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コラム   >   その他医療の広場   >   「子宮内膜症」について知ろう

「子宮内膜症」について知ろう

「子宮内膜症」について知ろう

2017/9/6 水本 賀文 先生(みずもとレディースクリニック)

婦人科疾患の代表格として知られる子宮内膜症ですが、その特性や体への影響についてはよくわからないという人も多いのでは? 正しい知識を得ることは病気の予防にもつながります。長年婦人科医療に携わる水本賀文先生に、子宮内膜症について詳しく解説していただきました。

子宮内膜症はどんな病気? その原因は?

子宮内膜症は、本来子宮の中にしかない内膜組織が子宮内膜の外に有り、女性ホルモンのエストロゲンによって増殖、進行してしまう病気です。

発病する原因については、たとえば月経血が卵管からお腹の中に逆流し、そのまま定着してしまう「逆流説」、胎生期に臓器が形成される際、子宮内膜にあるべき細胞が外にこぼれ出てしまう「化生説」など、いくつか説がありますが、決定的なことはまだはっきり解明されていないのが現状です。

「どんな人がこの病気になりやすいのか」ということについてもいろいろな意見があり、ひと言で説明するのは難しいでしょう。ダイオキシンなど環境ホルモンの影響、食生活の変化、遺伝など、さまざまな観点から報告がありますが、今のところこれだというものはなく、複合的なことが要因になっていると考えられています。だからこそ、女性なら誰でもなりうる病気といっていいかもしれません。

 

少子化の影響か、罹患数は40年間で10倍に

傾向として、外来受診の数は年々増加しているように思います。総数としても子宮内膜症の患者は増えており、ここ40年間で10 倍以上の数になっているんですね。その一番の原因は少子化。

子宮内膜症は妊娠回数の多い人には少なく、生理の期間が長い人には多い病気です。多産で、ずっと生理が来ない状態の人が多かった昔は、子宮内膜症が少なかったといわれています。一方、現代では女性も仕事をする人が増えて晩婚化が進み、結婚しても子どもを産まない、または1人しか子どもを産まないというケースも増えてきました。

このような女性のライフスタイルの変化により、子宮内膜症になる人が増え、今注目すべき疾患となっているのではないでしょうか。

 

痛みがだんだん悪化するのが大きな特徴

子宮内膜症の症状として最も多いのが強い生理痛です。私の印象としては子宮内膜症の半数以上の患者さんは生理時に痛みを伴っているようです。

生理痛自体は子宮内膜症ではない人でも多少経験されると思いますが、その痛みが年を追うごとにひどくなってくるのがこの病気の大きな特徴です。

また、子宮内膜症になると周囲の大腸などの臓器との癒着を起こすので、子宮を動かすような動作をした時にすごくつらい。生理時だけでなく、性交や排便時にも強い痛みが起こります。

 

卵巣にできた内膜症は「ガン化」に注意を

子宮内膜症を放っておくと進行して痛みがさらに強くなりますが、それ以外に女性の健康を脅かすものとして注意しなければならないのが「ガン化」と「不妊」です。

子宮内膜症が卵巣内にできると、卵巣チョコレート嚢胞といわれるものになります。嚢胞の中にドロッとした古い血液がたまっていくのですが、月経とは異なり、排出される場所がないため、どんどんたまる一方になります。これが進行して卵巣の嚢胞が破裂し、お腹の中に血液を含む内容液が少量でも漏れると、激痛を伴う強い腹膜炎を起こします。

また、5cm以上など、ある程度の大きさになるとガン化することも。普通の女性が卵巣ガンになる確率は0.08%程度ですが、卵巣チョコレート嚢胞がガン化する確率は0.8%と、約10倍にリスクが高まってしまいます。

更年期世代になって生理の回数が減ることで痛みは軽減されていきますが、ガンのリスクは続きます。卵巣にチョコレート嚢胞を持っている人は安心せず、40代以降になっても定期的なチェックをしていただきたいですね。

 

ごく初期でも不妊症の原因になることも

そして、もう1つの心配な要素は不妊症。女性不妊症の人のうち約3割は子宮内膜症を持っているといわれています。

病気の進行具合にかかわらず、骨盤の中に少しでも病変があると、腹水などがたまってその中の成分が変わり、免疫のバランスを変化させてしまうんですね。そうすると、卵が卵管に到達するまでの間につぶされて、受精はおろか妊娠を成立させることができない。痛みのない初期の子宮内膜症でも、不妊症になる可能性があるといわれているのです。

 

生理痛がある人は一度婦人科の受診を

診断方法は基本的には問診と内診になります。「生理痛や性交痛がないかどうか」などのお話を伺い、必要であれば内診で子宮を動かして、動かないようなら子宮内膜症を疑います。

治療の方法やスピードについては病気の進行状況と、「すぐに妊娠を望む・望まない」などその方の人生計画によって、お一人おひとり異なってきます。

たとえば、卵巣チョコレート嚢腫で卵巣が腫れているようならすぐに手術が必要ですし、嚢胞が小さくて今は妊娠を望んでいないという場合は定期的に診察しながら様子を見ていき、ホルモン治療やピル治療で長期的に進行を抑える治療をしていく……など。

早く発見して早く治療を開始すれば不妊症やがんを防ぐことができるので、生理痛があるという人は、一度レディースクリニックを受診していただきたいですね。すぐに検査や治療を開始せず、最初は相談だけでも構いません。

また、ご自身では基礎体温の計測をおすすめしたいですね。月経周期のバイオリズムから子宮内膜症や不妊症、感染症などの婦人科疾患がわかることもあるので、結婚前の方でも習慣にしていただきたいと思います。

 

 

お話を伺った先生のご紹介

水本 賀文 先生(みずもとレディースクリニック)

防衛医科大学校卒業。防衛医科大学校医学研究科(大学院)在学中には、ドイツハンブルク大学付属研究所に留学。自衛隊中央病院産婦人科勤務を経て、2014年みずもとレディースクリニックを開院。「クリニックがある世田谷・三軒茶屋は、総合病院を含め、産婦人科専門医として30年近く勤務してきた愛着のある街。これからも地域で生きるすべての女性の健康に携わり、地域医療に広く貢献していきたいと考えています」。

みずもとレディースクリニック

 

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