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【牛肉】太るからという理由で、避けている人も多いのでは?
太るからという理由で、避けている人も多いのでは? 牛肉基本のほ1 ┃ 基本のほ2 ┃ 基本のほ3 肉汁があふれ出る香ばしいステーキや、しゃぶしゃぶ、すきやきなど和食でもおなじみの牛肉。そのおいしさは誰もが認めるところですが、脂ののった霜降り肉をイメージして、太るからという理由で、牛肉を避けている人も多いのではないでしょうか。でも、実は牛肉には優れた栄養素が豊富に含まれているのです。牛肉について正しい知識を得て、さらにおいしく食べましょう。江戸時代、牛肉は薬として密かに流通していた!日本人が牛肉を食べるようになったのは、明治時代の文明開化がきっかけだったことは、よくご存じでしょう。飛鳥、奈良、平安と続く時代は仏教が伝来し、日本中に広く定着した時期で、殺生を嫌う仏教の影響から、たびたび食肉禁止令が出されました。仏教の影響だけでなく、禁止令の裏には、貴重な牛を保護するという目的もあったといわれています。食肉禁止令は長らく続きましたが、実は江戸時代になると、密かに牛肉が食べられていました。彦根藩では牛肉のみそ漬けが作られ、徳川将軍家に献上されていましたが、これは密かに流通していて、赤穂浪士として有名な大石内蔵助はこのみそ漬けが大好物だったとか。また、彦根藩では、牛肉に薬料を配合した「反本丸(へんぽんがん)」という丸薬も作っていました。みそ漬けも反本丸も、養生薬として利用されており、昔の人たちも体験から牛肉に優れた栄養素が豊富に含まれていることを知っていたようです。今や牛肉は〝特別なごちそう〟からヘルシーな栄養食材へ現在、日本で流通している牛肉は、国産とオーストラリア産が43%とほぼ同じシェアで、残りはアメリカ産とその他の地域という割合です。お手頃な輸入肉の普及で、牛丼やステーキ、ハンバーグなど、日本の食卓でも広く食べられるようになりました。ひと昔前までは、脂の入った牛肉を好む「霜降り信仰」が根強くありましたが、昨今の健康志向の高まりをうけ、牛肉、特に赤身肉に含まれる栄養素が見直されています。牛肉に対して「特別なごちそう」という意識が「ヘルシーな栄養食材」へと変わりつつあり、健康な食生活のなかで、牛肉に含まれる栄養素について注目が集まっています。 牛肉はとても優秀な高タンパク食品昔の人たちが滋養強壮の薬として利用していたように、牛肉には豊富な栄養分が含まれています。主な成分は脂質とタンパク質ですが、牛肉に含まれているタンパク質は必須アミノ酸のバランスがとてもよいことで知られています。内臓や血液、骨、筋肉の主成分であるタンパク質は、体の組織そのものを作る重要な栄養素です。そのタンパク質を構成するのが約20種のアミノ酸です。人間に欠かせない栄養でありながら、特に重要な9種類のアミノ酸は、体内で生成することができません。これを必須アミノ酸と呼びますが、牛肉にはこの必須アミノ酸がバランスよく含まれているのです。しかも牛肉に含まれるタンパク質は、植物性タンパク質より吸収が早く、調理による損失がほとんどありません。疲れたときや体が弱っているときに、スタミナ源として食べるには最適の食材なのです。牛肉を食べて脳を鍛えよう!優良なタンパク質だけでなく、牛肉にはほかにも注目の栄養素がたくさん含まれています。まずは、ビタミン群。牛肉=ビタミンのイメージは意外かもしれませんが、実は牛肉はビタミンB群を豊富に含んでいます。ビタミンB群は「美容のビタミン」ともいわれ、肌を健やかに保つ働きをします。顔のTゾーンは脂っぽいのに、ほかの部分は乾燥している場合は、ビタミンB群が不足している証拠です。さらに最近、特に注目されているのが牛肉に含まれるアラキドン酸です。アラキドン酸は人間の脳細胞を取り囲む、脂肪質の膜を形成する成分の一つで、アラキドン酸が減少すると、脳の働きにも影響が出ることがわかっています。脳の健康を守り、記憶力や集中力を高めるには、アラキドン酸をしっかり補充しておくことが大切。おいしい牛肉を食べて脳トレできるとは、ちょっと嬉しくなりますね。 ジネコ流豆知識世界で一番牛肉を食べる国は?答えはアメリカ、いえ違うのです。正解はアルゼンチン。国民一人当たりの年間消費量は約74㎏。アメリカが約44㎏。日本はぐんと少なく約6㎏ です。日本人の米の一人当たりの消費量が58㎏ですから、アルゼンチンの牛肉の消費量はすごい! 定番の食べ方は「アサード」と呼ばれる豪快な炭火焼きで、塩を振りかけるだけのシンプルな味つけで、牛肉本来のうまみを味わいます。牛肉の好みは各国で違う!日本ではやわらかく脂質をたっぷり含んだ霜降り肉がよく好まれますが、世界に目を向けると、霜降り肉を使う国はごく少数。欧米やオーストラリアなどでは、牛肉と言えば赤身肉の印象が強いようです。そういえば、フレンチの定番、牛ほほ肉の煮込みやウイーン名物のシュニッツェル(牛のカツレツ)も、使うのは赤身肉。日本に来て初めて霜降り肉を食べる欧米人も多いそうです。 牛肉にはこんな栄養素が含まれていますタンパク質体の組織を形成する重要な栄養素、牛肉のタンパク質は、必須アミノ酸をバランスよく含む優良なものです。鉄分血液の成分、ヘモグロビンを作るために欠かせない栄養素。体内で生成できないので、食事で鉄分を補給する必要があります。カルニチンアミノ酸から作られる成分で、余分な脂肪の分解を促進してエネルギーに変える働きをします。ダイエットに効果のある栄養素として注目されていて、牛肉でも特に赤身部分に多く含まれています。ビタミンB群糖質や脂質、タンパク質などをエネルギーに変える酵素の補酵素として働きます。ビタミンB 群が不足すると、疲れやすい、肩がこる、口内炎ができるなどの症状が現れますアラキドン酸脳細胞を取り囲む膜の成分の一つで、不足すると脳の働きにも影響が出ます。牛肉の脂質部分に多く含まれています。亜鉛新陳代謝に必要な多種類の酵素を作る重要な成分。また皮膚や粘膜の健康を維持する働きもします。亜鉛が不足すると、味覚障害が起こりやすくなります。 生殖医療IVF センター院長吉田仁秋 先生 今回、牛肉の栄養価について詳しく教えてくださったのは、仙台市にある吉田レディースクリニックの院長、吉田仁秋先生です。3 年前に産科・婦人科と施設を分け、最先端の医療を用いた不妊治療専門施設を併設。妊娠するための健康な体づくりについて、栄養面でも丁寧なアドバイスをしてくださいます。 基本のほ1 ┃ 基本のほ2 ┃ 基本のほ3 太るからという理由で、避けている人も多いのでは? 牛肉基本のほ1 ┃ 基本のほ2 ┃ 基本のほ3 肉汁があふれ出る香ばしいステーキや、しゃぶしゃぶ、すきやきなど和食でもおなじみの牛肉。そのおいしさは誰もが認めるところですが、脂ののった霜降り肉をイメージして、太るからという理由で、牛肉を避けている人も多いのではないでしょうか。でも、実は牛肉には優れた栄養素が豊富に含まれているのです。牛肉について正しい知識を得て、さらにおいしく食べましょう。江戸時代、牛肉は薬として密かに流通していた!日本人が牛肉を食べるようになったのは、明治時代の文明開化がきっかけだったことは、よくご存じでしょう。飛鳥、奈良、平安と続く時代は仏教が伝来し、日本中に広く定着した時期で、殺生を嫌う仏教の影響から、たびたび食肉禁止令が出されました。仏教の影響だけでなく、禁止令の裏には、貴重な牛を保護するという目的もあったといわれています。食肉禁止令は長らく続きましたが、実は江戸時代になると、密かに牛肉が食べられていました。彦根藩では牛肉のみそ漬けが作られ、徳川将軍家に献上されていましたが、これは密かに流通していて、赤穂浪士として有名な大石内蔵助はこのみそ漬けが大好物だったとか。また、彦根藩では、牛肉に薬料を配合した「反本丸(へんぽんがん)」という丸薬も作っていました。みそ漬けも反本丸も、養生薬として利用されており、昔の人たちも体験から牛肉に優れた栄養素が豊富に含まれていることを知っていたようです。今や牛肉は〝特別なごちそう〟からヘルシーな栄養食材へ現在、日本で流通している牛肉は、国産とオーストラリア産が43%とほぼ同じシェアで、残りはアメリカ産とその他の地域という割合です。お手頃な輸入肉の普及で、牛丼やステーキ、ハンバーグなど、日本の食卓でも広く食べられるようになりました。ひと昔前までは、脂の入った牛肉を好む「霜降り信仰」が根強くありましたが、昨今の健康志向の高まりをうけ、牛肉、特に赤身肉に含まれる栄養素が見直されています。牛肉に対して「特別なごちそう」という意識が「ヘルシーな栄養食材」へと変わりつつあり、健康な食生活のなかで、牛肉に含まれる栄養素について注目が集まっています。 牛肉はとても優秀な高タンパク食品昔の人たちが滋養強壮の薬として利用していたように、牛肉には豊富な栄養分が含まれています。主な成分は脂質とタンパク質ですが、牛肉に含まれているタンパク質は必須アミノ酸のバランスがとてもよいことで知られています。内臓や血液、骨、筋肉の主成分であるタンパク質は、体の組織そのものを作る重要な栄養素です。そのタンパク質を構成するのが約20種のアミノ酸です。人間に欠かせない栄養でありながら、特に重要な9種類のアミノ酸は、体内で生成することができません。これを必須アミノ酸と呼びますが、牛肉にはこの必須アミノ酸がバランスよく含まれているのです。しかも牛肉に含まれるタンパク質は、植物性タンパク質より吸収が早く、調理による損失がほとんどありません。疲れたときや体が弱っているときに、スタミナ源として食べるには最適の食材なのです。牛肉を食べて脳を鍛えよう!優良なタンパク質だけでなく、牛肉にはほかにも注目の栄養素がたくさん含まれています。まずは、ビタミン群。牛肉=ビタミンのイメージは意外かもしれませんが、実は牛肉はビタミンB群を豊富に含んでいます。ビタミンB群は「美容のビタミン」ともいわれ、肌を健やかに保つ働きをします。顔のTゾーンは脂っぽいのに、ほかの部分は乾燥している場合は、ビタミンB群が不足している証拠です。さらに最近、特に注目されているのが牛肉に含まれるアラキドン酸です。アラキドン酸は人間の脳細胞を取り囲む、脂肪質の膜を形成する成分の一つで、アラキドン酸が減少すると、脳の働きにも影響が出ることがわかっています。脳の健康を守り、記憶力や集中力を高めるには、アラキドン酸をしっかり補充しておくことが大切。おいしい牛肉を食べて脳トレできるとは、ちょっと嬉しくなりますね。 ジネコ流豆知識世界で一番牛肉を食べる国は?答えはアメリカ、いえ違うのです。正解はアルゼンチン。国民一人当たりの年間消費量は約74㎏。アメリカが約44㎏。日本はぐんと少なく約6㎏ です。日本人の米の一人当たりの消費量が58㎏ですから、アルゼンチンの牛肉の消費量はすごい! 定番の食べ方は「アサード」と呼ばれる豪快な炭火焼きで、塩を振りかけるだけのシンプルな味つけで、牛肉本来のうまみを味わいます。牛肉の好みは各国で違う!日本ではやわらかく脂質をたっぷり含んだ霜降り肉がよく好まれますが、世界に目を向けると、霜降り肉を使う国はごく少数。欧米やオーストラリアなどでは、牛肉と言えば赤身肉の印象が強いようです。そういえば、フレンチの定番、牛ほほ肉の煮込みやウイーン名物のシュニッツェル(牛のカツレツ)も、使うのは赤身肉。日本に来て初めて霜降り肉を食べる欧米人も多いそうです。 牛肉にはこんな栄養素が含まれていますタンパク質体の組織を形成する重要な栄養素、牛肉のタンパク質は、必須アミノ酸をバランスよく含む優良なものです。鉄分血液の成分、ヘモグロビンを作るために欠かせない栄養素。体内で生成できないので、食事で鉄分を補給する必要があります。カルニチンアミノ酸から作られる成分で、余分な脂肪の分解を促進してエネルギーに変える働きをします。ダイエットに効果のある栄養素として注目されていて、牛肉でも特に赤身部分に多く含まれています。ビタミンB群糖質や脂質、タンパク質などをエネルギーに変える酵素の補酵素として働きます。ビタミンB 群が不足すると、疲れやすい、肩がこる、口内炎ができるなどの症状が現れますアラキドン酸脳細胞を取り囲む膜の成分の一つで、不足すると脳の働きにも影響が出ます。牛肉の脂質部分に多く含まれています。亜鉛新陳代謝に必要な多種類の酵素を作る重要な成分。また皮膚や粘膜の健康を維持する働きもします。亜鉛が不足すると、味覚障害が起こりやすくなります。 生殖医療IVF センター院長吉田仁秋 先生 今回、牛肉の栄養価について詳しく教えてくださったのは、仙台市にある吉田レディースクリニックの院長、吉田仁秋先生です。3 年前に産科・婦人科と施設を分け、最先端の医療を用いた不妊治療専門施設を併設。妊娠するための健康な体づくりについて、栄養面でも丁寧なアドバイスをしてくださいます。 基本のほ1 ┃ 基本のほ2 ┃ 基本のほ3
2010.9.7
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