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今後の治療方針

専門医Q&A 女性の健康

今後の治療方針

2015.8.8

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ゆっぴちさん(37歳)

現在37歳です。35歳から不妊治療のクリニックにかかっております。下記の通り、器質的な原因は指摘されておりませんが、PCOS気味なのがbackgroundにあること、卵が育つ割には、採卵率が悪い、未熟卵が多い、のが苦戦している理由かと思っております。
また、胚盤胞にまで育つのですが、三回の移植が、一度も着床しないため着床障害を指摘されております。(通っておりますクリニックは、グレードは厳しめに評価され、Aはほどんどつけないそうです)
低〜中刺激での採卵が向いているのかと思いますが、治療方針に関しまして、主治医の先生以外のご意見を伺いたく、質問させていただきます。
また、一般的に新鮮胚移植は凍結胚移植より妊娠率が落ちますが、これは内膜の薄さの問題だけではないのでしょうか?
今後、低〜中刺激での採卵を続けると、胚盤胞まで1~2個育つと予想されますが、凍結した方が良いのでしょうか。


お話を伺った先生のご紹介

宮崎和典 先生 (うめだファティリティークリニック)


不妊でお悩みの方のお役に立ちたい…

不妊治療に長い間、携わっています。当初から多くの先進的な事に取り組んできましたが、その結果が近畿でいち早く体外受精、顕微授精、胚凍結保存の成功につながったものと思っています。この領域は、新しい分野、領域ですので様々な新説が出てきます。その中には、あまり信馮性のない説が流行ったりすることもありましたが、それらは長続きせず、省みられることもなく消えて行く運命にあります。
不妊治療は、日進月歩と言われますが、あまり目先のブームに追われず、何が理論的に正しいかを良く考え、臨床に生かして行きたいと思っています。
最近の患者様は、ネット等を通していろいろな情報を手に入れています。知識を得ることは大変大切なことだと思いますが、必ずしも確実ではない事を一時のブームで盲目的に信じ込むことは逆効果だとは思いませんか?

当院では、確実な事を確実に実行して行くというポリシーに沿って治療に当たっていきたいと思っています。その結果が、患者様の幸せに繋がり福音となることを願っています。

■略歴■
大阪医科大学医学部卒業(医学博士)、同大学産科婦人科講師を経て、当クリニック開業(1992年開業)、日本生殖医学会評議員、日本受精・着床学会評議員、日本産婦人科マイクロサージェリー学会評議員



≫ うめだファティリティークリニック

 37歳でAMHの値が4.3というのは、実年齢で33歳くらい人の数値です。卵巣の状態は若く、かなりいい数値です。これに対して、1回目の採卵ではショート法をおこない、HMGを300単位で7日間投与しています。このような治療で卵巣が腫れるのは当然です。さらに、E2の値も12650と異常な高さです。当院でもこのような値が必ずしもないとは限りませんが、E2の値が1万を越えたら投与を中止するという説もあります。これは、あきらかに過剰投与によるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。なんのためにAMHを測っているのか疑問です。

 さらに2回目の採卵ではクロミッドによる低刺激を行い、2日間のみHMG300を投与しています。今度は低刺激すぎます。中刺激で行えばよいと思うのですが、なぜ高刺激と低刺激をするのかよくわかりません。通常、AMHが4.3もあれば、ロング法か、HMGアンタゴニスト法で行い、1〜2日目でHMG300投与しても、その後は150程度、投与しています。

 1回目の採卵では、17個のうち8個が未熟卵と、卵巣が腫れてきたので採卵も早めに行ったようです。17個採卵できても、いい卵がほとんどありません。(そのわりには胚盤胞にまで育ったのは良かったですが。)着床障害との診断ですが、本当に着床障害なのでしょうか。

 凍結胚移植、または新鮮胚移植を検討する場合、一般的に内膜の薄さは関係ありません。クロミッドを投与すれば、内膜は当然薄くなります。内膜が薄くなれば、通常は移植せずに凍結します。この方は内膜の薄さよりも、刺激方法が着床を妨げているのではと考えます。とくに年齢が高くなると、インプランテーションウインドウ(着床の窓)が開く時間が短くなると考えられます。凍結胚移植でホルモン補充周期を行っていくのがよいと思います。ただし、40代以降の高齢になると、低刺激での採卵にくわえ、卵ができにくくなり質も低下します。このような老化した卵を凍結すると、卵にストレスがかかる可能性があり、新鮮胚移植のほうがいい場合もあります。


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