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【不妊】受精障害ってなぜ起こるの? 原因と治療法

まとめ 不妊治療

【不妊】受精障害ってなぜ起こるの? 原因と治療法

卵子と精子がうまく出会えない、出会っても受精卵にならない<受精障害>。原因とその対策について知っておきましょう。

2018.8.28

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婦人科で相談し、タイミング法から不妊治療に取り組んでいてもなぜか結果が出ない……という場合、その理由として考えられる要因のひとつに受精障害があると言われています。


 


卵子と精子が出会って受精するという流れがうまくいかない受精障害は、私たちの目ではわからない女性の体の中で起こる現象だけに、わかるまでの時間がかかることもあります。


この機会に知識を得ておきませんか?


受精障害とはどんな状態?


妊娠しない原因のひとつに受精障害が挙げられますが、目には見えにくい分、どんな障害なのかわかりにくいのではないでしょうか。


どんな状態が受精障害で、どうすれば判明するのかについてご紹介しましょう。


 


“妊娠ができない原因は多岐にわたります。


したがって、タイミングや人工授精などの一般的な不妊治療中におこる、


「本当に卵子と精子はちゃんと出会えているのかどうか…」、「受精した卵はちゃんと成長しているのだろうか…」


などの不安は身体の中で起こっているため、あくまで推測するしかありません。


 


しかし、身体の中で精子と卵子がちゃんと出会えていなかった場合、体外受精を行い精子と卵子を出会わせることで、受精やその後の胚の発育をある程度まで確認することができます。


あるいは、精子と卵子が出会えていても受精が上手くいっていなかったのかが発覚する場合もあります。


 


このような受精障害は、体外受精を行うことで初めて診断することができ、不妊症の中には、高度生殖補助医療(体外受精)に進んで初めて原因が判明するものもあるのです。”



"また、ひとくちに受精しにくいと言っても原因はいくつか考えられます。
男性の精子側に原因がある場合、女性の卵子側に原因がある場合、両方に原因がある場合、あるいは全く原因がわからないこともあります。
"


■【医師監修】受精障害を考える



受精障害が起こる理由


受精障害が起こってしまう原因について、上の段落でご紹介した記事では次のように記載しています。
まず、男性側の原因についてです。


“まず男性側の原因として挙げられるのは、受精に関わる能力がある精子数の問題です。(中略)ただ妊娠するためには、形の良い元気よく動く正常な精子がある程度たくさんいることが、非常に重要です。


 


複数回行った精液検査の結果が、基準を大きく下回るのであれば、早いうちに顕微授精を検討した方が最終的には早い段階で妊娠・出産という結果に結びつくかもしれません。


(中略)一般体外受精や人工授精の場合には、密度勾配遠心法という方法を用いて、精液を濃縮精製しています。


 


この作業により、比重の軽い異常精子を除外し、元気よく動く正常な精子を選別します。精製前の精液検査では問題なさそうであったのに、精製後にぐっと精子数が減っていたとしたら、それは精液検査は基準値内であったけれど、正常な精子の数が少なかった、ということになります。


 


受精するために、まず精子は卵子を取り囲む卵丘細胞を掻き分けて、透明帯を貫通することが必須です。精子の運動能力が低いと、精子が透明帯を貫通できず、受精できない可能性があります。


 


また、精子は受精までに様々な因子を放出します。中でも、卵子の細胞質に接した後に因子を放出し、卵子内のカルシウムを上昇させます。カルシウムは卵子内を波状に伝播していき、卵子を活性化します。


 


このカルシウムの波は繰り返され、一定時間続きます。その間に卵子内で様々な変化が起こり、受精が完了します。これらの因子が不足していたり、全く放出できなかったりすると、やはり受精は完了しません。”


 


女性の原因は下記のようなものです。


“卵細胞質を取り囲み、保護する役割を持つ透明帯は、糖タンパク質で構成されています。これらは本人の体質や加齢等により肥厚化・硬化する場合があります。精子はその前進性でこの透明帯を突き破って受精を目指すのですが、過度に厚い・硬い透明体が受精を妨げている可能性があります。


 


また、透明帯の貫通した精子が卵細胞質に接着すると、様々な因子を放出します。そのうちのPLCζという因子は、卵細胞質内の小胞体に作用して受精を進行させていくのですが、小胞体がうまく刺激を受け取れないために受精が完了しない場合もあります。”



"以前「原因不明の不妊」「男性不妊」として受精障害についても触れた記事をまとめました。
そちらもご参考にしてみてくださいね。
"


■原因不明の不妊…理由がわかる方法は? 対策は?


■男性不妊ってなに? その症状とは



障害を乗り越えて受精をする方法は


高度不妊治療として一般化している顕微授精は、受精障害を乗り越える方法でもあるようです。その中の一つの手法はICSIと呼ばれています。


“ICSI//
Intra cytoplasmic sperm injection の略語です。


 


顕微鏡下で精子を卵細胞質内へ直接注入する卵細胞質内精子注入法です。顕微授精のひとつで、体外受精、胚移植の一環として行われる医療行為です。高度乏精子症や精子無力症、抗精子抗体陽性などによる受精障害など、体外受精による受精が難しい場合が対象となります。”



"得られた精子の中から、形態が正常で頭部に空胞のない、運動性の高い精子を1つ選び、不動化処理をした後、非常に細い二―ドルに精子を1つ吸引します。ニードルを採取した卵子の細胞膜に刺して、細胞質の中に精子を注入し、受精の開始を待ちます。"


■ICSIとは?生殖医療用語をドクターが解説 !!



また、卵子が受精しやすい環境を整える方法もあるようです。


 


“ジネコ:カルシウムイオノフォアとは、どのような治療なのですか?


 


波多野先生:「イオノフォア」とは、「素質を運ぶもの、取り込むもの」という意味で、カルシウムイオノフォアというのは、カルシウムを取り込む物質ということです。 自然な受精でも顕微授精でも、精子が卵子の中に入っていき卵の活性化が起こると、細胞分裂が始まります。この卵の活性化は、卵の細胞の中のカルシウムイオン濃度が一過性に増えることで起こります。通常は受精をすると自然に活性化が起こりますが、それが起こらない場合に、細胞内外のカルシウムイオンに変化を与えて卵の活性化を起こさせる方法です。具体的には、顕微授精をした後、培養液に薬剤を加えて数分浸し、洗い流します。他に、カルシウムイオン濃度を上げる方法として、特殊な機械を使って電気刺激を与える方法や、ストロンチウムを使う方法がありますが、カルシウムイオノフォアは最も簡単にできるということもあり、多くの施設では卵活性化をする方法として行われることが多いようです。”



"文献を見ても、顕微授精で受精しない場合は、精子の問題が大きな比率を占めているとあります。精子の卵活性化能が弱いことが原因だとしたら、カルシウムイオノフォアの効果が期待できます。治療を受ける方の身体的な負担はまったくないので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。"


■顕微授精での受精率が 悪く悩んでいます。 カルシウムイオノフォアとは?【波多野 久昭 先生】



いかがでしたか? 正しい知識は治療の第一歩です。記事の情報をご参考に、ご夫婦で対策を話し合ってみてくださいね。


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