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このまま同じ刺激法をくり返していてもいいのでしょうか

コラム 不妊治療

このまま同じ刺激法をくり返していてもいいのでしょうか

「このまま今の方法をくり返すことで妊娠の可能性はあるのでしょうか。ほかに何をすれば妊娠の可能性が広がりますか?」

2013.7.2

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相談者
ぐみたろさん(37歳)
■ 35歳から不妊治療を開始。基本的な検査で異常は見つからず、タイミング療法4回、人工授精1回を経て、36歳から体外受精にステップアップしました。低刺激で採卵を3回行い、3日目胚移植1回、凍結胚盤胞移植に4回トライしましたが、一度も着床していません。医師に原因を聞いても「受精卵の遺伝子レベルの異常」とされ、具体策がわかりません。これまで自己タイミングではもちろん、治療をしても妊娠できなかったのはなぜ?このまま今の方法をくり返すことで妊娠の可能性はあるのでしょうか。ほかに何をすれば妊娠の可能性が広がりますか?



ジネコ:原因不明の不妊で悩まれているということです。29歳の時に結婚されて、病院に行く前、33歳から35歳の間も基礎体温をつけ、市販の排卵検査薬を使って自己タイミングをとられていたそうです。


大島先生:基礎体温をつけて高温になっていても、排卵検査薬が陽性に出たとしても、正常に排卵しているとは限りません。やはりエコーで卵胞が排卵しているのを見てみないと、確実には判定できないんですね。人工授精をされた時はどうだったのでしょうか。その時ちゃんと排卵が確認されていれば、排卵の機能に関しては問題がないと思いますが。


ジネコ:では、ぐみたろさんが妊娠できない原因はどこにあるのでしょうか。


大島先生:ホルモン値の記載がなく、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査もされていないということですので、はっきりした原因については何ともいえません。
これまでクロミッド®+HMGによる刺激で3回採卵されたようですが、低刺激のわりには各回とも3個と数が採れています。受精する確率もそれほど悪くなく、胚盤胞にもなっています。だからこそ、「なぜ?」というお気持ちが強いのでしょう。
胚盤胞での移植は妊娠率が高いというイメージがありますが、胚盤胞まで育ったとしても、そのグレードが重要です。受精卵の内細胞隗と外細胞隗の細胞の量が十分にあるかが大事で、特に最近の知見ですと、外細胞害隗の細胞の量が妊娠には重要であるとのことです。ぐみたろさんが移植された胚盤胞はどの程度のグレードだったのでしょうか。拡張胚盤胞でもグレードがよくなければ、着床率はあまり良くないと思います。


ジネコ:担当医の先生からは「受精卵の遺伝子レベルの異常」が原因と説明されているようです。これはどのようなことですか?受精卵のグレードなどにも影響しているということでしょうか。


大島先生:染色体には父親由来の染色体と母親由来の染色体があります。排卵する直前まではそれぞれが2倍の数になっています。排卵時に片方の染色体が細胞外に放出され、残った染色体は精子が入り受精した時に倍増した染色体の一つを細胞外に出し、残りの染色体と精子の染色体一つの計二個になります。これが正常な分離なんですね。
ところが女性の年齢が高くなってくると、本来なら1つ外に出るものがそのまま残り、排卵してしまう。精子が入ってきた時に1個出たとしても、最終的には3個になってしまいます。このような染色体の不分離が起こると受精卵ができなかったり、できたとしても妊娠には至りません。これは染色体異常の一つです。
担当医の先生はこのような、年齢から来る異常を不妊の原因とご指摘されたのではないでしょうか。


ジネコ:つまり、「卵子の老化」ですね。


大島先生:完全に卵子が老化してしまっているとはいいきれませんが、37歳くらいの年齢の方だと、良好胚でも4割程度に染色体異常が見られるといわれています。2個に1個は正常な胚だといえますが、あくまでも平均なので、もっと染色体異常の確率が高くなる場合も。30歳前後の方なら異常の出現確率はぐっと下がり、妊娠する確率も高くなります。若い方に比べ、卵子の老化が進行しているのは事実だと思いますが、まだ妊娠の可能性も残されている状況だと思います。


ジネコ:では、妊娠するためにはどうしたらいいのでしょうか。今の治療を続けていくべきですか?


大島先生:なぜ結果が出ないのに低刺激をくり返されているのか、卵胞数の少ない状態で治療されているのか、少し疑問を感じます。施設や先生によっていろいろな考え方があると思いますが、当院だったら、もっと強い刺激をして卵子の数を採る調節卵巣刺激をご提案すると思います。ロング法だと長引いてしまうので、アンタゴニスト法が適しているのではないでしょうか。
文献的にみると、15個卵子が採れるともっとも妊娠率が高くなるそうです。34歳以下の方で15個採れると、生産分娩率は4割程度。37歳だともう少し確率は下がると思いますが、数多く採れれば、それだけ質の良い卵子が出てくる可能性が高まると思います。
刺激を強くすると卵胞ホルモン値が上がると思いますので、良い胚ができたら凍結して、ホルモン補充周期で戻す方法がいいかと思います。ぐみたろさんのように何回か失敗されているという方には、初期胚と胚盤胞の2個を戻す、二段階胚移植法も有効ではないかと思いますね。


ジネコ:治療のほかに何かできることはありますか。


大島先生:当院ではDHEAというサプリメントが成果を上げています。DHEAというのは男性ホルモンで、加齢とともに減少する物質。どのようなしくみで作用するのかはまだ解明されていませんが、当院のデータでは飲む前と比べ、飲んだ後は採卵数も良好胚も優位に増えています。
とにかく、同じ方法を続けていてはちょっともったいないですね。37歳なら良い卵子が出てくる可能性は十分あると思います。柔軟に違う方法にトライして、チャンスを逃さないでいただきたいですね。



大島 隆史 先生
自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長として4年間勤務。1992年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999年、大島クリニックを開設、院長に就任。同院で成果を上げているサプリメント「DHEA」については、データをまとめ、昨年学会で発表しました。ほかにも患者さんの負担にならず、結果もきちんと出る方法を日々模索しているそうです。




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