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排卵誘発剤で卵胞が多く育つ。体外受精にしたほうがいい?

コラム 不妊治療

排卵誘発剤で卵胞が多く育つ。体外受精にしたほうがいい?

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2019.6.21

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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


ayaさん(29歳)からの相談
卵胞が多く育ってしまいます
多囊胞性卵巣症候群で治療中です。4月周期にクロミフェンで排卵し妊娠しましたが流産。8月から治療を再開しました。前周期にクロミフェンを5日間服用したところ3つの卵胞が大きくなってしまいタイミングを見送りました。今周期はレトロゾールに薬を変更し5日間服用、現在D12です。卵胞のチェックをしたら右側に11〜14mmの卵胞が5〜6個ありました。薬が合わないのか効きすぎなのでしょうか。主治医からは体外受精を検討しては、と言われています。前回はタイミングで授かったので、体外受精に進むことは想定外で戸惑っています。今周期も見送りとなったら、次は薬を減らしてみようと思いますが、体外受精も前向きに検討すべきでしょうか?

まとめ
●まだ若いので排卵誘発剤での治療をいろいろ試してみるといいでしょう。
●一年で効果が出なかった場合は体外受精に進んでもいいですね。

お話を伺った先生のご紹介

神谷 博文 先生(神谷レディースクリニック)


札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学講座に入局後、斗南病院にて産婦人科科長を10 年間務める。1998 年、神谷レディースクリニックを開業。

≫ 神谷レディースクリニック

多囊胞性卵巣症候群の一般的な治療方法について教えてください。


卵巣に多数の小さな卵胞があり、排卵しづらい多囊胞性卵巣症候群。「稀発月経、無月経などの月経異常」「超音波検査で2〜9mmくらいの小卵胞が8〜10個以上ある」「血中の男性ホルモン高値、またはLHの基礎値が高値」が診断基準です。治療は、一般的にはクロミフェンなどの排卵誘発剤からスタートします。増量しても排卵しない場合は、次の選択としてアロマターゼ阻害剤(レトロゾール)などの経口薬を使用します。効果がなければレトロゾール服用後に、少量のゴナドトロピン製剤37・5〜50単位を連日投与して発育卵胞ができるのを期待します。効果が得られなければ体外受精に進むか、卵巣に小さな穴をあける腹腔鏡下卵巣多孔術(ドリリング)を行う場合もあります。


クロミフェンとレトロゾールはどのようなお薬なのですか?


どちらも排卵を誘発する薬ですが、誘発の仕組みと効果が違います。クロミフェンは脳の視床下部に作用してFSH分泌を促します。レトロゾールはエストロゲンの分泌を低下させて負のフィードバックによりFSHの分泌量が上がります。クロミフェンは体内で作用する期間が7〜10日と長く、複数の卵胞が育ちやすいのが特徴。抗エストロゲン作用で頸管粘液の分泌や子宮内膜に悪影響を及ぼすことがあるため、4~5周期使ったら、休薬するか薬を替えたほうがいいでしょう。レトロゾールは効いている時間が48時間と短いため1つの卵胞が発育しやすくなります。


複数の卵胞が大きくなるのはなぜでしょう? ステップアップについてはどう思われますか?


なかなか卵胞ができないため、HMG注射を併用しているのかもしれません。また、単一卵胞が発育しやすいレトロゾールでも、多囊胞性卵巣症候群が強い場合は複数の卵胞が育つのかもしれませんね。
ステップアップについては、一般的な多囊胞性卵巣症候群に対する薬物治療の効果がない場合や、ドリリングを希望しない場合は、体外受精へ進むのもいいでしょう。体外受精には、胚を凍結保存することで複数回に分けて移植することができる、多胎妊娠を防げるというメリットがあります。


今後の治療法について、アドバイスをお願いします。


ayaさんはまだ若く、生理周期を見ると多囊胞性卵巣症候群は軽度〜中度と思われます。クロミフェンで一度妊娠されていますし、体外受精へステップアップする前に、もう少しいろいろな治療法を試してもよいかもしれません。たとえば、次の周期はクロミフェンの投与量を減らしてFSHを急に上げないように、卵胞が5〜6個できても、レトロゾールを減量し発育の早い卵胞だけ大きく育てる、といった方法も考えられます。一般的な不妊治療を1年以上行って妊娠しなければ、体外受精にトライするのもいいでしょう。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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