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体外受精で受精しません。今後の治療方法は?

コラム 不妊治療

体外受精で受精しません。今後の治療方法は?

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2020.4.8

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※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


ソルトさん(34歳)からの相談
▶︎今後の排卵誘発方法について
子宮腺筋症と片側卵巣の癒着が見つかり、体外受精を2回しました。1回目はセロフェンⓇの内服のみで採卵できたのは1個、次の周期では注射を2回足して空胞2個、卵子1個でした。精子は正常、卵子も見た目では悪いところはありませんでしたが、2回とも受精までいきませんでした。生理痛は1.5〜2.5日目に1日ほどあります。AMH値は調べていません。次回は顕微授精をすすめられています。今後、排卵誘発方法をどうするかで悩んでいます。

お話を伺った先生のご紹介

岩見 菜々子 先生(神谷レディースクリニック)


札幌医科大学卒業。2014年より神谷レディースクリニック勤務。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。


≫ 神谷レディースクリニック

受精しない原因は?顕微授精は有効ですか?


また、受精の際に卵子・精子の活性化が不十分な場合、採卵した卵子に卵子活性化処理を行うことで受精率が改善し、分割にもよい影響を及ぼすという報告もあります。顕微授精を行うと、このような付加的な治療も可能となりますので、これまでの経緯から顕微授精にステップアップしてみるというのも選択肢になりうるのではないでしょうか。


今後の排卵誘発法については?


これまで行ってきた低刺激による排卵誘発法は、注射による身体的な負担軽減、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスク回避という面がメリットです。その反面、採卵数は少なくなってしまうので、より多くの卵胞を採取する高刺激法での誘発も今後検討してみてはいかがでしょうか。
現在ではOHSSを予防するための治療戦略が複数あり、内服薬や採卵時のトリガーなどを工夫することでリスクを最小限に抑えられます。年齢が若く卵巣予備能がある場合は、排卵誘発により一度の採卵で複数卵胞を採卵し、複数個の受精卵から良好胚を選べるので採卵回数が減らせます。それにより経済的負担や採卵に伴う身体的負担が軽減され、早期に妊娠を目指すことが期待できます。また凍結胚が複数個得られた場合は第2子以降にその残りの胚を移植していくことも可能となります。


子宮腺筋症は着床に影響しますか?


ソルトさんは月経痛の期間が短く、月経血も多量とは書かれていません。推測ではありますが、子宮腺筋症の程度は軽症から中程度と思われます。重症の場合は子宮内膜が厚くならないなど着床環境に影響が出ますが、軽症であれば着床障害の直接的な原因にはなりにくいでしょう。ただし、妊娠までの期間が長くなれば子宮腺筋症は悪化する可能性があります。早期にたくさんの卵胞を採卵して移植をするのがいいでしょう。そうすれば、子宮腺筋症の悪化を防げて、妊娠までの道のりも短くなるのではないかと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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