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無痛分娩の メリット・デメリットは?

コラム 妊娠・出産

無痛分娩の メリット・デメリットは?

最近、出産時の痛みを軽減できる「無痛分娩」に興味を持つ人が増えてきているようです。無痛で産むとどんな良いことがあるのか、また、注意する点はあるのか、実際に無痛分娩を導入しているWクリニックフォーマザーズ幕張の渡邉剛也先生にお話を伺いました。

2018.2.22

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日本では3~4年前から 注目が集まるように




無痛分娩は、硬膜外麻酔によりお産時の痛みを和らげる分娩法で、欧米、特にアメリカではほとんどの妊婦さんが無痛分娩で赤ちゃんを産んでいます。


日本においては25年以上前に導入されたのですが、なかなか普及が進みませんでした。認知が高まってきたのは3~4年くらい前からでしょうか。


メディアでの紹介などもあって注目が集まり、当院でも最近、無痛分娩を希望する方が増えています。


 


無痛分娩の一番のメリットは、やはりお産の痛みが軽減されることです。


 


ゼロになるとはいえませんが、麻酔薬がよく効く方はほとんど痛みを感じずに出産できます。


少なくとも、通常のお産と比べて痛みは半分以下になるので、それだけでもかなり楽になると思います。


日本には昔から「子どもはお腹を痛めて産むから可愛い」というような考え方がありますが、痛みに恐怖心を持っている人、たとえば最初のお子さんを出産した時に難産で苦しんだ人の場合にはそれがトラウマになり、「またあの経験をするのか」と暗い気持ちになって、本来はハッピーなはずの妊娠期間を不安な状態のまま過ごすことになるケースもあります。


痛みへの強い不安や恐怖は 赤ちゃんにも悪影響を与えます


人間の生理現象として、不安を感じると緊張して全身の筋肉が収縮します。


子宮は筋肉の塊ですから、子宮筋も収縮状態におちいってしまいます。


そうすると胎盤への血流が圧迫され、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給がうまくできなくなってしまいます。


妊娠経過中にずっと不安な気持ちのままでいたら、赤ちゃんが大きくなりづらかったり、途中で成長が止まってしまう可能性があるかもしれません。


ですから、痛みに弱かったり、出産に恐怖心を抱いている人にとって無痛分娩は有効な方法なのではないかと思います。


 


産後の処置が終わった後、僕は必ず「無痛分娩はどうでしたか?」と問いかけてみるようにしているのですが、
「良かった。とても楽でした」「次も絶対、無痛で産みます」と答える方がほとんどですね。


また、痛みがないのは体力の消耗も少ないということ。


長時間の痛みは心身を疲れさせるので、通常のお産だと産んだ後はしばらくぐったりしてしまうものです。


ところが、無痛分娩だと産後の回復が早い傾向にあるようです。


まだデータ化していないので確実にはいえませんが、僕の印象でも無痛分娩の人は、お産の直後から元気な人が多いようです。お産で頑張りすぎていないので、翌日から元気に赤ちゃんのお世話をしていますね。


何か起こった時、無痛分娩なら 帝王切開への速やかな移行が可能


もう1つ大きなメリットとしては、帝王切開に速やかに移行できること。


 


どんなお産でも分娩進行中に予期せぬことが起こって、急遽帝王切開をしなければならないことがあります。


麻酔なしでの分娩の場合にはそこから麻酔をかけなければいけませんが、無痛分娩だと最初から麻酔のセッティングがされているので、チューブに麻酔薬を足すだけですぐにお腹を切開できます。麻酔の準備をしている間、赤ちゃんは具合が悪いまま。麻酔をかけるタイムラグがなければ、早く取り出して赤ちゃんを助けてあげることができます。


息む力も弱くなるので 初産の約半数が吸引分娩に


デメリットについて、僕はそれほど大きな問題とは思っていませんが、通常のお産に比べて吸引分娩になるケースは多くなります。


息む力にも麻酔が効いてしまうので、特に初産の場合だと半数くらいの人は吸引分娩に。


最後に少し手伝って、赤ちゃんを引っ張ってあげるだけなので、これについては心配されることはないと思います。


 


また、無痛分娩について広く認知されるともに医療事故もクローズアップされているようですが、事故は本当にまれなことで、きちんと正しい手順を踏んで行えば安全にできる分娩方法です。


硬膜外麻酔は局所麻酔の一種ですが、針を入れる場所やお産の進行に合わせた薬量の加減などの判断が必要なため、担当する医師には十分な経験と技術が不可欠です。


当院では医師の引き継ぎはなく、無痛分娩時の麻酔管理(麻酔開始から分娩まで)はすべて院長が担当します。そのため、無痛分娩を希望する方は原則、計画出産にしていただいています。


「無痛分娩に興味があるけれど、ちょっと心配……」という人は、決める前に医師からきちんと説明を受けましょう。


どのようなやり方で麻酔薬を入れるのか、何か起こった時の対処法、痛みはどの程度なくなるのかなど、不安な点をすべてクリアにして、納得したうえで選択されるのがいいと思います。


お話を伺った先生のご紹介

渡邉 剛也先生(Wクリニックフォーマザーズ幕張院長


帝京大学医学部卒業
帝京大学医学部卒業と同時に医師免許を取得
大学病院産婦人科入局
この間に大学病院麻酔科及び皮膚科、また周産期医療センター病院新生児科NICUにて
研修を受ける。その後、米国シアトルにて学会発表した学位論文審査に合格し、
2003年 医学博士取得


Wクリニックフォーマザーズ幕張

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