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ステップアップの方針はどんなことを基準に考えればいいでしょうか?

コラム 不妊治療

ステップアップの方針はどんなことを基準に考えればいいでしょうか?

「神谷レディースクリニック」院長の神谷先生に基本的な治療方針の立て方や、重要視するべき要素、さらに治療を選択するにあたっての患者さんへのアドバイスなどをお聞かせいただきました。

2010.9.21

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不妊治療のステップアップは、年齢をはじめ不妊の期間、原因などに応じて医師が判断し、患者さん本人も納得・選択したうえで進められます。一人ひとりに合わせた「オーダーメードの治療」が行われていきますが、初めての患者さんに対して、治療の方向性やスケジュールなどの判断基準をそれぞれの医師が持っています。一般不妊治療から高度な不妊治療までを行っている「神谷レディースクリニック」院長の神谷先生に基本的な治療方針の立て方や、重要視するべき要素、さらに治療を選択するにあたっての患者さんへのアドバイスなどをお聞かせいただきました。


ジネコ:初診の患者さんの場合、先生は基本的な治療方針をどんなふうに立てていくのですか?
神谷先生:トータル的に考えていきますが、まずは患者さんの背景を問診でよく確認します。年齢、結婚して何年目か、不妊期間はどのくらいか、通院や治療の環境を知るためにどういう場所に勤めているのかなどもお聞きしています。それから、基本的な検査へ。基礎体温をつけてもらって排卵をチェックし、卵管が通っているか、子宮の形態はどうか、さらにホルモンの状態などを見ていきます。男性の精子の検査も、できるだけ早い段階で行います。当クリニックでは、初診時からご夫婦で来るケースが多くなっているので、男性に協力してもらいやすくなっていますね。
ジネコ:ご夫婦で来るようにと、促していらっしゃるのですか?
神谷先生:ホームページなどでも説明していますが、かなり意識が浸透してきているのだと思います。特にここ最近は、来院者の半数とまではいきませんが、かなり増えていますね。ご夫婦が揃っていると、これからの検査結果に基づいて治療方針を立てましょうというお話をするにも、ちょうどいいんですよ。
ジネコ:検査をひと通り終えてからは、どんな説明をしていきますか?
神谷先生:一般的な治療としては、排卵日前後にタイミングをとるタイミング療法から、精子と卵子の出会いを強める人工授精、そして体外受精という3つの段階があることをお話しします。次の治療に進む前には、また詳しい検査を行って、その方に最も適した方法を選んでいきますので、検査の結果によっては、途中の治療を省いて、直接、体外受精に進む場合があるということも説明します。

そこから先は、個別に対応するということになりますが、治療を始めると、ゴールの見えないトンネルのように感じる方もいますから、最初の段階で治療のステップアップやスケジュールを示して、ある程度のゴールが見えるようにしています。
ジネコ:具体的には、どんなタイミングで次のステップを考えていきますか?
神谷先生:だいたい33歳未満の方は、検査結果に決定的な不妊の因子がなければ、6~10回程度タイミングをとってみます。タイミング療法のなかでも、自然周期から排卵誘発剤を使っての治療などのステップアップを考えます。その後、人工授精に移って4~5回行っても妊娠に至らなかった場合は、一度、体外受精をしてみましょうと提案します。体外受精を行えば、受精障害など、もう一歩先の原因がわかりますから、治療の成功率も高くなります。

34~35歳くらいになると、年齢による卵子の質の低下が著明に出てくるので、タイミングをとるとしても4回程度。37~38歳くらいになると、タイミング療法はせずに人工授精ということもありますし、不妊期間や夫婦生活の回数などを鑑みて、人工授精の回数を多くすることもあります。それぞれの患者さんの様子を見ながら、私のこれまでの経験に基づいて、話のしかたも考えています。

さらにもう少し年齢が上になって、不妊期間が長く、自分たちでタイミングもとっていたという場合、あるいは他の病院で治療の経験がある場合などには、最初から体外受精の話をすることもあります。
ジネコ:やはり、年齢が大きな要素ということになりますか。
神谷先生:かなり大きいと思いますね。それと、今までの治療歴や不妊期間、夫婦生活、そして不妊の原因ですね。たとえば子宮内膜症の方はなかなか妊娠しづらいため、タイミングや人工授精であまり引っ張らず、ステップアップをより早くしたほうがよいと思います。

ただ僕は、基本的には、自然に近く患者さんに負担がかからない治療で妊娠してもらうのが一番よいことだと考えています。そういう意味からすれば、タイミング療法や人工授精が望ましい。体外受精は、やはり精神的、肉体的、経済的、時間的ストレスが大きいんです。しかし一方では、いつでも体外受精を行う気持ちで診ていくことが、患者さんにとってもよいことだと思っています。

当クリニックでは、医師と看護師、培養士、事務のスタッフで患者さんに説明を行う「ART(生殖補助医療)教室」を開催しています。そこである程度の予備知識を持っていただいてから、体外受精の時期などの具体的な話に入るようにしています。
ジネコ:では、患者側としては、どんなふうに治療を選択していけばよいでしょうか。
神谷先生:判断材料を得るために、十分に勉強するということでしょうね。いろいろな考えの施設が増えていますから、患者さんもポリシーを持っていなければ、納得のいく治療を受けられないこともあります。それと、もう一つ考えてほしいのは、40歳を過ぎると、体外受精など最新の技術をもってしても、必ずしも妊娠がかなえられるわけではないということ。知識を持ったうえで、治療を終える時期も自分たちで見極めながら、治療に臨んでほしいですね。

神谷 博文 先生


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札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学講座に入局後、斗南病院にて産婦人科科長を10年間務める。1998年、神谷レディースクリニックを開業。麻酔科標榜医、細胞診指導医。常に新しい情報を得るためのアンテナを張り、学会や研究会、勉強会などに積極的に参加。全国各地のドクター仲間とのゴルフも、楽しみながら情報交換ができる大切なチャンスだという。



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