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「早発閉経」―――そのリスクと対応を知っておこう

インタビュー 女性の健康

「早発閉経」―――そのリスクと対応を知っておこう

「早発閉経」(正しくは早期卵巣不全)を知っていますか? その症状やリスクについて田中美香先生に解説していただきます。

2019.4.30

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「早発閉経」(正しくは早期卵巣不全)という病名を知っていますか? 不妊治療を経験した方なら比較的聞くことがあるかもしれませんが、不妊治療をしていない方でも起こる病です。その症状やリスクについて「恵比寿みかレディースクリニック」の田中美香先生に解説していただきます。




そもそも早期卵巣不全ってどんな状態?


一般的には早発閉経と言われていますが、正しい名称は早期卵巣不全(POI)で、40歳未満で閉経してしまう病態を指します。30歳未満で約0.1%、40歳未満で約1%、また年齢的な定義からは外れてしまいますが、45歳未満では10%の確率で起こるとされています。

40歳未満で閉経してしまう場合の原因としては、主に染色体異常や、自己免疫疾患などで発生すると言われています。

一方不妊治療を受けている方のなかには子宮内膜症の方も多く、内膜症にかかると正常卵巣がダメージを受け、卵巣の加齢現象が進んでしまうと言われています。

また、内膜症による卵巣嚢腫を摘出することで卵巣機能が落ちてしまうというケースもあります。


 


一般的な症状、またその先の治療は?


確率的にそう高くはないとしても、知らないと後々リスクがあるこの病気。更年期に入っている方なら、そろそろ閉経が近いのかな?と感じやすいのですが、40歳未満ではわかりにくいものです。

その症状としては、まずは「生理周期が早くなっていないか」がポイントです。たとえば28日周期でずっときていたのに、最近25日周期に変わってしまったなど。経血の量は関係なく「周期」が見きわめのポイントになります。

その次はだるい、のぼせる、めまいがする……など、人により表れかたは違いますが、いわゆる“更年期症状”と呼ばれるものと同じことが起こりやすいとされています。これは、女性ホルモンが欠乏しているという体の悲鳴ですね。

これらの症状が見られたら婦人科を受診し、採血をして診断します。女性ホルモンの減少による早期卵巣不全と診断された場合には、ホルモン補充療法を行います。更年期のようなうつを伴う場合には、婦人科医と精神科医との連携が必要となり、一緒に治療を進めていきます。

当院では2019年4月より精神科医の先生と連携して治療を進めていけるシステムを作っています。


 


早期卵巣不全による体のリスクは?


人より早く閉経してしまうことで起こる体へのリスクは、女性ホルモンの減少により加齢現象が早くなることです

具体的な例をあげると、女性ホルモンの低下により、内臓脂肪蓄積型の肥満になり易くなったり、つまり、メタボリックシンドロームになりやすい状態になります。そのほか、動脈硬化や骨粗しょう症が進行します。

今、人生は100年時代を迎え、健康寿命と実際の寿命には13年のへだたりがあると言われています。つまり13年は介護を受ける可能性が高いということです。

その昔、女性は閉経より寿命を迎えるほうが早かったころから時代は大きく変化しています。閉経を平均的な年齢より早く迎えてしまった場合、健康寿命をいかに長くするかについて、ぜひ医師と相談してください。

早期卵巣不全のホルモン補充療法は、経皮、経口、塗布など服用方法の選択肢がありますし、ホルモン補充に抵抗があればサプリメントという方法もあります

早期卵巣不全は治療を選択することができるものです。健康寿命を延ばすためにも、体調の異変を感じたら積極的に婦人科を受診してみてください。


 


先生からのメッセージ


女性の体は、閉経を迎えるとさまざまな加齢現象とそれに伴う健康上のトラブルが表に出てきます。

早く閉経が訪れたという人は、少しでも早くアンチエイジングのケアを受けることでそのダメージを最小限に抑えることができます。そのためには、生理の変化を感じたらためらわずに婦人科を受診し、必要なケアを受けていただきたいと思っています。

たとえ標準よりも早く閉経してしまっても、生き生きとその後の人生を楽しむためにも、ホルモン補充やサプリメントなどの治療を積極的に考えていきましょう。

また、成人病といわれてきた疾患の多くは、最近中高年だけでなく、若年層にも広がってきており、意識的に健康管理していても変化が訪れてしまうものです。そのため、食生活を大事にすることが肝要と言えるでしょう。


 


お話を伺った先生のご紹介

田中 美香先生


順天堂大学医学部卒業。順天堂大学産婦人科、公立昭和病院、東京都保健医療公社 東部地域病院勤務を経て、平成30年11月、東京・恵比寿に「恵比寿みかレディースクリニック」を開院。専門分野の子宮頚部異形成に対する低侵襲な手術に加え、女性の10代からのライフステージにおけるさまざまな症状に対しての健康相談や治療も可能。ご自身の子宮内膜症や不妊治療の経験から、治療の選択肢についての相談もできる。ご趣味はフラメンコという、とてもアクティブな先生です。

≫ 恵比寿みかレディースクリニック 

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