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採卵は多いほうがいい?最適な移植時期は?

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採卵は多いほうがいい?最適な移植時期は?

2013.10.10

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相談者
シノさん(40歳)
■ 3回目の胚盤胞移植で初めての陽性でしたが、2度目の流産が確定してしまいました。昨年採卵し凍結した胚盤胞があと2個ありますが、私の通う病院ではグレードを付けていないので心配です。高齢とAMH値の低さから、再度採卵したほうがいいのでは?と悩んでいます。



採卵しておくのも1つの方法


シノさんの場合は40歳と年齢が高いので、採卵しておきたいというお気持ちはわかります。たとえば、40歳で採った卵子を45歳で子宮に戻しても、40歳当時の妊娠率も凍結されているということなので、それも正解の1つ。ただ、残り2個の胚では心配とのことですが、年齢からいうと、去年採った卵子は今年採った卵子よりいいはず。だから、どちらも正解といえば正解なんですね。
では、採卵するなら何個採ればいいのか……となると難しい。卵子が1個しか採れなくても1人産む方もいれば、200個採っても子どもをもてない方もいるように、すごく個人差がありますから。
アメリカのデータでは、体外受精で15.1個に1人の赤ちゃんというのが平均です。1回の採卵で15個くらいまでは採れた卵子の数に従って妊娠率が上がっていくんですよ。ですから、1回の採卵で15~20個あればすごく有利です。現在は禁止されていますが、以前、韓国で卵子提供を行っていた時は、だいたい17個で1人の赤ちゃんが生まれるというデータがわかっています。
もともと、それほど確率は高くないのです。だから、卵子を採っておくことも1つの方法ですし、あるいはその間に何か条件を整えるとか。当院では、42~43歳の重症の子宮筋腫の方が、先に何個か採卵した後に手術をして、44~45歳で移植して出産されたというケースもあります。



相談者
まるさん(32歳)
■ 今まで移植5回のうち、4回初期胚移植↓陰性、1回凍結胚盤胞移植↓陽性、のち初期流産という結果でした。今週また採卵予定ですが、もし何個か受精できたら、胚盤胞まで培養してもらうか、初期胚で移植するか迷っています。



どちらがいいとは一概には言えません


初期胚と胚盤胞ではどちらを移植したほうがいいかというのは、本来、比べられないことです。
そもそも体外受精は、初期胚移植から始まりました。体外受精の過程で、一番難しい技術が体外培養でした。胚盤胞培養は日進月歩で進歩し、今、ようやく実施できるようになってきた技術なのです。ですから、ラボの培養技術や手技が、胚盤胞の形成率にすごく影響してきます。ストレスに強い卵子かどうかの個人差や年齢の影響も大きく、若い方の場合は卵子が10個採れたら4~5個胚盤胞になるというのが平均ですが、40歳以上の方の場合は、胚盤胞になるのは1~3個ほどです。
当初は期待して始められた治療法でしたが、決して成績がいいというわけではありません。その理由は、受精卵は長い間培養すると、負荷がかかります。胚盤胞培養は要するに、競技の予選と同じようなもので、負荷がかかっても、その逆境を乗り越えた卵は強く、妊娠率は高い。だから卵がたくさんある場合は「いい卵を選びやすい」という方法なのです。移植あたりの妊娠率は初期胚よりいいのですが、それは分母を絞っているだけなのです。胚盤胞までいかない胚は、数に入っていませんから。
また、患者さんが高齢になると、予選でダメになる卵子が多いので、成績は期待できないということがあ
ります。卵子が少なかったり、年齢が高い人の場合は、初期胚で早く子宮環境に戻してあげたほうが救える卵がいっぱいあるかもしれない。
だから、胚盤胞と初期胚、どちらがいいかというのは、一概には言えないのです。どちらを選択するかは、その人の年齢や、予備能、できている受精卵の数などから判断して行うべきだと思います。


むしろ、新鮮胚移植か凍結胚移植かが重要


まるさんは、初期胚は新鮮胚移植をしたということですが、実は、ここにも大きな違いがあります。移植あたりの妊娠率は、新鮮胚移植と凍結胚移植で全然違うのです。同じ年齢の方で統計を取ると、凍結胚移植のほうが妊娠率は常にいいのです。
そのため、当院では、新鮮胚移植は行わなくなりましたが、一応の基準は、40歳以下なら、一部の受精卵を1日目の一番ダメージが少ない前核期胚で凍結。残った受精卵のうち、胚盤胞になったものを凍結します。前核期胚も凍結しておくことで、胚盤胞に至る受精卵がなくても、移植できないという事態を防ぐのです。
具体的にご説明すると、たとえば卵子が10個採れて、半分を前核期胚で凍結し、半分を培養したが1個も胚盤胞の凍結ができなかったとします。その場合、同じ時期に採れた卵子の前核期胚ですから、前核期胚の凍結卵でも妊娠は難しいのでは、と思いますよね。ところが、それを移植すると、ちゃんと妊娠率が出るのです。
このように、無理に胚盤胞培養に持っていくと、移植のチャンスがあった方の機会をなくしてしまうと考え、当院では両方の凍結を行っているのです。また、40歳以上の方は凍結できる胚盤胞の数がグッと減りますので、基本的に前核期胚で凍結し、分割期胚で移植します。
日本産科婦人科学会の全国平均や世界の状況を見ても、凍結胚のほうがいいという考えは間違いないので、私はすべて凍結しようと考えていますが、凍結技術が低い施設では、新鮮胚のほうが安全ですよ、ということになります。つまり、施設の技術の差がすごく大きく影響するんですね。ですから、凍結したほうがいいけれど、その施設の技術が高いことが前提条件です。



浅田 義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を
用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅
田レディース名古屋駅前クリニック開院。最近はテレビや雑誌などの取材が増えているそう。マスコミを通じて先生が推奨するAMHの計測などの認知度が高まり、「僕の望んできた状況になってきたというのが、今一番感じていることですね」と先生。







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