しております。
今後とも基礎的な分野の充実を図り、臨床応用に役立てるようにしたいと思います。
不妊治療はどうしてもストレスが重なり心労と成って参ります。
こうした患者さまのお気持ちを少しでも緩和できるよう専門の資格を取得した不妊カウンセラーやIVFコーディネーターがおります。
お気軽に相談していただき、少しでも患者さまのさまざまな悩みにお答えできるようにしております。
ぜひ解らないことや悩みを相談なさってください。

《略歴》
1981年 獨協医科大学卒業
東北大学産婦人科学教室入局
1988年 医学博士取得
1991年 マイアミ大学生殖内分泌学講座留学 IVFディレクター
1993年 竹田綜合病院産婦人科部長
1996年 東北公済病院産婦人科医長
1998年 吉田レディースクリニック開業 理事長・院長
2007年 ARTセンター設立
2008年 東北大学産婦人科臨床教授
2009年 東北薬科大学(現 東北医科薬科大学)非常勤講師
2016年 仙台ARTクリニック開業 理事長
     現在に至る
《認定医》
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医、指導医
《役職》
日本受精着床学会 理事
日本IVF学会 常務理事
JISART(日本生殖補助医療標準化機関) 副理事長
日本A-PART 副理事長
日本レーザーリプロダクション学会 評議員
日本生殖心理カウンセリング学会 常務理事
生殖バイオロジー東京シンポジウム 世話人
日本不妊予防協会 評議員
アメリカ生殖医学会 会員 等


≫ 仙台ARTクリニック




みちさんが診断された「潜在性甲状腺機能低下症」は、あまり聞いたことがありませんが、1回の血液検査だけでは、基本的にはなんともいえないと思います。甲状腺機能低下症であれば、例えば自覚症状として全身に倦怠感があったり、やる気が起こらない、また、基礎代謝が下がって太ってきたりします。
 逆に甲状腺機能亢進症の場合は、基礎代謝が上がって体重がどんどん減ってくる。ドキドキするといった動悸も症状として出やすい。甲状腺機能低下症も亢進症も無排卵や流産の原因になりますが、みちさんが血液検査で調べられた甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値が、即ち甲状腺機能低下症とは限りません。
 一方で、甲状腺機能低下症でも亢進症でも自分で気がつかないうちに進行する場合が確かにあります。
その意味でも甲状腺ホルモンの血液検査だけでなく、同じ脳下垂体から分泌されるほかのホルモンLH(黄体化ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)、PRL(乳汁分泌ホルモン)、またエストロゲンなどの女性ホルモンがきちんと機能しているかどうか、基礎ホルモンをチェックするのが大事と考えます。
 このまま様子をみて、3カ月後に再検査するのは妥当かと思います。疑いがあれば、治療が終わってから妊娠ということになりますね。“潜在性”の甲状腺機能低下症とは、低下症が隠れているという意味でしょうか。検査では、負荷試験をされて調べられたのでしょうか?
 というのも、“潜在性”といえば乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンの分泌が上昇する高プロラクチン血症を診断する際に、負荷試験を行う場合があります。プロラクチンを投与して30分後、1時間後の血液中の値を調べますが、正常の場合でも上昇するケースがあります。この場合は、プロラクチンを下げる薬を処方します。
「このまま何も治療せず、妊娠は可能でしょうか」ということですが、先述しましたように、甲状腺だけでなくほかの基礎ホルモン検査に異常がなく、甲状腺機能低下症の症状がなければ、もちろん可能です。
 
 みちさんは、妊娠の経験もおありです。残念な結果でしたが、不育症のチェックは受けられましたでしょうか。赤ちゃんが成長するための発育能力が弱かったのかもしれませんし、甲状腺の機能低下だけが要因とは一義的には決められません。





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