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体外受精を何度か試みてもなかなか着床しません。年齢のせいでしょうか?

コラム 不妊治療

体外受精を何度か試みてもなかなか着床しません。年齢のせいでしょうか?

体外受精を始め、妊娠はしたものの稽留流産や自然流産になり、その後の体外受精では着床しなくなってしまったyoshitaniさん。原因として何が考えられるのか、いくたウィメンズクリニックの生田克夫先生に伺いました。

2020.4.24

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※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


yoshitaniさん(40歳)からの相談
● なかなか着床しません
体外受精に進み、すぐに妊娠しましたが稽留流産に。翌年にもう一度体外受精で妊娠しましたが自然流産でした。その後、不育症検査で問題が見つかりましたが、「また妊娠した段階でヘパリン投与をすれば出産まで至りますよ」と言われました。その後、凍結胚盤胞で体外受精をしてもなかなか着床しません。昨年、今までで一番グレードのよい4AAの新鮮胚を移植しましたが着床に至らず…。内膜は8mm以上ありました。いずれも本判定でhCGが0.6mIU/mlと1以下の数字ばかりです。なぜ急に着床しなくなったのか、年齢が関係しているのですか。

Doctor advice
●40歳を過ぎると6〜8割の卵子に異常が。
●慢性子宮内膜炎検査やERA検査も検討。
●免疫反応にも異常がないか調べましょう。

お話を伺った先生のご紹介

生田 克夫 先生(いくたウィメンズクリニック)


名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。

≫ いくたウィメンズクリニック

高齢になるほど、卵子の異常の割合が高まります


──着床しなくなったのは年齢の問題でしょうか?

そうですね。年齢が上がると卵子の染色体などに異常が出る頻度が上がって、正常なよい卵子が出てこなくなります。たとえば、35歳で受精卵ができても、4割5分は妊娠まで至らないか流産してしまう卵子なんです。いろいろなデータがありますけど、それが40歳ぐらいになると6〜8割ぐらいの卵子に異常が出るので、正常な卵子は3個か4個に1個しかないわけです。

──AMHの値も高くないようで、数値は不明ですが、38歳頃に検査した際に医師から「通常よりも低い」と言われたそうです。

採卵できる卵子の数も多くないとすると、分母が小さくなれば正常な卵子が出る確率も低くなるので、なかなか難しいですね。胚盤胞まで育った卵子がいくつかあるようですが、着床しなくなった原因というのは、着床前診断もしてみないと正確なことはわかりません。でも、着床前診断は日本では一般的な検査として認可されていません。ここ3〜4年よく行われるようになったのは、慢性の子宮内膜炎があるかどうかを調べる検査です。慢性子宮内膜炎があると着床しにくかったり、流産する可能性があるのではないかといわれています。検査は子宮内膜の一部を採取して、子宮内膜間質に形質細胞の浸潤が認められるかどうかを調べます。慢性子宮内膜炎だった場合は、抗菌剤の処方や、子宮内膜に本来常在している乳酸桿菌が増えるようなラクトフェリンサプリなどをすすめます。


免疫反応の検査や、卵子の質向上のためサプリも活用


── ヘパリン投与をすれば出産できると言われたそうですが?

詳しい状態がわかりませんが、抗リン脂質抗体がある場合は血管に細かい血栓ができやすく血液の流れが悪くなるので、卵子が途中で育たなくなります。血液を固まりにくくするためにヘパリンを投与しますが、そもそも抗リン脂質抗体がなければ効果はありません。

──凍結胚と新鮮胚のいずれも移植されていますが、どちらがよいのでしょうか?

凍結胚を移植するほうが妊娠率は高くなるというデータはあります。前回は新鮮胚を移植したとのことですが、年齢からすると正常な卵子である確率は3~4個に1個なので、1個しかない胚を移植した場合、妊娠しない確率がかなり高くなるので、評価は難しいですね。

── 一番グレードのよい卵子を移植しても着床に至らなかったのは、なぜだと思われますか?

形態的なグレードはよくても、中身の染色体の状態はわからないので。見た目がよさそうな卵子でも、正常であるかないかはやはり、着床前診断をしてみないとわかりません。

── 体外受精はあと1〜2回と考えていらっしゃるようですが、先生でしたらどのような治療をされますか?

免疫反応の異常について調べる検査を行ってみるのもよいかもしれません。本来は細胞性免疫が勝っているのが、妊娠するとバランスが変わって液性免疫が上がります。その微妙なバランスが最初から崩れている人も10人中2人程度いるので、そういう人には免疫抑制剤を投与することが有効かもしれません。ほかには、ミトコンドリアの活性を高めるL─カルニチンや、染色体を束ねているコヒーシンを強化するコエンザイムQ 10などのサプリメントもおすすめしています。


先生から
高齢に伴う卵子の老化が原因かも
慢性子宮内膜炎やERA、免疫反応の検査をしてみるのも

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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