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海外最新治療/コウノトリ生殖医療センター

コラム 不妊治療

海外最新治療/コウノトリ生殖医療センター

不妊の原因や患者様の身体の状況は皆様それぞれ違いがあり、画一的な治療を提供しているだけでは、高い成功率は望めません。海外のクリニックでは成功率を上げるためにどのような方法があるのか、台湾のコウノトリ生殖医療センターの賴先生に伺いました。

2019.9.11

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着床前スクリーニング(PGS)


健康なお子様を授かりたいと願うことは、多くのご夫婦の共通の願いです。
ですが、精子と卵子が結合する前の段階では受精卵の染色体が正常かどうかを知る術はありません。もし、染色体に異常がある胚を移植した場合は着床に失敗するか、原因不明の流産、胎児の発育の停止などが起きる可能性があります。
現在は、着床前スクリーニング(PGS)という技術を使い移植前に胚盤胞の染色体に異常が有るかを確認することができます。染色体が正常な胚盤胞を移植することで、妊娠率を高めることができます。
送子鳥(コウノトリ)生殖医療センターは最新の着床前遺伝子検査システムのNGS(次世代シークエンス技術)を用いて検査の速度、診断精度、着床率と妊娠率を向上させています。

適用される対象者は、次のいずれかに該当する方になります。

1) 35歳以上の女性、胎児の染色体異常であることを避けようとする方。
2) 2回以上の流産を繰り返していた方。
3) 重度の男性不妊の方。
4) 体外受精反復不成功の方。
5) 夫婦のどちらか、又はその家族が染色体異常の保因者。

*検査の目的と方法
胚盤胞となった受精卵から細胞の一部を採取して検査を行います。胚盤胞は受精してから5~6日目頃の状態で、すでに赤ちゃんに育つ部分と胎盤になる部分にわかれています。PGSは、胎盤になる部分の細胞を3~5細胞採取して行います。採取した3~5個細胞の全ゲノム(WGA)を増幅して、次世代DNAシークエンサーで解析します。解析した結果によって、染色体が正常である胚を選んで移植することが可能になり、着床率および妊娠確率も向上させることができます。


 


 





*検査の限界
1、胚盤胞はそれぞれ、細胞採取に耐える能力が異なるので、採取された後、生存できないリスクもあります。栄養膜細胞の評価がグレードCとなる胚は、生検した後、着床しにくくなる可能性がありますので、このような胚は生検しないままで凍結保存することをおすすめします。

2、この検査の結果により、胚盤胞の染色体が正常であっても、胎児に他の染色体異常がないとはいえません。尚、胚の発育と着床に影響を与える要因は多岐にわたるため、胚移植後、必ず発育を続け順調に着床することは保証しておりません。

3、この検査の結果により、すべての胚盤胞が染色体異常であり、移植できる正常な胚が一つも得らなかった場合もあります。


子宮内膜着床能検査(ERA)


質の良い卵子を用いた胚盤胞、着床前スクリーニングで染色体異常の無いことを確認した胚盤胞であっても、子宮内膜が着床を受け入れる状態ではないタイミングで移植をしてしまっては妊娠は困難です。
個人差がある着床の窓が開くタイミングを調べるために、当院では子宮内膜着床能検査(ERA)と呼ばれる検査を実施しています。

ERA (Endometrial Receptivity Analysis) は子宮内膜細胞の236種のDNAを検査して、プロゲステロンの補充から何時間で着床に最適なタイミングが訪れるかを調べる検査です

この技術が2015年に世に出て以降の4万を超える臨床データによれば、医師達の経験から導き出された最適な移植タイミングに対して、1/4以上にあたる28.6%の女性に最適な移植タイミングのズレが見られました。

*推奨対象:
1.35歳以下の方で、4回移植を行ったが妊娠しなかった方
2.卵子提供を受け、2回移植を行ったが妊娠しなかった方
3.PGS検査をし、正常な胚盤胞(染色体異常のない胚盤胞?)を1個移植したが、妊娠しなかった方
4.BMIが標準値を超えている方、あるいは内膜の厚さが薄い(ホルモン薬を補充しても6mm以下)の方。

*検査はいつ受けられますか?
患者様個人個人の状況を考慮して、医師が最も適した時期を提案します。主に生理の18~20日目となり、この検査を受ける周期は移植は行えません。

※採取後の検体をスペインのラボに送付するため、検体の税関手続き約三週間となります。検査を受ける際は、検査を行う生理周期の一ヶ月前に病院への連絡をお願いします。




*検査はどのように行われますか?

検査当日は麻酔を行わず、細く柔らかい器具を膣から子宮に挿入し子宮内膜細胞を採取します。その際にわずかな不快感や検査後の少量の出血を伴う場合もありますが、いずれも正常な現象ですのでご心配は不要です。

*検査後の対応
検査で判明した患者様の着床の窓が開くタイミングに合わせてホルモン補充の方式を変更し、最適なタイミングで胚盤胞の移植を行います。

Aさん:着床の窓の開くタイミングが早い→Utrogestanの服用期間を延長
Bさん:着床の窓が開くタイミングが標準→Utrogestanを通常期間服用
Cさん:着床の窓が開くタイミングが遅い→Utrogestanの服用期間を短縮




この検査を行う前に、子宮鏡や卵管造影の検査を行い、子宮頚部の細菌検査や自己免疫機能など、他の不妊要因を排除しておくことを推奨します。

「正常な胚盤胞の選択(PGS)」と「正しい移植タイミングの選択(ERA)」これが送子鳥(コウノトリ)生殖医療センターが目指す、個人に合わせた不妊治療の新しい形です。


 


<これまでのコラム>


・女性の年齢と卵子


・不妊治療で必要な検査


・卵子提供について

・卵子提供のドナーとは?


お話を伺った先生のご紹介

賴興華 先生


台北馬偕記念病院体外受精室研究員、国立シンガポール大学生殖科技研修員、台北栄民総医院不妊症及び生殖内分泌科研究員、新竹南門病院産婦人科主任及び生殖医学センター主任、中華民国産婦人科専門医師、台湾産婦人科医学会会員、台湾生殖医学会会員、中華民国内視鏡外科医学会会員。


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