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卵管の両側閉塞のためFT(卵管鏡下卵管形成術)を検討中。有用性について教えて【40代の不妊治療】

コラム 不妊治療

卵管の両側閉塞のためFT(卵管鏡下卵管形成術)を検討中。有用性について教えて【40代の不妊治療】

卵管閉塞のためFT(卵管鏡下卵管形成術)を検討する場合、どのような点に気をつけるべきでしょうか。40代の治療の有用性について、うめだファティリティークリニックの山下能毅先生に教えていただきました。

2018.12.24

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


コリラさん(40歳)からの相談
●相談内容
2人目を希望し、2カ月前から治療を始めています。卵管の両側閉塞で、できれば自然妊娠の希望があり、FT(卵管鏡下卵管形成術)・腹腔鏡併用を検討しています。いくつかの病院のHPを調べると「ひだの状態を確認でき、自然妊娠が可能な卵管かを判断できる」とあったのですが、主治医によると「解像度が悪すぎて見えない。通過したかどうかわからない」とのこと。使用しているファイバースコープの精度が病院によって違うのでしょうか? また、異所性妊娠は術後20%くらいと説明されたのですが、他のFTをやっている病院のHPでは2%など数%で記載されていました。FTがかなり効果的と言っている病院もあれば、有用性があるとは言えないという記事もあり、情報の食い違いが多く悩んでいます。

●これまでの治療データ
【検査・治療歴】クラミジア陰性、卵管造影、子宮鏡カニュレーション(開通せず)
【妊娠歴】第1子出産(左側の卵管を子宮鏡カニュレーションで通し、その後タイミング1回目で授かり、正常出産)
【サプリメントの使用】葉酸、鉄のサプリメントを使用
【精子データ】不明

Doctor’s advice
●FT術後の妊娠率は30%です。
●そのうち1年以内に妊娠した人は約90%です。
●FT術後の再閉塞率は10%あります。

お話を伺った先生のご紹介

山下 能毅 先生(うめだファティリティークリニック)


大阪医科大学医学部を卒業後、北摂総合病院産婦人科部長・大阪医科大学産婦人科病棟医長、医局長、講師として、不妊治療や腹腔鏡手術に積極的に取り組む。2014年、宮崎レディースクリニックの副院長に就任し、2017年4月、同院の院長に。

≫ うめだファティリティークリニック

卵管閉塞について教えてください。


卵管因子は不妊原因のなかでもっとも多く、全体の20〜30%を占めるといわれています。なかでも卵管閉塞は卵管間質部、卵管狭部、卵管膨大部、卵管采など、いずれかの卵管が詰まることで精子や卵子が通過できなくなる病変です。また、卵管閉塞が起こる原因はクラミジアや淋菌、大腸菌などの細菌感染による卵管の炎症や子宮内膜症です。
まずは通水・通気検査、子宮鏡検査、子宮卵管造影検査などで、子宮内腔の状態や卵管内部の癒着や閉塞を調べます。子宮卵管造影検査では卵管ひだの構造も診断の対象になります。卵管ひだには、ぜん動運動をしながら卵子を子宮に運ぶ役割があり、傷ついていたり、消失していると卵子を運べなくなる可能性があります。さらに卵管ひだの構造は再生されないため、病変の観察はとても重要になります。
担当の先生が「解像度が悪すぎて見えない」とおっしゃるのはその通りで、ファイバースコープに内蔵されているカメラの精度の問題でしょう。解像度が高いカメラであれば卵管内部の病変はもちろん、卵管ひだもきれいに確認できます。カメラの精度は施設によって異なりますので、施設に確認して納得したところで受けられるといいと思います。
片方の卵管が閉塞している場合は自然妊娠が期待できることもありますが、両側の卵管が完全に詰まっている場合はFTで閉塞部を再開通させるか、体外受精を検討することになります。


FTを検討されているそうです。どのような治療法でしょうか。


FTは、卵管が狭くなったり、閉塞している部分にビデオカメラを内蔵したバルーンカテーテルを通して、卵管全域を詳しく観察できます。それと同時に卵管内部をバルーンで押し広げながら前進して卵管形成(精子や卵子を通りやすくする)を行う治療法です。FT術後の卵管の回復率は97%ですが、1〜3カ月後の再閉塞率は10%あります。また、FT術後の妊娠率は30%で、そのうち1年以内に妊娠した人は87%です。
ちなみに子宮鏡カニュレーションは、卵管にカテーテルを通して卵管の通りを確認することができます。
コリラさんのご質問の中に「FT後の異所性妊娠率は20%」とありますが、一概にFT後の確率とは考えにくいと思います。収集されたいろいろな情報が混在しているのかもしれませんね。一般的に卵管が詰まっていて異所性妊娠の既往がある場合再発する可能性は20%とされています。ただ異所性妊娠のデータは各施設によって違いますので、担当の先生にお聞きになるといいと思います。もしも異所性妊娠の既往がなければ、問題になるのは卵管閉塞の再発です。FT術後の再閉塞率は10%といわれていますので、こちらに該当すると再閉塞による異所性妊娠の可能性があります。


③最後にアドバイスをお願いします。


コリラさんは40歳で、卵巣の予備能を推測するAMH(抗ミュラー管ホルモン)は2・75 ng / mlあります。自然妊娠を目指されるのであれば、まずはFTを行い、1年以内に妊娠しないようであれば体外受精を視野に入れてはいかがでしょうか。年齢とともに卵巣機能が低下していくと卵子のクオリティも下がり、染色体異常の確率が増えていきます。子宮鏡カニュレーションで開通しなかったとのことですので、卵管閉塞がかなり強くなっている可能性もあります。
繰り返しになりますが、FT後の妊娠率は30%です。体外受精の妊娠率は30%ですので、FTと体外受精の妊娠率はほぼ同じです。当院ではどちらの選択肢もご提示して、それぞれ選択してもらうようにしています。ただ42歳を超える方については、せっかくFTをされても自然妊娠自体が難しくなりますので、体外受精をおすすめしています。


先生から
40代以降は自然妊娠自体が難しくなります。FT術後1年以内に妊娠しない場合は、体外受精を視野に入れてはいかがでしょうか

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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