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つらい吐き気を和らげたい!~つわりと栄養

コラム 妊娠・出産

つらい吐き気を和らげたい!~つわりと栄養

70~85%の妊婦が経験する、つわりによる吐き気。つわりの辛い記憶は、時として次の妊娠を躊躇させてしまうほどの大きな影響を残すこともあります。つわりによる吐き気を軽減させるために、何かできることはあるのでしょうか。栄養面からのつわり対策について、マミーズクリニックちとせの島田茂樹院長先生に、詳しくお話を伺いました。

2018.10.10

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70~85%の妊婦が経験する、つわりによる吐き気。つわりの辛い記憶は、時として次の妊娠を躊躇させてしまうほどの大きな影響を残すこともあります。つわりによる吐き気を軽減させるために、何かできることはあるのでしょうか。栄養面からのつわり対策について、マミーズクリニックちとせの島田茂樹院長先生に、詳しくお話を伺いました。



7割超の妊婦を悩ませる、深刻な「つわり」の問題


つわりの原因については未だにわかっていないのですが、吐き気を経験する妊婦は全体の70から85%にものぼります。そのうち半数が嘔吐をするという研究もあり、働いている妊婦の4分の1には仕事を休む必要も生じるようです。さらに食欲の低下も起こり、40%程度の方が普段の半分以下の量しか食べられなくなります。この状態が平均で2か月、長い方では4か月以上も続くのですから、つわりというのは妊婦にとっても周囲にとっても、大変深刻な問題なのです。


 


しかし日本には「つわりは病気ではない」と捉える文化があるため、つわりに対して特に何もせず、自然の経過に委ねる例が多く見られます。また、つわりは妊婦検診の際にも気づかれにくいもの。妊婦はお腹の中の赤ちゃんが一番心配ですから出血、お腹の痛みなどについて相談することはあっても、忙しい医師に対する遠慮もあり自分自身の吐き気や食欲の低下に関してはなかなか伝えにくいという現状があります。


 


ビタミンB6の継続摂取で、70%の方の吐き気が軽減!


このようにつわりに苦しむ方は大変多いのですが、全く打つ手がないということもありません。実は、つわりによる気持ち悪さや吐き気にはビタミンB6の摂取が有効だと結論付けた論文がありまして、それによると、300人規模での調査を行ったところ、つわりのある方にビタミンB6を投与すると、吐き気が有意に改善し、嘔吐の回数も減ったということです。


 


そうした結果を受け、アメリカでは早くからつわりによる嘔気嘔吐に対してビタミンB6の投与が推奨されています。また我が国でも、産科婦人科学会の最新の診療ガイドラインでは「悪心の緩和には、ビタミンB6を投与する」と記載されています。


 


当院でも以前、独自にビタミンB6による吐き気の軽減効果モニターテストを行ったことがあります。つわりによる吐き気を感じている20名の妊婦さんに、1日3回、5日間にわたって25mg/日のビタミンB6を経口摂取していただいたのですが、その結果70%の方に吐き気の改善が、また55%の方に食欲の改善が見られたのです。さらに嘔吐があった妊婦さんのうち63%の方で嘔吐回数が減少した事実もあります。


 


以上のことから、つわりに苦しむ妊婦はビタミンB6の摂取によって、より快適な妊娠初期を過ごすことができる可能性があると考えられます。





つわりが軽減されて、笑顔のママが増えますように。


つわりにビタミンB6がオススメだと言っても、つわりが重くなってくると、水を飲んでも吐くようになってしまい、口から摂ること自体ができなくなってしまいます。ですからまだ軽いうちに、飲みやすいサプリメントで改善を図ることが望ましいと感じます。ただしもちろん、つわりが重度(妊娠悪阻)の方は医療機関で適切な治療を受けてくださいね。


 


妊婦さんたちの多くが感じる辛いつわりを楽にしてあげることが、臨床医としての私の夢です。妊娠初期は赤ちゃんを授かった喜びを感じて、毎日を幸せに過ごしていただきたい時期。つわりが軽減されて笑顔のお母さんが増える世の中になってほしいと願います。


 


 



島田先生よりまとめ


つわりは深刻な問題であるのにも関わらず、日本では自然経過に委ねる例が多い現状があります。一方ビタミンB6を継続摂取すれば、70%の方の吐き気が軽減することが分かっています。重くなってくると口からビタミンB6を摂ること自体ができなくなりますので、まだ軽いうちに改善を図っておくことが望まれます。


 


 



お話を伺った先生のご紹介

島田 茂樹 先生


1994年北海道大学医学部卒業。富良野協会病院、旭川厚生病院、釧路日赤病院を経て、医長として倶知安厚生病院、国立函館病院に勤務後、北海道大学病院へ。2005年より米国Scripps研究所に研究員として赴任。2007年10月より北海道大学病院産科助教を務める。2010年3月、北海道千歳市で「マミーズクリニックちとせ」を開院。ひとりひとりが、自分らしい納得したお産ができるようにサポートを行い、年間約300人のお産をお世話する。日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本周産期・新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コースインストラクター、母体保護法指定医。



≫ マミーズクリニックちとせ

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