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茶色のおりものが出たのでバイアスピリン(R)を一時的にやめました

茶色のおりものが出たのでバイアスピリン(R)を一時的にやめました

2015春

2015.3.20

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茶色のおりものが出たのでバイアスピリン(R)を一時的にやめました


茶色のおりものは、生理的なもの。流産に関わらない出来事だと推察します


―それでは今日はDJミックが、ともかさんからの相談にお答えしますね。ともかさんの相談内容はこちら。


不妊治療歴3年、39歳のともかです。今、妊娠12週目で赤ちゃんは順調です。以前、6週目で流産した経験があり、不育検査で抗体が高め(40)でした。その後、不育症専門の病院で検査をしました。すると、プロテインS抗原量(基準値は65~135)が54と低い結果が出ました。医師からは移植したらバイアスピリン(R)を服用するようにと言われました。また甲状腺の数値も高めで、異常なしですが念のためチラーヂン(R)を服用しました。

不妊治療の医師にこれらを伝え、今の妊娠に至るのですが、7週目くらいから茶色のおりものが出たため「出血を抑えるためにバイアスピリン(R)をやめるように」と言われ、7~10週目の約3週間、バイアスピリン(R)を服用していません。その後は服用していますが…。いろいろ調べると、プロテインS抗原量が低い人は妊娠中期後期に悪さをすると書いてあって、一時的にやめて無事に出産まで至った方が見当たらないのです。だからとても不安ですし、心配です。

どんなアドバイスでもいいので、今の私の状況で今後の妊娠、出産にどんな影響が出るかを教えていただけたらと思います。どうか、よろしくお願いいたします。



―ともかさん、こんにちは。妊娠12週目で順調とのこと。よかったね。これからもいろいろあるかもしれないけれど、おそらく君は初夏にはお母さんになっていると思うよ。

39歳で治療年数3年、AMH0.2ng/ml左卵巣チョコレート嚢腫の診断、摘出。不妊治療にて妊娠するも6週で流産…。ともかさんがその時その時でいろいろ悩み、泣いて、立ちあがってきた様子を、先生は想像しています。そして、今の不安な気持ちがストレートに心に入ってきます。今日の先生の話が役立つと幸いです。


妊娠6週、1回の流産は不育症といえません


―では、いきますよ。不安解消の第1弾。これまでの流産歴は妊娠6週での1回ですよね。これは不育症とはいえません。不育症というのは、流産や子宮内胎児死亡をくり返し、赤ちゃんを抱っこできない状態をいいます。妊娠9週以前の流産の約70%は受精卵の染色体異常による自然の摂理です。したがって、くり返す可能性が高いものではありません。むしろ旦那様の精子と、ともかさんの卵子で妊娠できる証拠と考えてください。


低用量アスピリンの内服は大きな副作用はない


―では次に不安解消の第2弾。プロテインS欠乏症の中には、不育症の原因となるものもあります。プロテインSは血栓を予防する物質ですから、少ない人は血栓症を起こしやすく、血栓によって胎盤の血流が悪くなり、胎児が育たなくなるという原理です。同じような病態に抗リン脂質抗体症候群があります。これは細胞を構成するリン脂質に結合するたんぱく質に対する抗体を持っている状態です。この症候群が初期流産に関するのは、先に話しました血栓によるものではないことが近頃わかってきました。胎盤の元になる繊毛細胞の増殖や、繊毛の脱落膜への浸潤を阻害することが原因と考えられてきています。抗リン脂質抗体症候群はプロテインSを欠乏することが多く、抗リン脂質抗体症候群の自己抗体がプロテインSの低下を引き起こしているようなのです。

抗リン脂質抗体症候群の診断に必要な抗カルジオリピンIgG・IgM、β2GPI抗体、ループスアンチコアグラント等の検査結果はどうでしたか? 相談のメールからはきっとそれらは正常と察します。正常で抗リン脂質抗体症候群でない人は、多少プロテインSが低くても流産の原因になることは少ないと思います。最近の不育症に関する報告では、プロテインSが低下していても、正常な人と流産率に差がないというのが多くなっています。そのため、妊娠10週未満の初期流産に関しては、プロテインSは関係ないと考えられています。したがって、妊娠10週までに低用量アスピリンを使用していても使用していなくても関係ないと思います。プロテインSが低下している人に低用量アスピリン療法やヘパリン療法を行った方の妊娠率が高いという報告もありますが、その対象の中には抗リン脂質抗体症候群の人も含まれていると考えられています。低用量アスピリンは、大きな副作用もありませんので、妊娠後期まで安心のために内服するのは問題ないと思いますし、妊娠7~10週までの中断ももちろん、妊娠経過に影響はありません。

私見ですが、7週ぐらいからの茶色のおりものは子宮内からではなく、妊娠による子宮腟部のびらんによる出血と帯下の混じったもので、生理的なものだと思います。流産には関わらない出来事だと推察します。


抗核抗体と不妊・不育症の因果関係は認められない


―では第3弾いきますよ。抗体が高め(40倍)ということですが、これは抗核抗体のことと想像します。40倍程度の弱陽性のことはよくあります。臨床的に問題のない人でも、約30%の人が40倍となります。それに抗核抗体と不妊・不育症の直接的な因果関係は証明されていませんし、抗核抗体陽性だけでは不妊や不育症の原因にはなりません。

この場合も抗リン脂質抗体があるかどうかが大切です。抗核抗体陽性の方の約2割に抗リン脂質抗体症候群の合併があります。逆にいえば、抗リン脂質抗体がなければ問題ないということです。つまり、抗核抗体は抗リン脂質抗体症候群のスクリーニング検査という位置づけです。


TSH、甲状腺ホルモンの正常なコントロールを


―さて、最後に第4弾です。甲状腺の値が高く、チラーヂン(R)を処方されたということは、甲状腺ホルモン自体は正常だけど、TSH(甲状腺刺激ホルモン)だけが高かった状態と思います。甲状腺ホルモンは、妊娠するためにも妊娠を維持する(流産しない)ためにも必要なホルモンです。甲状腺ホルモンが足りていなければ、流産につながる可能性が高くなります。また、甲状腺ホルモンが正常でもTSHだけが高い場合(潜在性甲状腺機能低下症)も流産しやすくなります。ただし、チラーヂン(R)の内服により、TSHおよび甲状腺ホルモンが正常にコントロールされていれば、妊娠維持に影響はありません。

―さあ、福山から、ともかさんを応援しています。かわいい赤ちゃんを抱っこするのを楽しみに、前向きに明るく妊娠生活を送ってくださいね。今日も聞いてくれてありがとう!DJミックでした。



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring
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ささ山 高宏先生【幸の鳥レディスクリニック】
産業医科大学医学部医学科卒業。産業医科大学病院、和歌山労災病院、九州労災病院、セントマザー産婦人科医院の勤務を経て、1997年4月、幸の鳥レディスクリニックを開業。患者さん一人ひとりを大事にする姿勢で生殖医療に携わる。A型、おひつじ座。地元ラジオ局に「DJミック」として出演中。最近はまっているのはお寿司だそうで、九州まで食べに行くほど。好きな寿司ネタはイカとトロ(漬け)。





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