HOME > タイムラプスで妊娠率の向上へ
HOME > タイムラプスで妊娠率の向上へ

タイムラプスモニタリングシステム

最近、不妊治療の世界で注目を集めている技術がタイムラプスです。タイムラプスは5分毎や10分毎などの一定間隔で写真を撮影して、その写真を連続で映すことにより動画のように見る技術です。植物の成長や天体観測などの長時間かかる映像を短時間で見るためによく使われていました。タイムラプスで胚を撮影することで、今まで見ることができなかったインキュベーターの中の胚の動きを全て見ることが出来るようになり、実際の不妊治療にも使われるようになりました。

胚にやさしいタイムラプス

インキュベーターから出された胚は宇宙空間に出された人間と同じで温度も空気も全然違う環境で生命活動の危機にさらされます。なるべくインキュベーターから胚を取り出さないのがいいのですが、順調に成長しているかどうかをインキュベーターから出して顕微鏡で確認しなければなりません。インキュベーターは一回開くと温度・CO2濃度・O2濃度が変化してしまい、胚にとってよくありません。タイムラプスを使うことによりインキュベーターから出さずに胚を観察できるので、培養環境を向上させることが出来ます。

さらに詳しく胚の情報を

タイムラプスはコミュニケーションツールとしても役に立ちます。移植する胚の説明を受けるときにPC・iPadで動画を見ながら説明を聞くと胚の成長がよくわかります。凍結保存した胚を融解して移植する時にも、過去の動画にアクセスして最新の胚の選択法を利用することが出来ます。

妊娠に至るまでの時間を短縮

タイムラプスのメリットは培養環境の向上だけではありません。胚の成長をタイムラプスで調べると妊娠しやすい胚と妊娠しにくい胚の違いがわかると言われています。今までは3日目に1回、5日目に1回の計2回しか観察出来ず、非常に少ない情報で良好胚を判断していましたが、タイムラプスがあるとその何倍もの情報を得ることが出来ます。タイムラプスで胚を観察することで異常な分割や異常な成長速度の胚を見つけることが可能です。妊娠しにくい胚を移植しないようにして、妊娠しやすい胚を優先して移植することで妊娠率が上昇すると言われています。

確実な観察で妊娠をサポート

タイムラプスによる連続撮影は受精卵を空気にさらす顕微鏡観察を省けるので、胚の質を落とさずに胚移植まで培養することを可能にしてくれます。また、一番効果を発揮する利用法は、受精のタイミングをタイムラプス撮影することにより受精の見逃しを避け、確実な受精判定をすることです。 タイムラプス観察はこれまで、見ることのできなかった胚の成長を逃すことなく捉え、患者さんの妊娠により近づける画期的なシステムです。

●タイムラプスでわかる異常な分割

1 ダイレクト分割

分割は1つの細胞から2つの細胞になるのが正常なのですが、1つの細胞が3つに分裂すると胚盤胞になりにくく妊娠しづらい胚になると言われています。

●正常胚の成長
胚に2つの円形のもが現れ、中心に予っていきます。これがそれぞれ、精子と卵子由来の核です。中心で核が消失すると、細胞が2つに割れます。しばらくすると、2つの細胞は4つになります。そして細胞は8、16、と倍々形式で増えていき、桑実胚、胚盤胞へと成長していきます。

2 多核

割球には核と言われる遺伝情報が入っている細胞器官があります。 核は正常な胚では1つなのですが、2つ以上の核を持つ胚が存在し、 妊娠率に影響するという報告があります。 

3 リバース分割

一度分割した割球が融合することをリバース分割といいます。リバース分割がある胚も妊娠率が下がるという報告があります。


Page
top