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【Lesson2:不妊治療の進め方】奥裕嗣先生の不妊治療はじめて講座

コラム 不妊治療

【Lesson2:不妊治療の進め方】奥裕嗣先生の不妊治療はじめて講座

不妊治療の検査では排卵・卵管・子宮・精子にかかわる原因が見つかりやすく、複数の原因が絡みあっていることがあります。原因が見つかった時、どのように治療を進めていくのでしょう?レディースクリニック北浜の奥裕嗣先生に教えていただきました。

2020.6.11

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※2020年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.46 2020 Summer」の記事です。


Lesson1
不妊の原因と検査
●排卵障害の治療は低用量持続漸増投与法でOHSSや多胎のリスクを予防
●究極の治療法である体外受精は、原因不明不妊の原因検索にも有効
●加齢で増加する卵子の染色体異常のことも考えて、早めに専門病院へ

お話を伺った先生のご紹介

奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜)


1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。

≫ レディースクリニック北浜

「排卵」にかかわる原因と治療法を教えて。


卵子が育たない、または排卵しない排卵障害の症状は、PCOS(多囊胞性卵巣症候群)などが原因になる「第1度無月経」と、脳の下垂体が原因になる「第2度無月経」があります。

「第1度無月経」の治療は、60〜70%の方はクロミッドⓇの使用で改善できます。それでも難しい時は、FSHやHMGという排卵誘発の注射剤を使用します。ただ、効き目が強いので卵胞が多く育ちやすく、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)や多胎のリスクが高まります。そのため、16 mm以上の卵胞が4個以上育った時は治療をキャンセルします。当院では低用量持続漸増投与法で、たとえば7日間ごとに注射剤の量を12・5単位ずつ増やし、1〜2個の卵胞を育てていきます。「第2度無月経」の治療はLHやFSHの値によりますが、LHが低い場合はHMGの投与が有効です。

体外受精では注射剤で卵胞が多く育っても、採卵時の穿刺によるエストロゲンの減少や凍結胚の単一移植で、OHSSや多胎のリスクを回避しやすくなります。それでもリスクが高い時は、アンタゴニスト法の採卵ではGnRHアゴニストの点鼻薬を使うこともあります。


 


「卵管」にかかわる原因と治療法を教えて。


もともと体外受精は、1978年に卵管性不妊症の治療法として開発されました。両方の卵管が詰まっている卵管閉塞の方は、基本的に体外受精の適応になります。卵管が詰まっている部位によっては、卵管鏡下卵管形成術(FT)が検討されることもあります。
また、卵管水腫が見つかった場合は、その治療と不妊治療のどちらを優先するかで意見が分かれています。

卵巣の血流の70〜80%は卵巣動脈から養われています。そのため卵管水腫の切除で卵巣の血流が悪くなり、採卵数の減少など妊娠率が低下することがあります。当院では①〜③のような方針で治療を検討しています。①超音波で両方の卵管水腫が見つかった場合は切除します。②超音波で片方の卵管水腫が見つかった場合は、2〜3回胚盤胞移植を行い、うまくいかない場合は切除します。③超音波でわからない水腫の場合は、卵管造影検査を行い、2〜3回胚盤胞移植してもうまくいかない場合は切除を考慮と、ケースバイケースで治療します。


 




「子宮」にかかわる原因と治療法を教えて。


子宮内に何らかの問題があると着床障害をはじめ、赤ちゃんの成長を妨げたり、流産の原因になることがあります。たとえば、子宮内膜ポリープは胚移植の前周期に子宮鏡検査で調べて、その場で切除することができます。また、重度の子宮腺筋症で着床が難しい場合は、ゾラテックスⓇやスプレキュアⓇというお薬を数カ月間使い、患部を小さくしてから不妊治療に進むこともあります。

子宮内膜が薄い方には、凍結融解胚移植する時にエストロゲンの貼り薬を増やしたり、アスピリン製剤を使用して血流をよくする治療を行います。それで効果が出ない場合は、血管拡張作用のあるシアリスⓇやバイアグラⓇを腟内に使用すると、子宮に直接吸収され、内膜を厚くすることがあります。さらに、抗酸化作用と血流促進が期待できるビタミンEの併用も有効です。


 


「精子」にかかわる原因と治療法を教えて。原因不明の場合のステップアップは?


男性不妊のうち約90%は、精巣で健康な精子が十分につくられない造精機能障害といわれています。基本的には精子所見(精子の数や運動率など)と女性側の状態をみて、タイミング法から人工授精、体外受精までケースバイケースで検討します。精子数が少ないなど状態があまりよくない方は各治療のスピードを早めたり、人工授精から始めることを検討することもあります。重度の乏精子症や精子無力症などの精子障害の強い方は顕微授精となります。

このほかに基本検査で原因が見つからず、タイミング法や人工授精を行っても結果が出ない原因不明不妊もあります。一般的なステップアップの目安は、たとえば卵巣年齢が若くて、ご主人の検査に問題がないご夫婦の場合、タイミング法は半年(5〜6回)、人工授精は半年(5〜6回)と、合わせて最長で1年程度です。それでも難しい場合は体外受精を検討します。人工授精の妊娠率は7〜8%程度ですが、体外受精は母体の年齢にもよりますが、約40〜50%と高く、究極の治療法といわれています。たとえば、原因不明の方の約70〜80%に見つかるピックアップ障害は、1回目の体外受精で妊娠に至ることも多いです。一方で結果が出なかった場合も、結果として胚質不良や受精障害、着床障害などの原因が見つかることがあります。次に原因に最適な治療ができれば、妊娠に近づける可能性はあります。

医学の進歩によって不妊症に悩まれる妊娠適齢期の方が、治療に成功するケースは増えています。しかし、年齢とともに割合が増える染色体異常の卵子を減らすことはできません。たとえば、40歳でご結婚された方が1年以内に妊娠される確率は10%程度です。40歳前後の方はすでに不妊症の可能性があると考えていただいて、早くに不妊専門病院を受診されることをおすすめします。


 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.46 2020 Summer
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