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「地中海式食事法」で妊娠の可能性が66%アップ?生殖補助医療専門医ニチケ・マルクス先生に聞く、卵子を若々しく保つ秘訣

インタビュー 妊活

「地中海式食事法」で妊娠の可能性が66%アップ?生殖補助医療専門医ニチケ・マルクス先生に聞く、卵子を若々しく保つ秘訣

健康な女性であっても、年齢を重ねるとともに卵巣や卵子が老化していくのは仕方のないこと。老化をできるだけ緩やかにし、若く健康な状態を長く保つ方法はないものでしょうか。国際的に活躍する生殖補助専門医、ニチケ・マルクス先生にお話を伺いました。

2019.12.25

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卵子や卵巣の老化は、どのように進行していくのでしょうか?


お母さんのお腹の中にいる頃からすでに、女性の卵巣の中には卵子が存在しています。胎児の卵巣にある卵子の数は非常に多く、妊娠20週の時点で600〜700万個。それが出生時には100〜200万個に減り、初潮を迎える頃には30万〜50万個、さらに37歳では25,000個ほどと、どんどん減っていきます。このうち妊娠が可能な期間に成熟して排出される卵子は400個程度です。

数だけでなく質も低下しますから、女性の妊娠する能力は年齢とともに下がる一方。32歳ごろから下がり始め、37歳以降にはさらに急降下します。卵巣や卵子の老化は、どんな女性でも避けることができないのです。

しかし、現代の情報化社会にあっても、卵子が老化するという事実をご存知でない方がたくさんいらっしゃいます。「生理があれば妊娠できる」「すでに1人産んでいるから、2人め以降もいつでも大丈夫」といった誤った認識を持ったまま妊活をスタートし、なかなか妊娠に至らずクリニックにいらっしゃるカップルは、少なくありません。


 


自分の卵巣や卵子の老化の程度を知ることはできますか?また、卵子の老化は妊活にどんな影響を及ぼすのでしょうか。


「卵巣予備能」、つまり“卵巣に卵子を作り出す力がどれくらい残っているか”は、血液に含まれる抗ミューラー管ホルモン(AMH)と呼ばれるホルモン値を検査すれば、簡単に分かります。医師はこの検査結果から、妊活に時間がかけられるかどうか、また妊娠しない場合はどこに原因があるのかを判断することになります。ですが、AMHで卵巣年齢や卵子の量がわかるとはいえ、現在のところ卵子の質を検査する方法はありません。AMHの数値が比較的高くてもなかなか妊娠しない場合は、卵子の質が低下していることが考えられます

老化し、質が落ちた卵子はミトコンドリアが劣化しています。ミトコンドリアは細胞にとって再充電できないバッテリーのようなもので、劣化すると染色体や細胞に異常が出てきます。生命が誕生するときには、受精、細胞分裂、その後の胚の成長と、膨大なエネルギーが必要なのですが、老化してしまった卵子はエネルギーが不足してしまっている状態。不妊、流産、奇形、体外受精で受精しない、着床障害などといった形で影響が表れます。


 


卵巣や卵子の老化を防ぐことはできますか?


卵巣や卵子の老化を完全に止めることはできません。ですが、卵巣予備能や妊娠の可能性を高めたい場合、健康的な食生活や生活習慣を実践することは、とても効果的です。例えば、アメリカのハーバード大学を始め数多くの大学での研究結果として「地中海式食事法(The Mediterranean diet)」は、妊娠の可能性を向上させるとても有効な方法の一つであると発表されています。

地中海式食事法とは、オリーブオイル、果物、野菜、ナッツ、豆類、穀類、低脂肪の乳製品を毎日摂取し、週に2〜3回は魚や鶏肉、卵といった動物性タンパク質を摂る食事法です。食事に加え、適度な運動を行うこともとても大切です。ただし、激しい運動は酸化ストレスを加速させてしまいますから、ご注意を。

以下に、卵子の成熟に必要なFSHなどのホルモンの分泌をサポートする食べ物を紹介しますので、ぜひ参考になさってみてください。


• アボカド: 食物繊維、ビタミンとミネラルが豊富。またビタミンB群、ビタミンK、カリウム、ビタミンEそしてビタミンCが含まれ、妊娠する可能性と不妊治療での成功率を向上させます。

• くるみ: くるみは、一価不飽和脂肪酸のような良質の脂質を含み、オメガ3脂肪酸も豊富。卵子の質を向上させる鉄分、セレン、カルシウム、亜鉛、ビタミンEそしてビタミンBも含まれています。

• 葉物野菜: ほうれん草やレタスはカルシウム、葉酸そして鉄分が豊富。妊娠に欠かせない大切な栄養素です。

• ブルーベリー: ブルーベリーは、子宮内膜の状態を整えることで、胚の着床をサポートします。

• 豆類: 特に、レンズ豆やインゲン豆には、より良い排卵を促す鉄分や食物繊維、葉酸が豊富に含まれています。

• オレンジ色と黄色のフルーツ: パイナップルやかぼちゃ、モモ、人参には、卵子の外側を強化するβカロチンが豊富です。

• シナモン: シナモンは、卵子の生成を促し、卵巣機能全体を向上させます。特に「多嚢胞性卵巣症候群」(PCOS)の女性にとって、理想的な栄養素です。

• ザクロ: ザクロは植物性のエストロゲンを豊富に含み、妊娠や女性の健康にとっての完全食とも言えます。

• アーティチョーク: 女性不妊の主要な原因の1つ「多嚢胞性卵巣症候群」のリスクを減らすことが期待できます。

Human Reproductionという世界的に有名なヒト生殖に関する専門誌では、新鮮な野菜、フルーツ、未精製穀物、豆類、魚そしてオリーブオイルを積極的に摂取した女性は、そうでない女性に比べ、不妊治療での妊娠の可能性が66%もアップしたという発表もなされています。


どんなに健康な女性であっても、卵巣や卵子の老化を完全に止めることはできません。とはいえ、老化をできるだけ緩やかにし、若く健康な状態を少しでも長く保つため、日頃の食生活や生活習慣に意識を向けることは、非常に意味のあることではないでしょうか。


 


お話を伺った先生のご紹介

ニチケ・マルクス(Markus Nitzschke)先生


生殖補助医療専門医・産婦人科医。世界各国のクリニックでの経験を経て、現在は各所のクリニックと提携しながら国際的な活動を展開。特に卵子提供を伴う体外受精を行う。

≫ Instituto de Reproducción CEFER(Amrita Fertility Japan提携クリニック)

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