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卵の成長が早すぎて空胞?小さくて未採取の卵は次に排卵しますか?

卵の成長が早すぎて空胞?小さくて未採取の卵は次に排卵しますか?

2015春

2015.2.19

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相談者

ちょこ さん(33歳)


人工授精の時から、毎日エコーで1つの卵の大きさを確認しつつ注射を打つという流れですが、その後体温が上がらず、結果、他の卵が大きくなってきました。その時、後から現れた卵は大きくなるのが遅く、強制リセット。でも、このように大きくなってきたと思った卵(空胞)は、だいたい排卵予定日より早く成長しています。先生にこういう見間違いはどうにかならないのかと尋ねると、エコーで見て判断するからどうしようもないと言われました。今回、初めて採卵まで行けましたが12日目で大きくなり、結果はやはり空胞。エコーでは右に4つ、左は2つで、採卵する際には左は見えなくなっていて、右は小さかったから採取せず、2つ残っているとのこと。これが後に排卵する可能性はありますか?




-- 卵の育ちが早すぎるということですが、何が問題なのでしょうか?


浅田先生: 一番の問題点はやはり33歳でAMH0・16ng/ml未満ということです。いつAMHを測ったかは不明ですが、AMH0・16ng/ml未満というのはほとんど0ということです。要するに早発閉経の予備軍であり、早発卵巣不全が始まっているということです。

卵の育ちが早いというのは閉経移行期で卵胞ホルモンが低くなっているので、その反動でFSHが高くなり、その分残っている卵が早く育つ傾向にあるのだと思います。そういう場合は、いったん生理周期が短くなることが多いのです。

ただ、12日目だから早いとかいうのはナンセンスです。卵というのは半年くらい前から育ってきているもので、たまたまその時ホルモンに対して反応のいい卵が大きく成長します。ちょこさんの場合はプレマリン(R)とかソフィアC(R)で生理を起こしているわけですし、卵と同期しているわけではありません。生理の時点で大きい卵胞があれば早く育って当たり前ですし、なければ遅くて当たり前で、日にちが長いからいいとか悪いとかということとは話が別です。


-- 卵が早く成長するから云々ということよりも、卵巣予備能についてもっと危機感が必要ということでしょうか?


浅田先生: そうですね。このような場合、当院ではきめ細かくホルモンを測って、きめ細かく診ていきます。ただ、卵がいい悪いというのは、すでに半年前に決まっていることですし、卵がほとんど残っていないちょこさんのようなケースでは、すでに多くの卵が傷んでいる可能性が高く、卵胞が育ってきても採卵してみたら空胞ではないけれど卵の質が良くないとかそういうことはいくらでも起きると考えられます。いい時も悪い時もありながら次第に悪い方向へ行く、今が境目の時です。卵がたくさんあって、それが育つかどうかと言っている段階ではないのです。


-- エコーで判断するからどうしようもない、というドクターの見解はどう思われますか?


浅田先生: これは見間違いとかではなく、エコーでは見たとおりにしか見えません。つまり、卵の成長や採卵時期というのはエコーだけでなく、エコーでの見た目とホルモン値を総合していろいろ判断しないと非常に難しいことなのです。

当院でも昔は、エコーで私の見た目だけで簡易の体外受精をやっていましたが、その後、FSH、LH、E2を常に測ってその動きを見ていくと、変な動きをしているものはホルモンで説明がつきます。この時点で上がっていたから、その時に採卵しないとダメだったんだねとか、一見大きく見えていてもE2が低いと採れた卵が未熟だとかそういうことはいくらでもあります。

実際、卵を育てているのは下垂体ホルモンですし、そういうホルモン調整をうまく行いながら、卵が育ちやすい環境を逆にこちらから作ってやるというのが治療方針になると思います。


-- 残っている卵が後に排卵する可能性はあるのかということですが。


浅田先生: 小さかったから採取しなかったという卵は、次の周期の胞状卵胞として育つ可能性はありますし、そのまましぼんでいくかもしれません。卵というのはそういうものです。本当に育っていく卵というのは少なくて、多くのものはしぼんでいきます。卵は1個ずつがカチッとしたものではなく、ダイナミックにどんどん動いていて、その中の一部が成熟卵胞になっていくだけの話なのです。

目に見えていない卵もいくつもあり、本来、不妊治療とはそういう卵と勝負しているのであって、目に見えてからもしぼんでいくものがあることが当たり前なのです。そんなに変なことが起きているわけではないし、逃したから惜しいということでもありません。育ってきたものを、ただうまく捕まえるということなのです。


-- 今後、先生ならばどのように治療を進めますか?


浅田先生: ちょこさんの場合は卵が育つ環境が悪くなりつつあるので、まずは毎回ホルモンを測り、卵の成長できる環境を整えて、より育つ確率を高めることが大切だと思います。この時、FSHやLHが高ければ排卵誘発剤は無駄になりますので、むしろ卵胞ホルモンを使ってFSH、LHを下げることでいい環境で作り、体外受精でなるべく多くの受精卵をつくります。当院ですと前核期で凍結して貯めておいて融解胚移植していきます。その繰り返ししかないと思いますし、それがロスの一番少ない方法ではないかと思います。

ただし、ちょこさんはまだ33歳ですので、受精卵ができたとしたら卵子が古いから育たないというデメリットは少ないといえます。受精卵ができれば、33歳なりの妊娠率が期待できますので、高齢で卵子の少ない人に比べたらずっと有利です。残り時間は決して多くはありませんが、あと1~2年を勝負に頑張ってみる価値はあると思いますよ。



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring
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浅田 義正先生


名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。生殖医療が好きで、その臨床をしっかり学びたいという若い医師に向けてのドクターアカデミー「浅田塾」が昨年より開講。専門医の資格取得だけでは知り得ないプロトコルとマインドを伝え、日本の生殖医療のレベルアップをしたいと先生。




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