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2017.6.18 ジネコ妊活セミナー in 大阪

レポート 不妊治療

2017.6.18 ジネコ妊活セミナー in 大阪

2017Webセミナー

2017.8.21

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2017年6月18日に行われたジネコ 妊活セミナーより


不妊治療全般について



 


2017年6月18日(日)、大阪梅田にて「ジネコ妊活セミナー」を開催しました。第1部では、医療法人オーク会の培養士 天野奈美子さんに「不妊治療全般」について、第2部では「最先端不妊治療の紹介」として、医療法人オーク会 医師 田口早桐先生にお話いただきました。今回は第1部の内容の第1弾をお届けします。


 体外受精とその流れ


体外受精とその関連技術を総称して「生殖補助医療 assisted reproductive technology」、又は「高度生殖医療技術 advanced reproductive technology」と呼び、頭文字をとってART(アート)と略されることもあります。卵管が詰まっていたり、運動精子が極端に少なかったり、一般不妊治療を繰り返しても妊娠に至らないといった場合に適用されます。
タイミング法や人工授精といった一般不妊治療は卵子と精子が出会いやすくして受精する確率を上げるもので、受精以降のプロセスは自然妊娠と同じです。一方、体外受精は、卵子を採取して体外で受精させ、培養してある程度育ってきた受精卵を子宮に入れるという方法で、より高度な医学的介入を行います。

①排卵誘発→採卵
月経が始まったらIVF周期開始です。一般的な方法では、月経1日目から自然排卵を抑制する点鼻薬を使い始め、月経3日目からは排卵誘発の注射、月経6日目からは卵胞計測を行います。排卵誘発の期間は卵巣の反応によって異なりますが、約10日前後です。
卵胞が20mm程度に発育した時点で、卵子の最終的な成熟を促すHCGの注射を打つと、約36時間後に排卵が起こります。その直前に採卵を行います。
採卵当日に精子も必要なので、ご自宅で取ってお持ちいただくか、院内で採取していただきます。

②受精
一般体外受精の場合は、卵に精子を振りかけて一緒に培養する、媒精(コンベンショナル体外受精)という方法で受精させます。卵に精子を振りかけると、沢山の精子が一斉に卵に向かって泳いでいき、精子頭部からヒアルロニダーゼという酵素を出して卵の周りの顆粒膜細胞や透明帯を溶かします。最初に卵に到達した精子が卵の中に入ると、透明帯や卵細胞膜に変化が起って他の精子が入れなくなり、受精が成立します。
コンベンショナル体外受精では、運動精子の濃度が重要で、最適な精子濃度は、1mlあたり10万個です。培養液1ml中に運動精子濃度が10万個になるように精子濃度を調整して振りかけます。

③培養・移植
細胞分裂(分割)を始めた受精卵を胚と呼びます。胚は3日目頃までは分割を繰り返し、割球の数は増え、割球の大きさは小さくなります。やがて割球どうしがくっついて境界が不明瞭なコンパクションという状態を経て、胚盤胞となります。胚盤胞は、栄養外胚葉という将来胎盤になる細胞の層と、内細胞塊という将来胎児になる細胞の塊に分かれており、その内側は空洞になっています。この空洞(胚盤胞腔)が、胚盤胞の発育に従って拡張し、その圧力により透明帯が破れてハッチングが起こります。初期胚からハッチングが起こるまでの間に移植を行い、残った胚は凍結しておきます。超音波で観察しながら子宮内膜を傷つけないようにチューブを通し、胚や胚盤胞を子宮に移植します。

④胚の凍結保存
胚移植後、残った胚や胚盤胞は、-196℃の液体窒素に入れて半永久的に保存できます。
当院では超急速ガラス化保存法(Vitrification法)という方法で胚を凍結保存しています。ガラス化液に投入して約1分後、液体窒素で瞬時に凍結し、クライオトップという専用のプラスチックシートに乗せて、液体窒素タンクで保管します。1個ずつ手作業で凍結するため、非常に手間がかかり熟練の手技を要する作業ですが、胚へのダメージは殆どなく、融解後は100%に近い確率で元の状態に戻ります。一度凍結すると半永久的に同じ状態を保てるので、胚移植をされても妊娠されなかった場合や、第二子を希望される場合には融解して移植することができます。精子や、未受精卵子も同様に保存できます。

⑤妊娠判定
採卵日から数えて14日目に尿および血液中のHCGにて妊娠判定を行います。
妊娠反応が陽性だった場合、順調にいくと1週間後に超音波で胎嚢が確認でき、妊娠が成立します。妊娠反応が陰性だった場合や、陽性でも胎嚢を認める前に妊娠が終了した場合は、融解胚移植やICSI、着床補助技術などの併用といった次の治療方針を決めていきます。

⑥妊娠後のフォローアップ
ARTでは採卵・移植後にホルモン剤を使っているため、ご懐妊後もしばらくの間はホルモン補充が必要になります。妊娠の維持に必要なホルモンが絨毛から十分に供給されるようになる妊娠9週までは定期的に健診を行い、少しずつ量を減らしながらホルモン剤の服用を続けます。
妊娠12週頃までは出血などが起こりやすい不安定な時期であるため1週間に1回、妊娠12~24週は4週間に1回、妊娠26週以降は2週間に1回のペースで妊娠経過を見ていきます。36週以降は分娩設備のある施設にご紹介します。当院は、24時間365日体制で緊急対応を行っており入院設備もあるので、安心して治療を受けていただけます。


 





天野奈美子さん (医療法人オーク会 胚培養士)

胚培養士歴14年。培養室業務や患者様への説明をはじめ、培養士の育成、セミナー講師なども務めます。欧州生殖医学会やアメリカ生殖医学会などの海外の学会に参加して最新技術を取り入れ、自らも研究発表を積極的に行なっています。




 







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