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卵管が癒着し、詰まる卵管留水腫。自然妊娠は無理?

コラム 不妊治療

卵管が癒着し、詰まる卵管留水腫。自然妊娠は無理?

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2018.12.23

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


Chunyaさん(28歳)からの相談
卵管留水腫からの自然妊娠の可能性は?
海外にて卵管造影を受けたところ、Sactosalpinx(卵管留水腫)と診断されました。両方詰まっていたので激痛だったんですが、片方の卵管の先からヨードが噴出されたような様子が最後のほうのレントゲンに映っていました(連続で17回レントゲンを撮られました。日本は翌日も撮影に行くらしいですが、この国は当日のみなので経過わからずです)。医師の診断には「片側開通したかも?」と書かれていましたが、IVFをすすめられました。長くなりましたが質問です。①卵管閉塞ではなく卵管留水腫または卵管留膿腫の方が卵管造影で通ることはありえますか? ②そして自然妊娠する可能性はどのくらいでしょうか? もし通ったとしてもまた閉じてしまったり、ピックアップ障害だとかで自然妊娠は難しいのかな? と思いますが、少しでも希望があるなら…

まとめ
●自然妊娠の可能性はかなり低い。腹腔鏡手術でまず癒着の剥離を。
●卵管留水腫が要因で着床率低下が起こることがあり、胚盤胞移植をすすめることも。

お話を伺った先生のご紹介

蔵本 武志 先生(蔵本ウイメンズクリニック)


久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。

≫ 蔵本ウイメンズクリニック

海外での診療を受けられている方で、卵管留水腫の診断から、今後の治療を迷われているようです。


Chunyaさんは「卵管留水腫」だろうと思います。大きな卵管留水腫はエコーでは棍棒状に見え、中が黒く見えるものです。水性のものはエコーで見ると黒く見え、卵管留膿腫であれば棍棒状の卵管内に真っ黒ではなくやや白っぽいものが見えるはずです。
卵管留水腫とは、卵管先端のラッパ状の卵管采が癒着して通過性を失った状態です。その原因は子宮内膜症であったり、クラミジアなどによる炎症だったりさまざまなことが考えられます。卵管が癒着していると卵管内の分泌物が腹腔内に流れず、卵管内に溜まって水腫状になります。これに感染が起こり、膿が出れば「卵管留膿腫」です。
卵管采の癒着が強固なものでなければ造影剤(ヨード剤)を強く注入することで一部の癒着が取れ、通ることもありますが、卵管が完全に通ることはごくまれですし、ご自身でも心配されているように卵巣から排卵した卵子のピックアップはかなり難しいと思われます。


造影剤のみでの解決は難しい、ということですね。自然妊娠の可能性についても気になさっています。


Chunyaさんはまだまだお若いので、腹腔鏡手術の技術の高い医療施設で手術を行い、卵管采の癒着があれば剥がして再建術をされてみてはいかがでしょう。その時に子宮内からインジゴカルミンという色素を注入し、卵管が十分通っているかどうか腹腔鏡で確認してください。これがうまくいけば自然妊娠できる可能性があります。
もし腹腔鏡手術をし、卵管を通した後に再度卵管が閉鎖したり、なかなか妊娠しないようならその時に初めてIVFを考えられては。また、一度子宮鏡検査を行い、子宮内腔にどこか異常がないか確かめておくことをおすすめします。


医師からIVFをすすめられたということですが。


手術を行わず、最初からIVFを行うことも可能ですが、顕著な卵管留水腫があればその内容液が子宮内へ逆流することで着床率は低下してしまいます。胚盤胞移植をして胚が子宮内にとどまる時間を減らしたり、胚移植日に抗生物質を十分投与して移植前に経腟エコー下で卵管留水腫を穿刺吸引することになります。それでも妊娠しない場合は、子宮と両側卵管の境を切断し、卵管留水腫の内容液が逆流することを防ぎます。しかしこの方法は、それ以後はIVFでしか妊娠できません。
また、疑問の一つである「当日のみのレントゲン撮影」は、水性造影剤を使うもので、翌日撮影する油性造影剤より現在ポピュラーなことなので心配されることはありません。Chunyaさんがもし海外在住で、このような検査の手順のわかりにくさなど些細なことでの不安が大きいのであれば不妊治療の間は日本に滞在し、安心できる環境でしっかり治療に向き合われるのもメンタル的に重要かもしれません。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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