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【特集】なぜできるだけ早く治療したほうがいいの?

コラム 妊活

【特集】なぜできるだけ早く治療したほうがいいの?

不妊治療を始めるタイミングに悩んではいませんか?「夫婦ともに健康だから、もう少し様子を見て」、「できれば、自然妊娠で」とためらっている間にも、卵子の老化は進みます。まずは自分が「妊娠できる体か」をチェックして!

2019.6.7

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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


凜さん(35歳)からの相談
● 健康な35歳の夫婦ですが、不妊治療は必要?
結婚して8カ月になります。子どもが欲しくて排卵日前後には必ず性交渉していますが、なかなか妊娠しません。基礎体温はきれいに二相に分かれています。本などを見ると、普通に性交渉があれば1年以内に妊娠する確率が90%以上と書かれていたように思います。なので、もう少し様子を見ようかと思う反面、不妊治療専門クリニックに行ったほうがよいかな、との思いもあります。私たち夫婦はともに35歳で、再婚で、私には過去に流産の経験があり、夫の元妻も流産したことがあるとのこと。夫婦ともに健康ですが、こんな私たちも不妊治療に取り組むべきですか?

まとめ
35歳以上は要注意!
「妊娠できる体」か、専門医療機関で確認

お話を伺った先生のご紹介

小田原 靖 先生(ファティリティクリニック東京)


東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996 年恵比寿に開院。

≫ ファティリティクリニック東京

35歳を過ぎているならすぐに治療をスタート


不妊の定義は、「一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」で、一定期間については「1年」というのが一般的です。ご相談者の凜さんはご結婚から8カ月と1年未満ですが、35歳というご年齢を考えると、早めに不妊治療されたほうがベターと考えます。
不妊の定義では一定期間を「1年」としていますが、年齢によって妊娠しやすさは大きく変わり、20代前半では1周期あたりの妊娠率は約25%ですが、30代後半では12%ほどに低下します。
自然妊娠もそうですが、体外受精での妊娠率も、統計的に年齢が上がるほどに低下することがわかっています。そのボーダーラインの年齢が35歳ですので、凜さんはすでに「妊娠しづらい年齢」に突入したということになります。
「夫婦ともに健康なので」とありますが、卵子は年齢とともに確実に減り、老化します。ヒトの細胞はほとんど生まれ変わるのですが、卵子はこの世に生を受けた時に備わっていたものをそのまま保ち続けるという特異性があり、精子のように毎回新しくつくられることはありません。いわば、「引き落とししかできない貯金通帳」のようなもので、月経があるごとに残高は減り、貯えが底をつくと閉経を迎えます。さらに、体内で30年、35年と長い年月を過ごした卵子は、細胞や染色体の構造に異常が生じやすくなります。見た目をどんなに若々しく保てたとしても、卵子の老化は止めることはできません。35歳以上のご年齢なら、まず不妊治療専門クリニックを訪れてください。


きちんと検査を受けて、妊娠しない原因を把握


「治療」といっても、すぐに体外受精や顕微授精をおすすめするわけではありません。まずは、検査です。AMH値などからは、卵巣機能がどれほど若々しさを保っているかといったことがある程度わかります。ご自分が妊娠できる状態か、どれほどの可能性があるかをよく知ることが、治療の第一歩だと思います。
「過去に流産の経験がある」とのことですが、1度の流産でしたらそれほど気になさらないでよいでしょう。流産後の経過が何かしら不妊の原因になることも考えられないではありませんが、これも検査をすればわかることです。「どうしてなかなか妊娠しないの?」と気に病むよりも、専門医に相談して、原因を探ったほうがすっきりすると思います。
不妊治療を早めに始めたほうがよいのは、「特定不妊治療費助成金」に年齢制限が設けられているという理由もあるからです。お住まいの地域の自治体によっても異なりますが、東京都なら39歳までは通算6回まで助成金が受けられますが、43歳以上になると対象外となります。
第2子、第3子と複数のお子さんを授かりたいなら、35歳にこだわらずにやはり早めに専門医にご相談ください。


1.妊娠の可能性を把握
35歳は妊娠しづらくなる年齢のボーダーライン。持病や流産経験などがあるならもちろんのこと、健康であっても卵子が老化している場合があるので、まずは不妊治療専門クリニックで検査を受けよう。自分にどれほどの妊娠の可能性があるかを把握しておくことが肝心。その後の治療方針も専門医に相談を。助成金制度については各自治体にお問い合わせを。

2.助成金を賢く利用して
不妊症と認められた場合、39歳までなら通算6回、40~42歳なら通算3回まで、特定不妊治療助成金を受けられる(※東京都の場合)ので、賢く利用を。43歳以降は対象外になるので要注意。第2子、第3子と複数の子どもを授かりたいなら、35歳という年齢にこだわらず、20代でも専門医の助言を仰いで計画を。

3.情報に惑わされない
「こうすれば必ず妊娠する」「生理が順調なら1年以内に90%は妊娠する」といった、雑誌やインターネット情報を過信しないこと。妊娠率は年齢によっても異なり、個人差も大きいので、誰かと同じであることも、正解もない。信頼できる不妊治療専門医を見つけることが最良策であり、妊娠への近道と心得て。

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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