HOME > 妊活 > 将来、子どもを授かるために今できること
HOME > 妊活 > 将来、子どもを授かるために今できること

将来、子どもを授かるために今できること

インタビュー 妊活

将来、子どもを授かるために今できること

「生理があれば妊娠できる」と考えている人もいるようです。本当にそうでしょうか。子どもが欲しいと思った時に授かれるよう、今からできることを稲毛とらのこ産婦人科の渡邉征雄先生に伺いました。

2019.8.23

あとで読む

将来、妊娠を考えるなら今からプレコンセプションケアを




「仲のいい友達が妊娠した」、「同級生が出産するらしい」と聞くと、なんとなく「私も子どもを…」と考えたり、焦りを感じて妊活を始めようと考える人もいるでしょう。
まず、なにか行動する前に本当に子どもが欲しいのかを真剣に考え、パートナーと話し合っておくことが重要です。そこで「いつか子どもが欲しいね」となったら、プレコンセプションケアを考え始めてください。


 


WHOやCDCも推進している妊娠希望を前提とした健康法


プレコンセプションとは、受胎(コンセプション)前に女性やそのパートナーが、将来の妊娠に備えて、前もって生活や体のケアをすることを推進する考え方です。


WHO(世界保健機構)とCDC(米国疾病管理予防センター)もプレコンセプションケアを推進しています。将来、妊娠することを前提に考えて生活を送ることが、授かるであろう子どものためはもちろん、出産後に女性やパートナーが健康な人生を送るためにも大切であるとしています。


 


具体的な項目はチェックシートで確認を!


そうはいっても「プレコンセプションケアってどんなことをすればいいのかわからない」という方も多いはずです。具体的に何をすればいいのかを国立成育医療研究センターのプレコンセプションケアセンターのウェブサイトに掲載されている項目をもとに挙げてみました。ぜひチェックしてみてください。


《プレコンセプションケア~チェックシート》※1
□適正体重をキープしよう!
□禁煙。受動喫煙を避ける
□アルコールを控える
□バランスのよい食事を心がける
□葉酸を積極的に摂取
□150分/週運動をして心身ともに活発に
□ストレスを溜め込まない
□感染症から自分を守る(風疹・B型肝炎・C型肝炎・性感染症など)
□ワクチンを接種しよう(風疹ワクチン、インフルエンザワクチンなど)
□危険ドラッグを使用しない
□有害物質や薬品を避ける
□生活習慣病をチェック!(血圧・糖尿病など)
□がん検診を受ける(子宮頸がん・乳がん)
□持病と妊娠について確認(そもそも妊娠OKか、薬の内服について)
□家族の病気を知っておく(生活習慣病・遺伝疾患など)
□歯のケアを忘れずに
□かかりつけの産婦人科医を作ろう
□将来の妊娠・出産やその後の生活について考える


引用元※1:国立成育医療研究センター「プレコンセプションケア」より


上記のチェックリストを見て「まだ妊娠もしていないから今から禁酒は無理…」と、思う人もいるかもしれません。それはよくわかります。でも、妊娠してから禁酒しなければならないことを知って始めるよりも、前もって「妊娠したら禁酒の必要がある」という情報を知っておくのとでは大きく違います。今から「心づもり」をしておきましょう。


上記チェックシートで特に大切なのは、持病についてです。そもそも妊娠して大丈夫なのか、妊娠した場合、治療は並行してできるのか、分娩は自然分娩が可能か、産後に授乳してもいいのかなど、きちんと確認を。


また、本人の病気だけでなく、家族の病気についても前もって知っておくことが重要です。糖尿病や高血圧の人が家族にいる方は、妊娠中どんなことに気をつけたらいいか、産婦人科医に相談してみてください。


余裕のある時期に、妊娠を含め将来のことなどいろいろな相談ができるかかりつけの産婦人科医を探しておくといいでしょう。


 


月経がある=妊娠できるとは限りません


イメージとして「月経がある=妊娠できる」と考える人も多いかもしれません。残念ながらそうではありません。妊娠を成立させるには、「排卵していること」と、「卵管が通っていること」がカギとなります。


 


排卵の有無を確認


将来、妊娠したいと考えるなら、まずはきちんと排卵しているかを確認してください。基礎体温を毎日測ると排卵の有無を推測することが可能です。手軽にチェックできる排卵検査薬もあるので、併せて使ってチェックしてみるといいでしょう。


個人差はありますが、閉経する10年前まで排卵があるといわれています。たとえば50歳で閉経した人は、50歳まで月経はあるものの、その10年前である40歳以降は排卵していない可能性があるので、自然に妊娠できる年齢は40歳前後ということになります。


 


卵管が通っているかは産婦人科の検査でわかる


きちんと排卵されていても精子が通る卵管が詰まっていると自然妊娠は難しいのです。卵管がきちんと通っているかを事前に調べておいてもいいでしょう。


卵管が通っているかの検査方法はいくつかあります。どの検査方法がいいかはかかりつけの産婦人科医と相談してみてください。


《卵管造影検査》
子宮内腔に造影剤という液体を流し、卵管がきちんと通っているか、子宮の奇形がないかをレントゲンでチェックします。卵管が詰まっている場合、造影剤を流すときに痛みを伴うことがあります。


《卵管通水検査》
子宮内腔に生理的食塩水を入れ、きちんと卵管から水が流れるかを超音波で確認する方法です。


《卵管通気検査》
子宮内腔に炭酸ガスを流し込み、きちんと流れているかを見ます。


 


月経が普通にあっても妊娠しない時は一度受診を


排卵があって、卵管がきちんと通っていることが確認できているのになかなか妊娠しないケースがあります。その場合は、子宮のトラブル、男性不妊など違った原因の可能性が考えられます。


「月経が普通にきているのになかなか妊娠しない…」と、思ったら一度産婦人科を受診し、原因を探ってみることをおすすめします。


また、生理痛がひどく普段通りの生活ができなくなってしまう場合、そのベースに子宮筋腫や内膜症などの病気が潜んでいることがあります。これらは不妊の原因にもなるので、一度受診をして原因をはっきりさせておくと、妊娠したいと思った時にスムーズにいく事もあります。


ある程度 何歳までに妊娠したいかを考え、逆算して準備を始めておくことも大切です。


 


性感染症の検査は妊娠前にきちんと受けて


順調な妊娠、出産を妨げるものの1つに性感染症があります。
性感染症とは、ウイルスや細菌、原虫などが性交渉やキスをすることで性器や泌尿器、肛門、口腔などに接触することで感染する病気のことです。


症状や程度もさまざまなので、なかには症状が軽くて気づかず、知らない間に病気がどんどん進行していることもあります。また、自覚症状がなく、いろいろな人に感染させてしまうケースも少なくありません。


 


梅毒、クラミジア、HIVは母子感染に要注意


性感染症のなかでも、将来妊娠を考える時に注意してほしいのが、以下の3つです。


《梅毒》
最初は手のひらなどに赤い発疹などがあらわれ、しばらくすると心臓や神経に異常が出ることがあります。



《性器クラミジア感染症》
女性は無症状もしくはおりものの異常がみられ、不妊症の原因にもなります。


《HIV》
最初は発熱や筋肉痛、インフルエンザのような症状があらわれ、かなり年月が経ってエイズを発症すると、最悪、死に至ることがあります。


この3つの感染症はママからおなかの赤ちゃんに感染することがあり、赤ちゃんに先天性の病気を起こしたり、早産や死産を起こすことがあります。


 


定期的に検診を受けて かかっていないかを2人で確かめて


できるだけ複数の人や不特定な人との性交渉は避ける、コンドームを使用するなどして予防することが大切です。ただ、1度きりの相手でもその相手が感染していると、移ることがあります。そのため、妊娠前には必ず性感染症にかかっていないか確認をしておきましょう。


また、女性だけが定期的に検診を受けるのではなく、パートナーも一緒に受けてもらうことが重要です。
もし感染していた場合は、すみやかに治療をしましょう。治療も1回病院へ行って薬をもらったから終了ではありません。きちんと完治しているかを必ず医療機関で確認してもらってください。


「感染しているかもしれないけれど、周りの人に知られたくない」という人もいるでしょう。そんな時は一人で悩まず、自治体の保健所や信頼できる機関に相談してみてください。


 


プレコンセプションケアで今からできることをコツコツと


「すぐではないけれど、いつかは子どもが欲しい」と考えるなら、ぜひ今日からプレコンセプションケアをはじめてみてください。


具体的にどんなことをすればいいかがわかるチェック項目ですが、妊娠を考えている人にはもちろん、そうでない人でもずっと健康的に生活するためにやっておいたほうがいいことばかりです。


妊娠、出産はそれまでの生活を一変させます。働いている人は、働き方をどうするか、保育所への入園手続き、産休や育休中のマネープラン、職場復帰する際のサポート体制など、さまざまな問題について考えなければいけません。そのためにせめて体のことだけでも先に真剣に考えておくことが大切です。


ぜひ話しやすい産婦人科医を見つけ、ご夫婦で一緒にプレコンセプションケアを実践してみてくださいね。


 


お話を伺った先生のご紹介

渡邉 征雄 先生(稲毛とらのこ産婦人科 院長)


日本大学医学部を卒業後、日本大学板橋病院産婦人科で勤務を経て、日本大学大学院を卒業。医学博士。都立広尾病院産婦人科医長、都立墨東病院産婦人科医長を歴任後、平成28年6月より「稲毛とらのこ産婦人科」院長に就任。「とらのこ」の名は、トラのお母さんがとても母性が強く、子トラを大事に守り、かわいがって育てる気質に由来するそうです。奥様である、医師で副院長の渡邉悠久美先生との間には、まだ小さいお子さんが3人。にぎやかななかにも楽しい毎日で、オフの日は趣味だった仲間との野球も今はお休みし、お子さんと遊ぶ時間を何より大切にするというイクメン・ドクターです。

≫ 稲毛とらのこ産婦人科

あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top