HOME > 不妊治療 > IVF > 【特集】ロング法とショート法【卵巣刺激の方法】
HOME > 不妊治療 > IVF > 【特集】ロング法とショート法【卵巣刺激の方法】

【特集】ロング法とショート法【卵巣刺激の方法】

コラム 不妊治療

【特集】ロング法とショート法【卵巣刺激の方法】

高刺激として代表的なのがロング法とショート法。卵巣に強い刺激を与え多数の卵子が採れることが期待されますがこれらの方法は人により向き・不向きがあり、副作用も考慮しなければいけません。高刺激法の利点や注意点について秋山先生にお聞きしました。

2020.3.18

あとで読む

卵巣刺激法には自然・低・中・高など刺激の強さによってさまざまな方法がありますが、そのなかで高刺激として代表的なのが「ロング法」と「ショート法」。卵巣に強い刺激を与える分、多数の卵子が採れることが期待されます。ただし、これらの方法は人によって向き・不向きがあり、副作用のリスクも考慮しなければいけません。高刺激法の利点や注意すべき点などについて、秋山レディースクリニックの秋山先生にお話を伺いました。


※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


まとめ
◆強い刺激で採卵数の増加を目指す。
◆反応しすぎる・反応が悪いということも。
◆何度か試してその人に合う刺激法を模索。

お話を伺った先生のご紹介

秋山 芳晃 先生(秋山レディースクリニック)


東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

≫ 秋山レディースクリニック

GnRHアゴニストを使い、高刺激で採卵数増加を目指す


ロング法とショート法はどちらもGnRHアゴニスト(点鼻薬)というお薬を使う卵巣刺激法で、開始する時期の違いで分けています。
ロング法は生理約7日前よりGnRHアゴニストの点鼻を開始し、生理が始まったらFSHやHMGの注射を行います。そして、ホルモン値や超音波検査で卵胞の発育が一定の条件に達した時点でHCG、またはLH製剤の注射(夜間)を行い、その34~36時間後に採卵。
脳から分泌されるホルモンをしっかり下げてから卵巣を刺激するため、質や発育状態の揃った卵子ができやすいと考えられています。
強い刺激で多くの卵子を確保できる方法ですが、高齢の方や卵巣内に残っている卵子の数が少ない方はお薬の反応が悪くなっているので不向きかもしれません。
一方、ショート法は採卵周期の生理開始日からGnRHアゴニストの点鼻を開始し、その後FSHやHMGの注射を行う方法。以降はロング法と同様で、ホルモン値や超音波検査で卵胞の発育が一定の条件に達した時点でHCG、またはLH製剤の注射(夜間)を行い、その34~36時間後に採卵します。
GnRHアゴニストを使用すると初期に性腺刺激ホルモンの数値が上昇。その反応を利用して卵胞を多く育てようという方法です。クロミフェン法よりたくさんの卵子を採りたい場合に行われることが多く、必要な注射量はロング法に比べて少なく済むようです。
注意する点としては、卵胞の発育が不揃いになる、採卵前に排卵が起こってしまう、初期に増加するホルモンによる悪影響が生じるなどの可能性があります。


ロング法は年齢が若い人、ショート法は比較的高齢の人に


当院では、「ロング法」「ショート法」よりも、クロミフェンまたはフェマーラⓇ +HMGによる中等度の刺激法を主に用いています。それにはGnRHアゴニストを使用する方法と比べて自然に近いということ、またOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を回避したいという理由もあります。
年齢がまだお若くて、クロミフェンにて卵子の発育が不揃いであったり、卵胞数はあるのに有効な卵子が得られないという場合はロング法を考慮することもあります。
ただし、AMH値が高く、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などが疑われる患者さんの場合はOHSSを引き起こす可能性が高くなると考えられますので、ロング法の選択には慎重になります。
ショート法に関しては、クロミフェン+HMGによる中等度の刺激で採卵数が少なかった患者さんに、採卵数の増加を目指して選択することがあります。



同じ卵巣刺激法を行っても周期により反応が異なることも


同じ卵巣刺激法でも卵巣の反応が周期ごとに異なることはまれではありません。1回よい結果が得られなかったからといって直ちに刺激法の変更をご提案するとは限らず、2回目も同じ方法でトライするケースも少なからずあります。
初回は年齢やホルモン値などを参考に、その方に最も合いそうなやり方を選択しますが、実際にやってみなければわからない部分も多く、事前に予想した反応にならないこともあります。
 まずは担当の先生からすすめられた方法で治療をお受けになり、よい結果が出なければ刺激法の変更を考慮していただくというのが最良の進め方ではないでしょうか。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
≫ 掲載記事一覧はこちら


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top