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【Q&A】不育症検査の基準について-浅田先生

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【Q&A】不育症検査の基準について-浅田先生

体外受精にて3回移植、1回は胎嚢が見えた後に稽留流産。主治医から不育症の検査をすすめられました。今やるべき検査はある? 浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。

2020.3.29

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相談者:たまごさん(32歳)



不育症検査の基準について
体外受精にて3回移植し、2回目陰性うち1回はグレード4AA、1回は胎嚢が見えた後のけいりゅう流産となりました。主治医の先生からは、この年齢で赤ちゃんに会えないのは確率的には低いから、不育症の検査を進めますと言われました。
1度子宮鏡検査で子宮内膜炎が見られたことがあったので、子宮内フローラ検査はしましたが、結果は良好。
不育症の検査として、免疫学的拒絶があるか調べる検査や、血の固まりやすさを調べる検査、子宮内膜着床能検査など紹介されましたが、私が今やるべき検査はあるのでしょうか?それとも、このまま体外受精を続けてみるべきでしょうか?
ちなみに、これまではタイミング法、人工受精を約2年行い、その後不妊専門クリニックでひと通りの検査を行い、原因と思われるものは現状ありません。



体外受精を続けて




たまごさんは、不育症の検査を受けられるべきか、体外受精を続けられるか、迷われているようですが、私は体外受精を続けられるべきだと思います。

32歳で一人の赤ちゃんが生まれるために必要な卵子の数は、平均で12~13個だと言われています。
ただ、12~3個というのは、あくまでも平均の数なので、場合によっては5個の卵子で妊娠する人もいれば、50個の卵子で妊娠する人もいます。妊娠できるかどうかというのは、たまごさんとご主人の遺伝子のバランス、組み合わせが大きく影響します。その上、卵子のひとつひとつは兄弟のように違っていますので、遺伝子の偶然の組み換えの結果、ヒトの場合は30代前半であれば、12~13個の内、1個の卵子が赤ちゃんまで育つことができ、それ以外の卵子は、途中で成長が止まります。

妊娠判定の前に成長が止まれば、妊娠していないことになり、妊娠判定の後に成長が止まれば流産となります。ですから、妊娠しないことと、流産で終わることを特別に分けて考え、流産が続く特別な病気があると考えるのは間違いです。


 


不育症とは病名ではなく、赤ちゃんができない現象のこと


“不育症”という言葉は十数年前までは、医学的用語ではありませんでした。
以前は、2回流産が続けば反復流産、3回流産が続けば習慣流産という言い方をしていました。

習慣流産の研究が盛んだったのは、20~30年前です。
腎臓移植や心臓移植等の移植免疫が研究され、同じように受精卵も免疫的なしくみで子宮に拒絶され、妊娠を継続することができないのではないか、と考えられ研究が開始されました。しかし結論として、子宮側で受精卵を選ぶことは全くない、ということが分かりました。なぜなら、他人の受精卵を子宮に戻しても受精卵の年齢相当の妊娠率が得られることが分かり、代理出産も可能であることが分かったからです。

組織適合抗原の免疫的検査を行う、あるいは夫のリンパ球を妻に打つというような療法もありましたし、ヘパリンやアスピリンといった抗凝固剤を使用した治療も、ずいぶんと行われましたが、それらの治療は全く無効でした。科学的に、流産という疾患があり、それを治療するという発想が意味のあるものではなく、途中までしか受精卵が育たないということが分かったのです。受精卵に育つ能力がありながら、何かの影響を受け、いつも発育しない、という考えは誤っているというのが、現在の世界的な科学的エビデンスです。唯一、抗リン脂質抗体という特殊な抗体を持つ自己免疫疾患の人だけはヘパリンの治療効果があるかもしれない、という程度です。

不育症とは、赤ちゃんができない現象のことを言っているだけで、病名ではありません。それが、大きな誤解の原因になっていると思いますし、たまごさんの悩みの原因になっているのではないかと思います。
正しい卵子の真実を理解していただいたうえで、不妊治療に取り組んでいただきたいと思います。


 



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お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

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