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成長が遅い胚のため移植をキャンセル。本当は戻したほうがよかったのでしょうか?

コラム 不妊治療

成長が遅い胚のため移植をキャンセル。本当は戻したほうがよかったのでしょうか?

「高い治療費をドブに捨てたような気がして、これでよかったのかと考えてしまいます。また、今後の治療はどのような方法が最良でしょうか。」

2013.6.27

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相談者
みみみさん(38歳)
■ 38歳で本格的に不妊治療を開始。AMH値が0.68ng/mLと低く、先生には卵子の質が悪いと言われています。また、子宮内膜が薄いので着床しづらいとも。今までに採卵を2回行い、どちらも採卵できたのは3個でした。前回の体外受精はダメだったと言われて移植することもできず、今回の顕微授精では2個受精したものの成長が遅いらしく、「戻しても99%妊娠しないだろう」と言われて移植をやめてしまいました。1%の可能性にかけて、移植したほうがよかったのでしょうか。高い治療費をドブに捨てたような気がして、これでよかったのかと考えてしまいます。また、今後の治療はどのような方法が最良でしょうか。



ジネコ:顕微授精で受精したものの、胚の成長が遅く、「移植しても99%妊娠しない」と言われたそうですが、やはりこのような胚の場合、移植することはないのですか?


臼井先生:そうですね。当院でも、胚の成長の日数が遅れていたら、移植をキャンセルすることにしています。育つのが遅いということは、その胚には成長する力がなく、移植をしたとしても妊娠まで到達することは難しいと考えられます。 通常は、2日目で4細胞、3日目で8細胞、4日目で桑実胚、5日目で胚盤胞になるのですが、当院ではこの基準の日数より遅れて育つようであれば、「移植はできない」と患者さんにお伝えしています。しかし、初期胚の段階で成長が多少遅くても、グレードのいいものであれば、胚盤胞まで培養して凍結胚盤胞移植をすることもあります。成長が遅いだけならそのような方法もあるのですが、みみみさんの場合は、おそらくグレードもあまりよくなかったのではないでしょうか。


ジネコ:胚のグレードも妊娠率に影響するのでしょうか。


臼井先生:胚のグレードは妊娠率に影響すると考えられています。胚の評価は5段階に分類されています。
グレード1は、卵割球は均等でフラグメンテーション(細胞の破片)がない状態のもの。グレード2は、卵割球は均等でフラグメンテーションが10%以下。グレード3は、卵割球は不均等でフラグメンテーションが以下。グレード4は、卵割球は不均等でフラグメンテーションが10~50%。グレード5は、卵割球は不均等でフラグメンテーションが50%以上の状態のものを指します。
妊娠率もこのグレードによって差が出てくることがわかっており、移植した最良好胚で比べると、グレード1だと妊娠率が25~30%なのですが、グレード5だと1~2%と、かなり低い確率になってしまいます。
この方の今回の胚は成長が遅いだけではなく、胚盤胞まで培養できない、グレードにも問題のあるものだったのかもしれません。ご担当の先生もその辺はしっかり評価をされていると思います。やはり、今回は胚を戻しても妊娠の可能性は極めて低く、移植をしなかったことは正しい選択だったのではないでしょうか。


ジネコ:38歳という年齢で、AMHの値がかなり低いということ。胚が成長しにくいのは、それらが原因になっているのでしょうか


臼井先生:AMHの値が0.68ng/mLというのは確かかなり低く、40代くらいの方の数値です。AMHは卵巣の予備能力を調べるもので、低いということはそれだけ残っている卵胞の数が少ないと考えられています。採卵しても採れる数は少ないと思いますが、しかし質もすべて悪いのかというと、そうは言いきれません。周期によって採れる卵子の質に違いが出ることもあります。一度の採卵で良好な胚に育つ卵子が採れる方もいますし、10回採卵をしてやっといいものが採れるという方も。
38歳というご年齢からすると、確かに質は全般的に低下しているかもしれませんが、2回採卵してそれぞれ3個ずつと、卵子はまだ採れる状態です。顕微授精で受精もされていますから、少しでもいい状態の卵子が採れれば良好胚に育ち、移植まで持っていけるのではないでしょうか。


ジネコ:良い卵子に出会えれば、まだチャンスはあるということですね。ではそのために、今後どのような治療をしていけばいいのでしょうか。


臼井先生:おそらく体外受精ではロング法、顕微授精ではアンタゴニスト法で卵巣刺激をされていると思いますが、次の採卵ではこの刺激法を変えてみてはどうでしょうか。
当院でしたら、次回は自然周期か低刺激のクロミッド®を試してみると思います。もしくは、自然周期で最後にアンタゴニストを使っていく。ご年齢とAMH低値ということを考慮すると、卵巣にあまり負担をかけず、なるべく自然に近い方法で採卵していったほうがいいのではないかと思います。
体外受精では受精されなかったようですから、やはり今後も顕微授精という方針がいいでしょう。うまく受精したら、胚盤胞まで育てて凍結。子宮内膜が薄いということなので、内膜の状態を整える意味でも凍結胚移植のほうがいいと思います。
せっかく治療を頑張ってきたのに、最終段階の移植ができないとなったら、ショックを受けられるのは当然だと思います。残念なお気持ちはわかりますが、移植することが目的ではなく、妊娠・出産することがゴールです。みみみさんが妊娠される可能性はまだ十分ありますから、移植をキャンセルしたことは一度リセットして、また新たな気持ちで次の採卵に向けて準備をしていただきたいですね。



臼井 彰 先生
京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病院で主に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科で研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科学会認定医。O型・おとめ座。かしわざき産婦人科は不妊治療からお産まで診てもらうことができるので、妊娠後も安心。先生にとっても、赤ちゃんを抱くまで患者さんを見届けられるのはとても嬉しいことなのだそう。





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