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精子奇形率98%での不妊治療について

専門医Q&A 女性の健康

精子奇形率98%での不妊治療について

「精子奇形率が10%の人と精子奇形率が98%の人ではそれはもちろん自然妊娠できる確率に大きな差が出てくるのが当然なのになぜその部分を気にしなくていいと言われるのか理解できません。」

2015.5.28

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マイさん(32歳)


初めて相談させて頂きます。
半年前夫婦共に不妊検査を一通り受けました。私はホルモン検査、卵管造影、主人は精液検査。私のホルモン値、男性ホルモン値、黄体ホルモン値、卵管造影、その他諸々特に異常はありませんでした。2年前に子宮筋腫核摘出手術を開腹で受けて7つの筋腫を摘出した経験があります。その後また新しい筋腫ができており現在3cmと2cmのものがまた育っておりますが特段妊娠に影響する場所にはないとのこと。内膜の状態も綺麗で問題ないとのことです。
 主人の結果は、運動率、精子の数等々には問題はありませんでしたが、奇形率が98%で、精子奇形症と診断されました。
 自然妊娠を目指しタイミングをとりながら半年以上たちましたが妊娠せず、今周期よりタイミング指導を始めます。
今診ていただいている先生は、精子の奇形率は心配する事項じゃないので全く気にすることないと仰っております。ただ、ネットで調べる限り自然妊娠には時間がかかる若しくは難しいという意見がほとんどですよね。
 海外在住のため、1度の卵胞検査にも2万円弱かかり、1度の人工授精では20万弱かかります。人工授精となれば1回150万程度かかります。タイミング法を続けても精子の奇形率が高く妊娠が難しいのであれば上のステップに早く進んだほうが時間もお金も無駄にしないのではないかと考えております。
 論理的に考えて精子奇形率が10%の人と精子奇形率が98%の人ではそれはもちろん自然妊娠できる確率に大きな差が出てくるのが当然なのになぜその部分を気にしなくていいと言われるのか理解できません。
 主人は33歳。私も今年33歳ですので、そこまで悠長な時間を過ごしていられないと思いますので最善の治療法を選択したいのでご意見を賜りたいです。




お話を伺った先生のご紹介

田中温 先生 (セントマザー産婦人科医院)


「赤ちゃんがなかなかできない」というつらさは、精神的にも身体的にも、とても苦しいものです。そして、治療を始めるとなると、さらに経済的な負担も大きくなります。
当院では、不妊治療を中心に、長い年月、多くの患者様の診療を行ってまいりました。いつもたくさんの患者様の真摯な思いに胸を打たれます。私たち、スタッフ一同は、これからも、たゆまない研究努力を怠らず、患者様をサポートできる体制を日々充実させ、患者様の苦しみに心をよりそわせながら、おひとり、おひとりの患者様の願いがかなうよう、お手伝いさせていただければと思っております。


≫ セントマザー産婦人科医院




最初に、精子の奇形について説明をしましょう。精子の奇形には、頭部と尾部の2通りがあります。尾部はプロペラの役割があって、精子の遺伝子を卵まで真っすぐ運ぶためにありますが、きちんと動かなくても顕微授精という技術でクリアできるため、あまり問題になりません。反対に、DNA=遺伝子が入っている頭部が異常に大きいまたは小さい場合の受精は困難です。そして、確率的にみると圧倒的に頭部の奇形が多く、この場合はご主人の精子で子どもを望むことはかなり難しいでしょう。
 マイさんのご主人が、精子頭部の奇形か尾部の奇形かは記されていませんが、私の経験上、精子100%すべて異常だという人は絶対にいません。きちんと探せば、必ず正常な精子は見つかり、それを見つけてあげて顕微授精をすれば可能性はあるのです。
 奇形率の10%と98%の差を気にされていますが、射出した精子はその1回の中に約1億いますから、98%なら2%は正常。1億の2%は200万です。その中で見つけてあげることが大切ですし、必ず見つかります。まず100%奇形というケースはありませんし、母数が多い中での数値ですから、じゅうぶんに可能性があると理解していただけるのではないでしょうか。





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