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多房性粘液嚢腫(左)

専門医Q&A 女性の健康

多房性粘液嚢腫(左)

「先生の言うようにこのままにして妊娠出産するとして、妊娠中や出産時に腫瘍のせいで赤ちゃんに悪影響はないのでしょうか??」

2017.6.26

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nashiさん(26歳)


結婚もしそろそろ赤ちゃんが欲しいと思っていたため去年末に健康診断に行きました。
その際に発覚し、その後様子を見ていたのですが現在の左の卵巣の大きさはは5cm強くらいです。
かかりつけのクリニックの先生には今後出産する時に腫瘍が邪魔になり出産に影響するとのことで手術をふまえて大きな病院を紹介されましたが、紹介して頂いた病院ではいくつも嚢腫があるから全部とるのは難しいしその時に傷つけたり中の液がお腹の中にひろがったりすると腹膜炎の可能性もありいまは手術する時ではないと言われました。いま手術してたくさんのリスクを早めてしまうよりも
手術しなくても妊娠出産できるからいまはこのままにして経過観察しましょうとのことでした。
この先生の言うようにこのままにして妊娠出産するとして、
妊娠中や出産時に腫瘍のせいで赤ちゃんに悪影響はないのでしょうか??
分かりにくい文面で申し訳ないですが、今後のことを考えると心配でどうすれば良いのか本当に悩んでいます
ご意見よろしくお願いします




お話を伺った先生のご紹介

田中温 先生 (セントマザー産婦人科医院)


「赤ちゃんがなかなかできない」というつらさは、精神的にも身体的にも、とても苦しいものです。そして、治療を始めるとなると、さらに経済的な負担も大きくなります。
当院では、不妊治療を中心に、長い年月、多くの患者様の診療を行ってまいりました。いつもたくさんの患者様の真摯な思いに胸を打たれます。私たち、スタッフ一同は、これからも、たゆまない研究努力を怠らず、患者様をサポートできる体制を日々充実させ、患者様の苦しみに心をよりそわせながら、おひとり、おひとりの患者様の願いがかなうよう、お手伝いさせていただければと思っております。


≫ セントマザー産婦人科医院




私はnashiさんの主治医とは正反対の意見です。そもそも、卵巣嚢腫を手術するかどうかの判断基準は、悪性か良性かが最も重要と考えます。悪性かどうかの判断はMRIが必要です。一般的に卵巣子宮内膜症(チョコレート嚢腫)は5cm以上なら手術を勧めますし、7cm以上であれば手術は確実です。なぜなら、そのサイズの嚢腫は淡明細胞癌への悪性化の確率が高くなるからです。nashiさんの嚢腫の大きさは5cm強ということですので、実際は6〜7cmかもしれません。この嚢腫が、今後の妊娠と経過の中で茎捻転を起こす可能性が高いことが心配です。茎捻転というのは卵巣が捻れ、耐えられないような激痛が起こり、放置すると卵巣全摘出という最悪のケースにもなりかねません。現状でのnashiさんのリスクは茎捻転と悪性化。この2つが手術を勧める理由です。
反対に、手術を勧めない理由があるとすれば、卵巣の一部を摘出するわけですから生殖部分にも影響するということでしょう。nashiさんのように子どもを望む場合は妊孕能力をいかに残してもらえるかが気になるところでしょうが、腹腔鏡手術の経験が多い医師にお願いすれば心配はないといえます。現在の判断基準では、嚢腫が5cm強なら茎捻転と悪性化のリスクを考え、腹腔鏡手術を勧めることが一般的と考えます。
そもそも、医療の基本は本人の健康と安全性を維持することであり、不妊治療のために自分の健康を犠牲にすることは本末転倒です。赤ちゃんに影響があるかという問題ではなく、妊娠出産にいたるまでに茎捻転や悪性化という影響が本人に出ることを知るべきです。多房性粘液嚢腫は単房性よりも悪性化する可能性が高いといわれておりますので、nashiさんがすべき治療は、再度、MRIで正確な診断をすること。本当に多房性粘液嚢腫だと確定すれば、腫瘍専門の医者のセカンドオピニオンを受けること。その結果を踏まえ、自身の健康を第一にした治療を最優先にすることを、ご主人も望んでいるはずですよ。





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