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患者さまとの身近な距離で妊娠をサポートする培養士【Focus!チーム医療】

コラム 不妊治療

患者さまとの身近な距離で妊娠をサポートする培養士【Focus!チーム医療】

醍醐渡辺クリニックでは、卵子や精子の専門家である培養士が患者さまと接する機会を大事にしています。それは大切な精子や卵子を預ける患者さまの安心につながり、培養士の技術やモチベーション向上に活かされています。

2019.9.25

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


お話を伺った先生のご紹介

渡辺 由美子 先生(醍醐渡辺クリニック)


兵庫医科大学卒業。同大学附属病院、国立泉北病院、京都大学医学部附属病院、国立京都病院勤務を経て 醍醐渡辺クリニックで産婦人科医として勤務。

≫ 醍醐渡辺クリニック

培養士の陰の努力によってARTは支えられています


精子と卵子の専門家である培養士の仕事は、血液・精液検査から体外受精の胚の培養、胚の凍結・融解操作まで多岐にわたっています。
 当院では、採卵前後の説明や受精結果、培養結果についても、培養士から患者さまに直接お話しするように心がけています。担う役割は大きいですが、大切な精子や卵子をお任せいただく患者さまの安心につながっていると考えています。
また、医師と培養士は綿密な連携が欠かせません。医師にとっては、体外受精の移植法を相談したり、移植の結果によっては改善策を話し合うための頼れるパートナーです。
患者さまの目には触れにくい培養室ですが、その中では妊娠率の向上のために、培養液や操作方法の工夫を重ねるなど、日々研究や勉強に取り組んでいます。そのような培養士の陰の努力によって、ART(生殖補助医療)が成り立っていることをぜひ知っていただきたいと思います。




Q1:培養士になったきっかけを聞かせてください。


渡辺浩彦先生(醍醐渡辺クリニックの現院長)と同じ大学院の研究室で、マウスの精子をつくる研究に携わっていました。渡辺先生がクリニックを承継される時に声をかけていただき、生殖補助医療のお手伝いをすることに。それまで不妊治療の知識はほとんどなく、培養士という職業もここに来てはじめて知りました。
動物の細胞に比べ、人間の細胞はとても小さくて、未知の部分も多いのでやりがいを感じます。私たち培養士がお世話できるのは、受精から移植までの5〜6日間。この間にどんどん成長していく様子を観察し、「移植後に赤ちゃんになるんだなあ」と想像しては、日々感動しています。


Q2:精子や胚を観察している時は、何をチェックしていますか。


まずは、男性の精子の状態(濃度、数量、運動率)をチェックします。その結果によって人工授精、体外受精、あるいは顕微授精など、どの程度のステップアップが必要になるのかを判断します。
胚は見た目の形態が重要になります。顕微鏡下で胚の中にぶつぶつしたものがないか、形が歪んでいないかなどを観察します。次に当院のデータと照らし合わせながら、その胚が移植に適しているかを評価します。
当院では胚培養にパーソナルインキュベーターを採用しています。ご夫婦の胚に対して一つのガラスボトルで密閉するので、安定した状態での培養が可能になり、妊娠率の向上につながっています。


Q3:お仕事をするうえで心がけていることはありますか


多くの学会に参加し、他の施設の研究報告などの情報収集を行いながら、最良の培養法を研究しています。
また月1回、培養士ごとの受精率や妊娠率を確認しています。その結果によってチーム全体で個々の培養士をサポートし、全員の技術力の向上につなげています。
当院では培養士が患者さまと直接お話しする機会が多くあります。どのような患者さまからお預かりした精子と卵子であるかを理解して、大切に接することを心がけています。
移植の結果によっては、落ち込むこともありますが、次の結果につなげるための力に変えています。いい結果につながった時はスタッフ全員で喜び、よい時も悪い時もチームで共有し、メリハリを大事にしています。




メッセージ
患者さまへ
患者さまに体外受精の説明をするなかで、「体外受精をすれば確実に妊娠できる」と考えておられる方が多いと感じます。残念ながら確実ということはなく、だからこそ治療に踏み切れず、開始時期が遅れることのないようにしていただきたいです。
ご結婚後に通常の夫婦生活を営んで1年経ってもお子さんを授からない方は、できるだけ早く治療をはじめてほしいと切に思います。



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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