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タイミングをみながらの人工授精は、タイミングの邪魔になりますか?

コラム 不妊治療

タイミングをみながらの人工授精は、タイミングの邪魔になりますか?

「タイミング療法をしながら人工授精を行った場合、人工授精で洗浄・濃縮した精子が邪魔して、タイミングの意味がないといったことはあるのでしょうか?」

2015.2.18

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相談者

いちご さん(31歳)


4~5年ほど自然に任せて妊娠しなかったので早く妊娠したくてタイミング療法はせず、人工授精から不妊治療を始め4回目で妊娠。しかし、タイミング療法から始めれば良かったかな?と思ってしまいました。人工授精しながらタイミングははかっていたので、3回は妊娠しなかったことになります。タイミング療法をしながら人工授精を行った場合、人工授精で洗浄・濃縮した精子が邪魔して、タイミングの意味がないといったことはあるのでしょうか?タイミング療法だけの場合と、人工授精しながらタイミングをはかる場合とでは違いはあるのでしょうか?




-- いちごさんは、タイミング療法と並行して人工授精を行ったことで、実はタイミング療法を邪魔してしまっていたのではないかと考えているようです。


松山先生: いちごさんの相談について考えるにあたり、タイミング療法と人工授精それぞれの特徴を整理しながら説明していきたいと思います。まず、タイミング療法とは、その名のとおり、排卵日のタイミングをみて性交渉をもつことで妊娠を試みるという方法です。

排卵日がいつなのかを見極める方法はいくつかあります。当院では、超音波検査で卵胞計測をし、血液検査を併用して排卵日の推定を行っていますが、排卵日前後には頸管粘液(おりもの)が多くなるので頸管粘液の性状等をみたり、尿を使った排卵日検査試薬を使って排卵日を推定する施設も多いようです。また、最近では携帯アプリに入力して排卵日を予測する方もいるようですね。ただし、携帯アプリは生理周期が不安定な人には向いていませんのでご注意ください。

排卵日を予測する方法は、クリニックによってさまざまですが予測ができたら「この日にご主人と関係を持ってください」とアドバイスをします。当院では、できればその後にヒューナーテストを行うようにしています。


-- 人工授精とはどのような方法で行うのでしょうか。


松山先生: 人工授精は、排卵日をみるところまではタイミング療法と基本的には同じです。人工授精の場合は、排卵日が予測できたら当日、精子を持ってくる、もしくはクリニックで採るなどの方法で精子をいただき、一般的には洗浄・濃縮して条件を整えたあとで、その精子浮遊液を専用のカテーテルで子宮腔内に注入します。


-- いちごさんは、人工授精で洗浄・濃縮した精子が、タイミング療法で子宮に入ってくる精子の邪魔をしていたのではないかと心配されています。そんなことはありうるのでしょうか。


松山先生: 人工授精で洗浄・濃縮した精子を子宮腔内に注入するのには理由があります。そもそも、自然妊娠の場合、精液内の精子は子宮の頸管で雑菌などのいらないものがそぎ落とされ、洗浄されたきれいな精子となって子宮腔内に入ります。人工授精で精子を洗浄・濃縮するというのは、それと同じ状態にするためなのです。むしろ、自力では子宮腔内にたどりつけない精子も人工授精なら子宮腔内に入れてあげられるので、妊娠の可能性がぐっと高まります。ですから、人工授精で洗浄・濃縮した精子が、タイミング療法で子宮に入ってくる精子の邪魔をすることはありませんよ。


-- いちごさんのように、人工授精から入る方もいますが、多くはタイミング療法から入るのだと思います。人工授精はどのような方に適しているのでしょうか。


松山先生: タイミング療法がうまくいかなかった方は、次のステップとして人工授精を行うのが一般的です。ただし、タイミング療法で妊娠に結びつかない理由によっては、人工授精が適さない場合もあります。具体的には、先に述べたヒューナーテストが良好なのか不良なのかで、ずいぶん話は変わってきます。


-- ヒューナーテストとは、どのような検査なのでしょうか。また、ヒューナーテストは人工授精にどのように関与しますか。


松山先生: ヒューナーテストとは、性交渉後の子宮頸管粘液の中にある精子の状態を見る検査です。性交渉の後に子宮頸管から粘液を採取して顕微鏡で状態を調べます。そこで多数の運動精子が確認できれば、子宮腔内の運動精子濃度は高いと考えられます。もし運動精子の数が少ない場合は不良と診断され、なぜ不良なのかを考えることになります。

可能性としては、排卵期の子宮頸管粘液の不良、精子の不良、また抗精子抗体の関与などが考えられます。排卵期の子宮頸管粘液の伸びが悪いなどで不良な場合は、精子を受け入れにくい状態にあります。その場合は、精子を子宮腔内に入れてあげればいいので人工授精をすれば妊娠の可能性が上がるということになります。

ただし、抗精子抗体を持っていれば、子宮腔内に入ったとしても精子は攻撃されてしまうので、人工授精をしてもあまり意味はないかと思います。ただし、抗精子抗体にも強さがあるうえに、その値も検査日の体の状態によって上がったり下がったりするので、値が低い時なら可能性はないともいえないのではないでしょうか。


-- タイミング療法、人工授精ともに、妊娠に至るまではさまざまな条件を経ていることがわかりました。最後に、めでたく妊娠できたいちごさんにメッセージをお願いします。


松山先生: 不妊治療の基本はタイミング療法からなので、タイミング療法から始めればよかったと思われる気持ちはよくわかります。けれど、「4~5年ほど自然に任せて妊娠しなかった」と書かれているので、やはりいちごさんの場合は人工授精から入って間違いはなかったのではないでしょうか。これから訪れる出産、育児を頑張ってください。



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring
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松山 毅彦先生


東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病院産婦人科 勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996年厚仁病院産婦人科を開設。日本生殖医学会生殖医療専門医。おひつじ座のA型。SNSで情報のやりとりをする機会も多い松山先生。最近は吉村泰典先生からSNSを通じて紹介された著書『生殖医療ポケットマニュアル』で最新生殖医療を勉強中とのこと。




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