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【特集】アンタゴニスト法【卵巣刺激の方法】

コラム 不妊治療

【特集】アンタゴニスト法【卵巣刺激の方法】

その人に合った卵巣刺激を行い、成熟度のよい卵子をしっかり採ることが大事だと浅田義正先生は考えています。その浅田先生が卵巣過剰刺激症候群(OHSS)予防のために選択する頻度が高いアンタゴニスト法。どんな方法なのか、詳しくお話を聞きました。

2020.3.19

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卵巣刺激の方法を変えたからといって、新しい卵子が出てくるわけではありません。それよりも何よりその人に合った卵巣刺激を行い、成熟度のよい卵子をしっかり採ることが大事だと浅田レディースクリニックの浅田義正先生は考えています。その浅田先生が卵巣過剰刺激症候群(OHSS)予防のためにも、選択する頻度が高いのがアンタゴニスト法。いったいどんな方法なのか、詳しくお話を聞きました。


※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


まとめ
◆最も安全な卵巣刺激法
◆卵胞の成熟を見極めてアンタゴニスト法を行う
◆卵巣過剰刺激症候群は過去のもの

お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

最も副作用が少ないアンタゴニスト法


基本的にAMH値がそこそこあり、卵巣予備能が保たれていれば、私はアンタゴニスト法で卵巣刺激をしています。妊娠するためには、実は多くの卵子が必要です。アンタゴニスト法には一度にたくさん採卵でき、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)がほとんど起こらないというメリットがあります。


卵胞の大きさを見極めてアンタゴニストを使う


アンタゴニスト法ではまず、卵胞を育てるため、ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)を投与します。この薬は卵胞に必要な卵胞刺激ホルモン(FSH)と、黄体化ホルモン(LH)の両方がバランスよく抽出精製されている排卵誘発剤です。自前のLHが十分ある人にはリコンビナントFSH(rFSH)という薬を使うこともあります。
卵胞が育ったら、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、もしくはGnRHアゴニストで排卵を起こします。HCGは副作用としてOHSSを引き起こしやすいので、卵胞が少なく、OHSSのリスクの低い患者さん向きです。GnRHアゴニストを使えば一時的にLHとFSHの分泌を促進しますので、その特性を生かし、HCG製剤の代わりに使用できます。そうすれば、OHSSの発生はほとんどありません。原始卵胞が多い人、多囊胞性卵巣症候群(PCOS)の人にも安全です。アゴニスト剤は現在、点鼻薬ではなく輸入した注射剤にしています。
作動薬のGnRHアゴニストと違い、拮抗薬であるGnRHアンタゴニスト(アンタゴニスト)は自前のLHをコントロールして採卵前の排卵を抑制します。ただ、患者さんの経済的負担を少なくするためにアンタゴニストの使用量は極力少なめにして、主にセトロタイドⓇとガニレストⓇというアンタゴニスト製剤を1日おきに注射する処方にしています。



比較的安全な卵巣刺激法。ただし医師の経験値が影響


アンタゴニスト法で大事なのは、治療スケジュール。どのタイミングでどの薬を投与するかで成功率は変わってきます。それだけに医師の経験値が大きく影響します。
卵胞を育てる注射薬は、採卵周期初回の診察で持ち帰り、毎日自宅で自己注射してもらいます。卵胞が15~16mmまで育ってきたらGnRHアンタゴニストの注射を始め、ホルモン値や予想採卵数などを総合的に判断し、成熟卵が一番多く採れそうな日に採卵します。採卵日の前に、卵子が飛び出さないようGnRHアンタゴニストの注射を1日おきに打ち、自前のLH分泌を抑えます。回数は3回程度です。
ここで示したスケジュールはあくまで一例。私は注射薬を打つタイミング、量、種類などアンタゴニストを使うかどうかをすべて患者さんのホルモンの状態に合わせて調整しています。アンタゴニスト法を選ぶなら、超音波検査だけでなく、採血当日にリアルタイムでホルモン値が分かる病院を探すことが重要です。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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