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更年期世代★ 微妙な年頃50歳前後は、 生活を見直す絶好のチャンス

コラム 女性の健康

更年期世代★ 微妙な年頃50歳前後は、 生活を見直す絶好のチャンス

不安の少ない閉経を迎えるため、更年期に陥りがちな心理状態を、日本社会の現状をまじえて丸本百合子先生に伺いました。

2019.4.5

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40代後半になると生理のペースや出血量などが乱れ、“更年期、閉経”を意識しはじめる女性は多くなります。同時に、体の変化に戸惑い、漠然とした不安を抱くことも少なくありません。閉経前後の女性の心理や更年期に詳しい百合レディスクリニック院長の丸本百合子先生にお伺いしました。




40代の生理の乱れ、更年期のせいは×(バツ)


通常、女性は50歳前後で生理がなくなり(※)、その周辺を更年期というのですが、この更年期に対して誤解している人がまだいらっしゃいます。

なかでも多いのが、ダラダラと出血が続く生理の乱れを、「更年期だから仕方ない」と誤解して出血を放置してしまうケースです。

閉経前とはいえ、更年期のせいにしてはいけません。もしかすると子宮体がんで出血していることもあるからです。

そもそも、閉経前の生理の乱れには原因がふたつあります。
1つめは、閉経のために卵巣が働きをやめて、ホルモンが出なくなるために起きる生理の乱れ。2つめは、卵巣の働きはまだ大丈夫なのに、脳からの命令が悪くなって卵巣ホルモンが出なくなるために起きる生理の乱れです。脳の命令に悪い影響を与えるのは、強いストレスや働きすぎ、不規則な生活などです。

注意すべきなのは後者です。生理の乱れによる出血を長く放置すると、子宮体がんを見逃すことがあります。50歳前後の生理事情は本当に微妙なため、更年期のせいだけにせず、原因をはっきりさせなければいけません。婦人科で採血検査をしてホルモン値を測れば原因はちゃんとわかります。検査や治療費も保険診療で行え、治療すれば生理の乱れは収まるので安心してください。

※閉経に至るまで
個人差はありますが一般的には、閉経時期の最初の頃は頻繁に生理がきたり、若い時には1週間くらいで終わった生理が、無排卵月経のため2週間くらいダラダラ続くようになります。その後、生理の間隔が徐々に空き、やがて1年以上こなくなって閉経します。


閉経年齢が「早い・遅い」、リスクはどう違う?




日本の女性が閉経する年齢平均は50.5歳です。実は閉経する年齢が早くても遅くても両方にリスクがあります
50歳前に生理がなくなる閉経の早い人は、将来骨粗鬆症のリスクがあります
卵巣ホルモンの一つ・エストロゲンには骨の健康を保つはたらきがあり、人生60、70年の時代は50歳前で閉経しても支障はありませんでした。しかし長寿社会では、あまり閉経が早いと80歳くらいの時に「骨折→寝たきり→痴ほう」という経過をたどることが多くなります。

一方、50代半ばまで生理のある閉経が遅い人は、子宮体がんのリスクがあります。これは生理のもとになる子宮内膜の入れ替わりが年齢とともに鈍くなり、内膜が剥がれずに子宮内に留まる期間が長くなるためです。するとこの残ったままの子宮内膜が古い組織となって、がんへと変わる危険をはらんでくるためです。

このように、閉経が早い人は骨粗鬆症の予防治療を考え、閉経の遅い人や生理が乱れがちな人は、子宮がん検査を行っておくと安心でしょう

子宮がん検査には2つの種類があり、会社の健診や自治体が補助する検査は「頸がん」のみ。つまり、頸がん検査は頻繁にやっていても、「体がん」検査をしている人はとても少ないのです。検査を申し込む時に「体がんをお願いします」と伝えると確実です。


体のサインを無視すると更年期うつの恐れも




更年期に差しかかると、だれでも体に変化が現れてきます。よく知られているのはホットフラッシュやうつなどでしょう。
なかには必ずうつになると思い込んで、更年期を怖がる女性もいらっしゃいます。でも、みんながうつになるわけではありません。更年期という自然の現象をどう受け止めるかによって、そうでない人とうつになりやすい人に分かれます

そもそも更年期は、体力が落ちてくる年齢のため3つ4つの仕事が同時にできなくなり、能率も落ちて時間がかかるという「変化」がおきます。仕事を減らしたり、若い人に頼んだりと臨機応変にやり過ごせる人はうつになりにくいのですが、仕事を減らせなかったり、できなくなった自分を責めてムリを重ねる人がうつになりやすいのです。

そこでアドバイスしたいのは、一生懸命がんばってもできないものはできませんということです。やる気がでないのは「これ以上がんばると心が壊れてしまう」という体からのサインだと思ってください。そして疲れを感じたら、まず休みましょう。

また、「更年期の辛さは、がんばって仕事をしていれば忘れられる」と思い込む人や思いこまされている人もまだいらっしゃって、うつになりやすい人はその傾向が強いですね。
でも、頑張って仕事をしても、更年期の辛さを忘れるということはありません。この思い込みが間違いであることを知ってください

そしてつらさを感じたら、やはりまずひと休みしてください。それでもつらさが収まらなくて、生活や仕事に影響するようでしたら、治療するのがよいと思います


長寿社会の更年期世代はつらい




実は更年期にうつになりやすいのは、日本の人口構造のいびつさにも一因があることを知ってほしいですね。ご本人のせいだけではないという見かたもあるわけです。

いまは90歳、100歳のお年寄りがたくさんいらっしゃる時代です。シニアから見ると50歳はまだ若いといわれ、まだ頑張らなくてはいけない、と無意識に思わされる年齢なのです。
でも、人生60、70年の時代は、更年期を迎えたら高齢者として大事にされました。アニメ「サザエさん」のお父さん・浪平は54歳。お母さんのフネも50ウン歳で、ふたりとも見た目はお爺さんお婆さんでも、じつは更年期世代です。

それがいまの更年期世代は、体力は落ちているのに社会からは若者扱いされてしまう時代で、「つらい、頑張れない」といいにくい空気があります。しかも50歳全後は仕事の責任がもっとも重く、後輩の指導や育成もあり、プライベートでは介護や育児を抱えてと、心身に大きなストレスがかかりやすい時期。これがいまの日本の社会で、更年期世代がおかれている状況です。

私が想像するに、ひと昔前の更年期世代に比べて、いまの更年期世代のほうがつらいと思います。そうはいっても、この長寿社会の一員として、なんとか上手にこの時期をやり過ごす必要があります。
だからこそ、頑張り過ぎたりムリしたりしがちな人は、自分を責めないでほしいと思います。「頑張れ!」という周囲の声を鵜呑みにしないで、できないのは社会のせいにするくらいらいの図々しさを持ちましょう。体力や能率の低下は当たり前なことと受け止め、「これ以上ムリ」と開き直っていいのです

つまり更年期とは、体力が落ちていく自分とどう折り合いをつけていくのか、生活を見直すチャンスでもあります。そして、体をいつくしむ気持ちを積み重ねていってください。間違ってもムリを積み重ねてはいけません。そうして過ごすことで、更年期の不安は軽くなると思います。


まとめ


更年期への間違った思い込みはなくしましょう。そして体からのサインをちゃんと受け止めて、自分で自分を守ってあげてください。


 


お話を伺った先生のご紹介

丸本 百合子 先生(百合レディスクリニック 院長)


東京女子医科大学卒業 東京厚生年金病院産婦人科、東京大学医学部付属病院分院産婦人科勤務(医局長)、同愛記念病院産婦人科などの勤務後、2000年に江東区亀戸に百合レディスクリニックをオープン。
子どもを産みたくなってはじめて女性の性やからだの仕組みを知るのではなくて、セックスの体験を持つ前からからだの仕組みを知ってほしいという思いを持つ。子どもを産む女性も、産まない女性も、産めない女性も、自分のからだを自分の人生のためにいつくしめるような環境づくりを求めて、講演や著作活動も行う。著書に『からだの主人公は私』『わたしのからだはわたしのもの』などがある。
プライベートでは長く発声レッスンを続けていたが、最近は美術鑑賞でリフレッシュしている。日本の国宝と西洋の美術のいずれも鑑賞するのが好き。休日に一人でじっくり鑑賞するのが流儀。

≫ 百合レディスクリニック

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