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採卵で3回とも空胞に。自然周期から刺激周期に変えたほうがいい?

採卵で3回とも空胞に。自然周期から刺激周期に変えたほうがいい?

採卵で3回とも空胞に。自然周期から刺激周期に変えたほうがいい?

2013.6.21

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相談者
くまさん(42歳)
■ 1人目は35歳で自然周期による排卵・体外受精、2人目は37歳で自然妊娠で出産し、現在3人目を望んで治療中です。現在のAMH は1.1、FSHは6。完全自然周期(卵胞1個)、クロミッドⓇのみ1回(卵胞1個)、クロミッドⓇ+HMG(卵胞2個)で3回採卵しましたが、いずれも空胞でした。このまま自然周期がよいのか、排卵誘発法(刺激周期)に変えるかで悩み、刺激周期中心の病院に相談しました。検査の結果、生理3日目に5個ほど卵胞が見えたので、HMG製剤300単位を注射するアンタゴニスト法をすすめられています。HMG注射を7日間も打つことに抵抗があるのですが、適量なのでしょうか?また、卵巣が弱り、その後の自然妊娠の可能性が下がることはないでしょうか?



ジネコ:これまで、自然周期、クロミッドⓇ、クロミッドⓇ+HMG注射で3回の採卵をしていますが、いずれも空胞だったということです。


藤野先生:空胞とは、卵胞はできているけれど、卵子が入っていない、つまり、空っぽの卵胞が大きくなっている状態をいいます。これを「エンプティフォリクル」といい、ある論文によると、採卵の約2割で遭遇するといわれています。原因はよくわかっていません。
くまさんの場合、3回続けて空胞で、卵子が採卵できなかったことを踏まえると、今後も同じ治療を続けるかどうか、見直す時期に来ているのかもしれません。GnRHアンタゴニスト+HMG製剤を選択肢の1つにされるのもいいと思います。


ジネコ:くまさんは注射に慣れていないそうで、HMG注射の量に驚いていますが、この量は適切なのでしょうか。


藤野先生:まず、体外受精にはいくつかの方法があり、その1つとして排卵誘発法が大きなポイントになります。排卵誘発法の選択については、年齢、卵巣のコンディション、採卵数、体への負担の有無、経済的な側面といった、さまざまな要因があります。基本的には、年齢、FSHの値、AMHの値、月経中の小卵胞(胞状卵胞)数などを総合的にみて判断します。
一般的に、卵巣年齢が上がるとFSHが高くなるのですが、くまさんは同年齢の方と比べてFSH値と月経3日目の胞状卵胞数がいいことから、このような強めの刺激法をすすめられたのだと思います。
アンタゴニスト法は、ある程度まで卵子が成長したところで、GnRHアンタゴニスト(セトロタイドⓇ、ガニレストⓇ)という薬剤を注射し、卵巣を刺激する方法です。脳下垂体の性腺刺激ホルモンの分泌を抑制するGnRHアンタゴニスト製剤を投与して、一時的に脳下垂体の反応性を落として排卵を抑えることで、LHサージを未然に防ぎ、採卵前に排卵してしまうことを防ぎます。そのため、GnRHアンタゴニスト製だけを投与すると、LHサージが確実に起こらない代わりに、卵胞からのエストロゲン分泌や卵胞の発育が弱くなる傾向があります。
当院では、GnRHアンタゴニスト製剤が日本に導入される以前から、使用していました。体外受精において、当初は排卵日を1~2日調整するのに非常にメリットのある、夢のような薬だと思っていましたが、GnRHアンタゴニスト製剤だけでは卵巣と卵胞の発育が悪いことがわかり、HMG製剤を追加するようになりました。手探りで投与量を調整し続けてみたところ、やはりHMGを300単位併用することが、卵胞、卵巣の発育に適しているという結果に至りました。ですから、私の経験から言っても、この注射の量は必要だと思います。
ただし、7日間投与するのが気になります。通常、日常的に日本で入手、使用できるGnRHアンタゴニスト製剤は1日持続タイプと5日持続タイプのどちらかです。HMG注射で複数の卵胞を確認し、大きさが14mm程度になったら、GnRHアンタゴニストの注射をします。
ですから、この点については、担当の先生と相談したほうがいいのではないでしょうか。もしかしたら先生は、最初にHMG注射をして、途中からGnRHアンタゴニストを2~3日併用されるという意味でおっしゃられたのかもしれません。


ジネコ:アンタゴニスト法に変えた場合の卵巣への負担についてはいかがでしょうか。自然妊娠の可能性が下がるのではと心配もしていらっしゃいますが。


藤野先生:最近、年齢が高く、AMHが低い傾向の方には、従来のGnRH+HMGによる調節卵巣刺激法は不適応ということがいわれています。やはり年齢とともに卵巣の反応性が低下してきますので、大量のHMG製剤を使用することによって、卵巣への負担が出てきます。あるいは、大量に使用しても、20~30代の方に比べると採卵数は減少するため、適応を見送るケースが多いようです。
さらに、排卵誘発のためにHCG製剤を使うのですが、このHCG製剤が卵巣の負担になる場合があります。もしも、これを最後の治療にしようと考えているような場合はこの選択肢もありだと思いますが、当初の予定通りの卵胞数ができるかどうかはわかりません。胞状卵胞が5個見えていても、最終的には2~3個かもしれませんし、実際に行ってみないとわかりません。
年齢的に、自然妊娠のチャンスは1~2人目の時に比べると低くなっています。HMG製剤の投与後の自然妊娠の可能性についても厳しいかもしれません。


ジネコ:藤野先生なら、今後はどのような治療法を提案されますか。


藤野先生:そのまま自然周期を続けることも可能です。その場合は、周期の間に一度カウフマン療法やホルモン補充を行い、卵巣のコンディションを整えたうえで、自然周期、あるいはクロミッドⓇ+HMG投与下による採卵を行います。
さらに、FSHが高い方、またはFSH値が10~20で卵巣の機能低下が考えられる方は、乳がんの治療薬としても知られるフェマーラⓇを使用してみるのも1つの方法かもしれません。これにより、自然な卵胞の発育が期待でき、クロミッドⓇにありがちな子宮内膜が薄くなるといった副作用を抑えることもできます。



藤野 祐司 先生
大阪市立大学医学部卒業。米国留学、同大学医学部婦人科学教室講師を経て、1997年にクリニックを開業。現在、同大学で非常勤講師も務める。B型・おとめ座。最近、印象に残った映画は『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』。「第二次世界大戦時の人の姿が日米双方の視点で描かれていて興味深かったです。時間がある時には、『白い巨塔』で有名な山崎豊子さんの本をよく読んでいます」。





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