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自力で生理がこないのは長年のピルの服用で卵胞が減ったせい?

コラム 不妊治療

自力で生理がこないのは長年のピルの服用で卵胞が減ったせい?

「高齢でFSHが高くてもピルを飲まずにプレマリン®とクロミッド®でFSHは下がるのではと思うのですが、ピルを飲むしか手がないのでしょうか?」

2013.10.16

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相談者
だいちゃんさん(45歳)
■ある医師から「40歳を超えてのピルの服用は胞状卵胞を消してしまうのでAMHが低い患者の場合、服用は要注意」と聞き、ピルの服用が怖くなりました。しかし、主治医に質問すると「ピルで卵胞は減らない。原始卵胞や胞状卵胞を消したりはしない」との答え。医師により見解が異なり混乱ぎみです。私が自力で生理がこなくなったのは、年齢的なこともあると思いますが、長年、リセットで毎月のピルの服用により、通常よりは早く卵胞が減ったせいでは……と思い不安です。高齢でFSHが高くてもピルを飲まずにプレマリン®とクロミッド®でFSHは下がるのではと思うのですが、ピルを飲むしか手がないのでしょうか?



ジネコ:ピルで卵胞の数が減ると聞き、服用をためらわれるということです。


塩谷先生:ある医師は「ピルの内服で胞状卵胞を消してしまう」と言い、ある医師は「ピルで卵胞は減らない」とおっしゃる。混乱されているようですが、どちらも間違いではありません。問題は原始卵胞と胞状卵胞を混同しておられることにあると思います。正しく表現するならば、「ピルを服用すると胞状卵胞の数は減ることはありますが、原始卵胞が減ることはありません」となるでしょうか。
原始卵胞は、女性がこの世に生を受けた時、卵巣の中におよそ200万個備わっています。この原始卵胞はピルの内服の有無にかかわらず、一生涯を通じて減り続け、平均的には51歳前後で500個未満となり、閉経を迎えます。この原始卵胞の減り方には大きな個人差があり、20代、あるいは30代でほとんどなくなってしまう方もおられます。


ジネコ:原始卵胞の数は、薬の作用や生活環境、生活習慣などに影響されることはないのですか?


塩谷先生:ありません。減り方には個人差がありますので、当院でも23歳で原始卵胞がほとんどなくなって閉経に至っている方がいらっしゃいました。だいちゃんさんは45歳ですけれども、当然ありうることです。AMHもゼロに近いですので、もともと原始卵胞が少なかったのでしょう。自力で月経がこなくなったのはピルのせいでは、と心配しておられますが、それは正しくありません。原始卵胞が平均的な女性よりも少し
早く減り始め、その結果、月経がこなくなったと考えるべきでしょう。
余談ですが、先日、30代でほとんどAMHの値がゼロという患者さんがいらっしゃいました。彼女は納得できないご様子で、「祖母も母も子だくさんなのに、どうして私だけ卵子がないのですか!」とおっしゃいましたが、詳しくお話を聞くと、祖母が彼女のお母さんを産んだのは18歳、お母さんが彼女を産んだのは20歳の頃とのことでした。彼女もきっと20歳前後ではまだ卵子があったかもしれないのです。
現在は晩婚化で、30歳を超えての結婚は珍しくありません。彼女の祖母の時代なら、30歳といえば5人くらい子どもがいる人がいくらでもいたでしょう。晩婚化、晩産化の弊害がこのような形で現れているのです。


ジネコ:閉経が近い方に対して、今後どんな治療法を考えればよいですか?


塩谷先生:だいちゃんさんの原始卵胞は本当に残りわずかで500個に満たないと思います。そこからご自身の卵子を取り出して体外受精で妊娠するのは大変困難なことです。ピルでリセットする治療は決して間違いなどではなく、経済面でも理にかなったことです。信頼できる医師と、治療方針についてより深く話し合い、決して多くはない残された時間やチャンスを大切に使っていただきたいですね。



塩谷 雅英 先生
島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊症治療の臨床に取り組みながら研究を継続する。1994~2000年、神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、不妊専門クリニック、英ウィメンズクリニックを開院する。A型・しし座。テニスが趣味で、見るのもプレーするのも大好きという先生。今年は夏に学会でロンドンに滞在する機会があるので、20年ぶりにテニスの聖地、ウィンブルドン選手権を訪ねるのが楽しみなのだとか。




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