婦人科で悩む女性をサポートするポータルサイト「ジネコ」

私は排卵障害と筋腫による不育症のため５年間の治療を受けた末、
治療を止めて妊娠にいたった者です。
現在、６ヶ月になりました。
今はお腹の子が無事に産まれてくる事だけを祈っています。

５年間の治療の中には様々な事がありました。
特に感情的な問題で今までの人生にはない劣等感を持つようになりました。
最初はただただ、子供のいる女性の対して「羨ましい」だけだったのですが

お腹の大きな見ず知らずの女性に対して勝手に「勝ち誇っている」などと
妄想を抱き、子供と遊ぶ母親の姿を見かけては涙しました。
学生時代の友人からの「出産報告」や「家族写真」のお年賀のはがきを
いただいただけで不愉快な気持ちになり、相手との連絡を絶ったことも
ありました。
同じ治療仲間が妊娠に至ると自分の事を「負け犬」と思い込み
妊娠した彼女に対して、表面上は普通に接していても心の中では
「妊娠できて私に勝ったと思っているんでしょ？」
「同情的な目をして嫌な人。私の事をバカにしているんでしょ？」
なとど思い込み、偏屈的な自分になっていました。心がすさんでいました。
余裕が無かったのかもしれません。

今回、初めての継続妊娠に至り、
「今までの自分の気持ちは一体なんだったんだろう・・・」
と思うようになり今回、投稿させていただきました。

今はただ、不安と喜びとが入り混じった気持ちだけを抱え、誰かに対して
「勝ち誇った」気持ちなんて本当に本当に皆無です。
いかに自分が妄想的だったかを知りました。そして、心から反省しています。

不妊治療は女性の心を（私だけかもしれませんが）荒んだものにします。
治療を受けるまでは「結婚したら子供が出来て当り前」の感覚だっただけに
周りからの些細な言葉を「プレッシャー」や「悪意」と思い込むような
被害妄想を抱いていました。

治療を中止したのは、夫からの要望が強かったのですが最初は諦めきれず
苦しい想いをしました。
夫でさえ「敵」に見えました。「最低な男」と罵ったり「浮気してる」と
証拠もないのにわめいたり・・・。
そんな私を夫は精神的に支えてくれましたが、夫の優しい気持ちに
気が付いたのは治療を中止して半年後でした。

夫に誘われ、海や山・・・その他、様々な場所に出かけました。
治療中は考えられない事でした。
最初は動物の親子を見ても「子供が出来る事は自然な事なのに・・・」
と涙する事もありましたが、その内に心から可愛い者に対して「可愛い」と
思うような感情が芽生えてきました。

結婚して初めて夫の甥や姪を誘ってバーベキューをしたりしました。
告白しますが、甥や姪の事を今までは「お年玉泥棒」くらいにしか
思っていませんでした。
その甥や姪がとても可愛く思えたのは初めてでした。
それまで避けていた夫の弟のお嫁さんとも仲良くなり、姑さんに対する
（些細な事ですが）愚痴を言ったり・・・。

それらと関係あるかないか分かりませんが、夫と夫婦生活を新婚の頃の
ように自然にすることが出来ました。
基礎体温も子供の事も、何もかも忘れて行為の最中、夫の事を愛しく
思うことができました。

私たちは不妊治療を始めてからセックスレス夫婦でした。
治療中、夫の事を嫌いだったわけではないのですが、子供の事にばかりに
頭が動いていて、自然にその行為を行なえなくなっていたのかもしれません。

治療を止めて、彼がいかに私の事を愛していたのかを知りました。
どれだけ、精神的な支えになろうとしていたのかを知りました。
そして、その気持ちに鈍感になり、自分の事だけを考えてばかりで
彼の気持ちを受け止めていなかった自分の愚かさを初めて知りました。

それからすぐに、
「子供だけが人生じゃない。彼と自分のために生きよう」
と決意する事が出来ました。
それまでも何度か「子供だけが人生じゃない」と考えた事はあったのですが
心の底からそんな気持ちになりなったのは初めてでした。

しばらくして、私は妊娠に至りましたが生理がとまった事を最初は
「不妊治療の後遺症」くらいに考えていました。
後から考えれば、つわりのようなものも少しはあったのですが、
まさか自分が妊娠しているなんて、つゆほども考えてませんでした。

軽い気持ちで生理がない事を私が夫に告げると、病気かもしれないからと
病院をすすめられたのですが、私は婦人科へ行く事を躊躇してしまいました。
今の幸せが崩れるのでは・・・あの時の嫌な気持ちがまた出てくるのでは？
なかなか病院に行けない私に「検診をする気持ちで病院に行ってみよう」
と夫は休みを取って病院に付き添ってくれました。

病院は今までの治療に通っていた病院とは別の病院に行きました。
結果、妊娠４ヶ月になっていました。
コップに尿を取り（多分、この時点で妊娠が判明していた？と思うのですが
何も説明を受けずに膣からのエコーを受けました。）
「おめでとうございます。ちょっと大きくなりすぎたかなぁ。
大きさからして１４，５週ってところですね。もっと早く来なきゃ・・・」
と言う内容の言葉まで聞いたのですが、その後は何を言っているのか
よくわからなくなり、「夫を呼んで下さい。」というのが精一杯でした。
また、この病院では患者もエコーを見ることが出来るのですが、せっかく
先生が説明しているのに、動揺して赤ちゃんを確認する事が出来ませんでした。
診察台をどうやっており、どうやって下着を着用したか覚えていません。

夫が呼ばれ、それでも状況がよく分からず、呆然としている私に
先生と話しながら、「ありがとうございます」と涙する夫を見て
「妊娠しているんだ」という感情が出てきて、私も涙しました。

しかし、その後「流産」の二文字が私の頭を過ぎりました。
以前、妊娠８週までは経験した事があったのですが、残念な結果に
なっていたので、そういう不安もあり、以前の病院に転院しました。

予約日に偶然、治療中に知り合った方に会い、聞かれるままに
自然妊娠した事を告げました。浮ついた気持ちで告げたわけでもなく、
流産の不安な気持ちを誰かに少しでも聞いてもらいたかった・・・。

彼女は「どこの病院行ってたの？いいわねー。」。
私が何度も「自然妊娠なのよ」と告げても信じてくれず、
最後は「私にはどうして教えてくれないの！？」と冗談と怒りが交差した
ような様子を見せ、その後、携帯に無言電話が続いています。

非通知なので彼女とは言い切れませんが、
私の携帯番号を知っている人も数少ないので・・・。

私が無神経だったと後悔してます。
勿論、彼女を傷つける気は微塵もなかったんです。

妊娠した者が、治療中の方に対して「勝ち誇っている」なんて、
もし私以外にも考えるような方がいらっしゃるのであれば、それは全くの
思い違いである事を気づいて欲しいと思います。

そして、幸せは気付いていないだけで皆に平等にあると言う事を
知って欲しいと思います。

長々と読んでくださった方、有り難うございました。
そして、読んで不愉快になった方、申し訳ありませんでした。