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顕微授精7回。受精卵が胚盤胞までなかなか育ちません

コラム 不妊治療

顕微授精7回。受精卵が胚盤胞までなかなか育ちません

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2019.9.19

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


あいさん(32歳)からの相談
▶胚盤胞まで育たないのはどうして?
私32歳、PCOS、AMHは高めです。夫41歳、乏精子症のため顕微授精を7回受けました。最初のクリニックで3回トライ。いずれも低刺激法ですべて採卵数は2個、1回目に新鮮胚移植をしましたが、着床後に化学流産。2番目のクリニックでは、薬を替えて刺激。4回目は採卵数6個のうち未成熟卵が3個、成熟卵が3個できましたがどれも受精せず。5回目は23個採卵できましたが、胚盤胞までいったのが2個だけでそれも4CCとグレードがよくありませんでした。さらに転院し、6回目は採卵数1個、それも3日目で分割停止。7回目は16個採卵できたものの成熟卵は8個。6日目ですべて分割停止してしまいました。胚盤胞になる前に分割停止となってしまうのはどうしてなのでしょうか…。

まとめ
●OHSSに配慮しながら、採卵日を少し調整してもらうといいかも。
●カウフマン療法などで1~2周期休んで。卵の質にこだわり採卵しても。

お話を伺った先生のご紹介

福田 勝 先生(福田ウイメンズクリニック)


順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993年福田ウイメンズクリニック開院。2018年11月に、より最寄り駅に近く、広々とした場所にクリニックを移転したばかり。

≫ 福田ウイメンズクリニック

7回顕微授精をされて、さまざまな刺激方法を、3つのクリニックでトライされていますが、治療歴を見て先生はどのように思われますか?


この情報のなかでは、あいさんがPCOS(多囊胞性卵巣症候群)であることはわかっていますが、PCOSの患者さんの特徴でもあるインスリンに対する反応性が悪いのか、家族の糖尿病歴などがわかっていません。刺激法については、7回とも間違いではないと思います。
 また、PCOSの方の特徴として、採卵数が多くても未成熟卵が多い、胚盤胞まで育ちにくい、空胞が多いというのも確かです。そのため、あいさんが胚盤胞まで育たずお悩みなのも理解できるのですが、採卵数にかなりばらつきがありますね。たとえば、3回目と7回目はクロミッドⓇにゴナールエフⓇ600単位とフォリスチムⓇ1200単位を使用されています。これは薬剤の商品名が違うだけで同じものですが、3回目は採卵数2個で7回目は16個と数がかなり違っているので、なぜこのようなばらつきがあるのか気になります。


胚盤胞まで育てるため、何かほかの方法はあるのでしょうか?


胚盤胞までもっていったほうが確実に妊娠率が上がるので、ここにはこだわりたいですね。
PCOSの場合、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と抱き合わせになり、医師も繊細な注意が必要になります。もしかしたら採卵を少し早めている可能性もあり、そのため未成熟卵が多いとも考えられます。それであれば、OHSSに注意しながら、採卵日を少し後ろにずらしてみて成熟卵の確率を上げる、というのも一つの考え方です。
エストロゲン、プロゲステロンによるカウフマン療法を1~2周期おこない卵巣を休ませてから採卵するのもいいかもしれません。
インスリン抵抗性の検査の有無の情報はありませんが診断、疑いがあるようでしたら糖尿病治療薬であるメトフォルミンを服用することお勧めいたします。また卵巣刺激でOHSSのリスクがある場合は当然全胚凍結保存が必要となります。


治療以外にあいさんご自身が取り組めることがあれば教えてください。


どの患者さんにも当てはまることですが、体を冷やさない、ストレスをためない、栄養バランスを考えた食事を摂るなどは基本的なことですね。もしもPCOSで肥満ぎみであれば適正体重に戻す、また卵子の成長に大きく関係しているミトコンドリアの活性化には日常の規則正しい生活がとても大事です。
ただ、あいさんはまだ32歳とお若いです。AMHの値も悪くないようですし、PCOSだから妊娠できないということではありません。ですから、悲観的になる必要はなく、採卵日を調整したりしながら可能性を探ってみてください。




出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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