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【Q&A】子宮筋腫とプラセンタ注射 ー 大谷先生

専門医Q&A 女性の健康

【Q&A】子宮筋腫とプラセンタ注射 ー 大谷先生

プラセンタ注射を始めて子宮筋腫が大きくなり、不正出血が続いています。セカンドオピニオンすべきか手術すべきか?かおりレディースクリニックの大谷香先生にお答えいただきました。

2019.9.4

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相談者:いずみさん(47歳)



子宮筋腫とプラセンタ注射
約1年前にプラセンタ注射を受け始める。頻度はひと月に3回程度。注射を受ける前に検査すると2cmの筋腫が1つあるのが判明。プラセンタ注射開始から半年くらい経過後、酷い左側下腹部痛が起きる。婦人科受診するが原因不明。経膣超音波検査で筋腫の大きさは5cmに。それから更に半年後受診すると8cmに成長しているので大きな病院を紹介される(紹介元のクリニックでは手術を勧められる)。そちらで検査。がん検診は異常なし。左卵巣に腫れみられる。筋腫は8cm。手術はどちらでもいいとのこと。筋腫増大の原因はプラセンタと言われる。現在、ひと月ほど不正出血が続いておりセカンドオピニオンすべきか手術すべきか迷っているのでアドバイスをお願いしたい。




子宮筋腫が増大する原因とは?




子宮筋腫や子宮内膜症は、卵巣からのエストロゲン分泌が続く限り、すなわち閉経するまで、エストロゲンにより徐々に増大、悪化していきます。


そのため、これらを有する当院の患者には、エストロゲン作用を有するイソフラボン、コラーゲン、ロイヤルゼリー、プラセンタなどのサプリメント、化粧品、ジュース、注射などの使用は、これらの疾患を増悪させてしまうので使用を中止するよう指導いたしております(食事から適量摂取することは可です)。最近では、エストロゲン作用を活性化すると話題になった甘酒も控えてもらっておりますし、アンチエイジングをうたっている他の様々なサプリメント、化粧品、ジュースの使用も同様です(やはり、エストロゲン作用を有する可能性があるからです)。


そして、これらエストロゲン作用を有するサプリメント、化粧品、ジュース等は、子宮筋腫や子宮内膜症を増悪させるだけではなく、閉経前の排卵周期を有する女性においては、エストロゲン優位の環境を作り、不正子宮出血などの症状を引き起こす原因ともなり、放置すれば子宮内膜増殖症、ひいては子宮体癌を誘発することにもなります。


エストロゲンは、女性にとっては非常に大事なホルモンですが、多ければいいというものではなく、卵巣から分泌されるもう一つのホルモン、プロゲステロンのコントロール下によってはじめてその正しい作用を発揮するのです。ですので、まだ閉経していない、自分の卵巣からエストロゲンを分泌できる女性たちは、アンチエイジングをうたったエストロゲン作用を有する可能性のあるサプリメント、化粧品、ジュースの使用は、それらのデメリットも十分に考慮し、慎重に使用してほしいと常々思っており、閉経前の当院の患者には、アンチエイジング剤の安易な使用を注意するよう指導いたしております。


 


どのような検査が必要ですか?


いずみさんの問題は、急速な子宮筋腫と増大と不正子宮出血です。


前述の観点から、私も子宮筋腫の増大と不正子宮出血にプラセンタが関係していると思いますが、子宮筋腫の増大の速度が急なので、
①いつまでプラセンタ注射を続けていたか、
②ホルモン検査で内分泌環境はどのようなのか(閉経まであとどのくらいなのか)、
③現在までの精査(MRIや腫瘍マーカー検査等)で子宮肉腫を示唆するような異常所見はないのか、
の3点が重要と思います(③が一番重要です)。


しかしながら、プラセンタ注射をしていたためとはいえ、1年間で2cm→8cmの増大は、急速で、常に子宮肉腫などの悪性変化は考えなければなりません。残念ながら、子宮肉腫の診断は、術前のMRI検査や腫瘍マーカー検査等で判明しないこともあり、最終的には手術で摘出した検体を用いた病理検査でしかわからないことも多いのです。子宮肉腫などの悪性変化がないことを確認するためには、手術療法がまず考えられます。特に、2cmから5cmに増大した時点でプラセンタ注射を中止しているなら、中止後も8cmに増大しているので、なおさら、確定診断のため手術療法は必要と思います。


大きな病院で”手術はどちらでもいい”といわれたことは、おそらく、現時点ではMRI等で明らかな子宮肉腫を示唆する所見がないから希望するなら経過観察も可能ということだと思いますが、私の子宮肉腫の患者の治療経験からは、やはり急速な増大を鑑みて手術療法を勧めます。手術して、肉腫等悪性所見がなければ、それは良かったということで、手術が必要ではなかったということではありません。術式はどうするか、卵巣は残すのか等につきましては、今回の質問内容から答えるのは不適切と思いますので、手術を決められましたら、主治医の先生としっかり相談されることも勧めます。


 



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お話を伺った先生のご紹介

大谷 香 先生(かおりレディースクリニック院長)


福島県立医科大学卒業。1995年より米国エール大学産婦人科教室へ留学。婦人科がんの研究に従事。日本大学付属板橋病院、練馬光が丘病院に勤務後、2002年9月 東京・学芸大学にかおりレディースクリニックを開院。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。

≫ かおりレディースクリニック

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