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【40代の不妊治療】ロング法で結果が出ず、 OHSSにもなりました。 次はどんな刺激法が最適?

コラム 不妊治療

【40代の不妊治療】ロング法で結果が出ず、 OHSSにもなりました。 次はどんな刺激法が最適?

40代でも卵巣の予備能がある程度保たれている場合、強めの刺激、それとも自然な形で採卵したほうがいいのでしょうか。臼井医院不妊治療センターの臼井先生に詳しいお話を伺いました。

2019.7.7

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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


れもんさん(40歳)からの相談
相談内容
今年の4月にロング法で8個採卵。成熟卵が5個、そのうち受精卵が4個でした。胚盤胞1個、分割胚1個を凍結。OHSSのため1周期ずらして胚盤胞移植するも結果は陰性。その次周期である今周期の移植に向け、ホルモン補充しています。前回陰性だったこと、また、OHSSになったことから、この移植後の採卵方法を考えています。医師に相談したところ、「卵巣の反応は悪くないからそのままこの治療で」といわれましたが、自然周期のことも気になってきています。自然周期であれば採卵後周期を空けずに移植できますし、貯卵していくこともできるからです。ただ、卵子が採れない可能性や数の少なさでの不合理性を医師から指摘され、簡易法やアンタゴニスト法での刺激を提案していただき、迷っています。


●これまでの治療データ
子宮卵管造影、ホルモン検査、経腟超音波検査など、ひと通り検査を済ませて夫の検査に入り、体外受精をすすめられる。AMH値は2.97ng/ml。人工授精は飛ばし、今年の4月にロング法で1回目の採卵。顕微授精を実施し、胚盤胞移植を行うが結果は陰性に。

【不妊の原因となる病名】特にいわれていないが、3年前に子宮筋腫を切除

【精子データ】運動精子濃度0.05、総運動率3%、精子濃度1.65、前進運動精子2.1、正常形態率7%で、乏精子症、精子無力症と診断される。

【サプリメントの使用】夫は亜鉛とマルチビタミンを1日おき、私はエレビットⓇ、チアシードを飲用

Doctor’s Advice
●アンタゴニスト法でOHSSを回避。
●高刺激の妊娠率が高いのは質より確率。
●初期胚での新鮮胚移植も選択肢に。

お話を伺った先生のご紹介

臼井 彰 先生(臼井医院不妊治療センター)


東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。

≫ 臼井医院不妊治療センター

ーー1回目はロング法で採卵されたようですが、結果を踏まえ、この選択についてはどう思われますか。


施設や先生の考え方によって異なると思いますが、当院では1回目でロング法を選択することは少ないです。最初は低刺激から始め、結果が出なかったらもう少し高い刺激法に変えていくことはあります。
今回、れもんさんはロング法を選択されましたが、ある程度の数の卵子が採れて、1つは胚盤胞にもなっています。OHSSになったくらいですから、担当の先生がおっしゃるように卵巣の反応は悪くないということでしょう。最初の移植で結果は出ませんでしたが、決して悪い選択ではないと思います。


ーー担当の先生は次回、アンタゴニスト法などでの刺激も提案されているようですが。


アンタゴニスト法はロング法やショート法などの高刺激とクロミフェン中心の低刺激の中間くらいの刺激法です。
 れもんさんはロング法でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になったので、薬を使った刺激だと次も起こるのではないかと心配されているのだと思います。OHSSは、治療時に排卵させるためのHCG注射をすると起こる確率が高くなります。ロング法はどうしてもHCG注射を打たなければならないのでリスクが高まりますが、アンタゴニスト法なら、OHSSになりそうだったらHCG注射を回避できます。
 アンタゴニスト法は中程度の刺激で採卵数もある程度確保でき、その時の反応に合わせて注射の量や回数を加減できるので、採用しやすいのではないでしょうか。


ーー自然周期での採卵はどうでしょうか。


当院でも、患者さんが希望されれば自然周期での採卵をすることもあります。また、刺激をしても出だしがすごく悪いなど、反応が悪い方やFSH値が高い方は薬を使わず、自然な形で進めていくことも。
自然周期だから、刺激をしたから……など、方法によって卵子の質が変わってくるかどうかは何ともいえません。ただデータとしては、初回の体外受精で刺激を高めにしてやっていくと妊娠率は5割程度という報告があります。高刺激だと採れる卵子数が多いので、1回の採卵で移植できる回数や、良い卵子が出る率が増えます。質というより数、つまり確率論ということになりますね。
とはいえ、確率だけで計れるものではなく、何周期か刺激を続けて卵子がたくさん採れても結果が出ず、自然周期で採卵した1個で妊娠されたというケースもあります。残念ながら、どんな方にも確実に効果があるというやり方はなく、反応を見ながら合う方法を見つけていくというのが現状だと思います。


ーー臼井先生だったら、次はどのような治療を提案しますか。


れもんさんは年齢の割に、卵巣の予備能を表すAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が悪くなく、お薬に対しての反応もいい。どんな方法でも選択できると思いますが、結果が出なければ次は違う方法をご提案すると思いますね。
当院だったら次はクロミフェンを中心に、HMG注射150単位を2、3回プラスする低刺激をおすすめすると思います。ロング法より採卵数は少し減ってしまいますが、体への負担が最小限で良い受精卵ができるかもしれません。
また、刺激法だけではなく、移植のやり方を変えてもいいかもしれませんね。初期胚で新鮮胚移植を試みてもいいのでは。胚盤胞での移植は妊娠率が高いとされていますが、本来は体内の環境で育つほうが望ましいので、初期胚で戻しても妊娠の可能性は十分あると思います。実際、胚盤胞移植で結果が出ず、初期胚移植で妊娠された方も少なくありません。
まだ体外受精を始められたばかりとのこと。先生と相談しながらいろいろ試して、ご自身に合う方法を模索していっていただきたいと思います。


ーー最後に、れもんさんからの「体外受精治療中の運動と夫婦生活について注意点を教えてほしい」という質問について、お答えいただけますか。


れもんさんはホットヨガを始めたいと思っていらっしゃるようですね。健康のためにはよいと思いますが、刺激している期間、OHSSのリスクが高まっている時はホットヨガやサウナは脱水の危険があるので控えてください。
治療中、特別禁忌な行動はありませんが、採卵後1、2日後は激しい運動や夫婦生活は避けたほうがいいでしょう。採卵するために針を刺して卵巣が傷ついている状態なので、刺激をすると出血などを起こす可能性もゼロではありません。
その期間以外、制限はなく、むしろウォーキングやストレッチなどで体を動かすのは血流が良くなり、ストレス解消にもつながるので望ましいかと思います。


先生から
結果が出なければ次は刺激法や移植法を変えて合うやり方を探していきます

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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