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多嚢胞性卵巣で卵胞がうまく育ちません。合っている誘発法は?

コラム 不妊治療

多嚢胞性卵巣で卵胞がうまく育ちません。合っている誘発法は?

「自然周期法」、実際にはどんな治療になるのでしょうか。自分に合う誘発法を知るためにもしっかり理解しておきましょう。

2016.6.10

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体外受精の第一ステップとなる排卵誘発。
いろいろな方法があるなかで、なんとなく体にやさしいそうな響きの「自然周期法」。
実際にはどんな治療になるのでしょうか。自分に合う誘発法を知るためにもしっかり理解しておきましょう。


自然周期法CASE3


多嚢胞性卵巣で卵胞がうまく育ちません。合っている誘発法は?



≫ Millさん(30歳・会社員)からの相談
多嚢胞性卵巣と男性不妊のため、IVFで治療中です。1回目はセロフェンⓇとフォリスチムⓇによる誘発(準自然周期)で10個採卵。未成熟卵や変性卵が多く、受精したのは2個のみで、1個は分割スピードが遅くて破棄、残りの1個を移植するも陰性でした。2回目の採卵に挑戦する予定で、フェマーラⓇとゴナールエフⓇ、フォリスチムⓇで誘発していましたが、周期17日目でまだ8mmと卵胞が育たず、キャンセルになりそう。私のような多嚢胞性卵巣の場合、自然周期と高刺激、どちらの方法がいいのでしょうか。可能であれば、自然に近い形で誘発したいと思っています。




多嚢胞性卵巣の場合は、自然な排卵の見極めが困難



自然周期採卵についてご説明いたします。この方法はその名前の通り、自然の排卵に合わせて採卵する方法のこと。薬を使わず、完全に自然な形で採卵する場合は、月経周期や排卵周期が順調な人に限られてくると思います。Millさんは多嚢胞性卵巣ということですが、排卵障害の程度が軽く、35日など比較的早めに排卵するタイプであれば完全自然周期採卵の対象になるかもしれません。しかし、注射を何回しても反応しにくく、排卵までの期間が長い。Millさんの場合はやはり、自然に近い形に排卵誘発剤をプラスした低刺激法を選択されたほうがいいと思いますね。
月経周期が安定している人は排卵日や採卵日の予想がしやすいので、自然周期でも卵子が採れるチャンスを高められると思います。ところが、安定していない方は1週間とか10日とか、排卵日が毎周期大きくずれてしまうことが多い。早すぎてもダメだし、遅いとすでに排卵して採れなくなってしまうことも。卵子を採るタイミングを見極めるのが非常に難しいので、病院に来ていただく回数も増えてしまうんですね。完全自然周期採卵は体にも経済的にも負担が軽い方法ですが、患者さんの状況によってはかえって負担になってしまうこともあります。
もう一つ、悩んでいらっしゃる高刺激で卵子を採る方法ですが、薬の量を増やして強く刺激すれば卵胞が育つのは間違いないと思います。しかし、多嚢胞性卵巣の方は塩梅を誤ると卵胞がたくさんできすぎて、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクが高まってしまうことも。それが怖いので採卵日を早めに決めてしまい、結果的に未熟卵が増えて妊娠につながらないということもあるんですね。
このようなことから、Millさんの場合は、これまで実施されてきた排卵誘発剤+注射という低刺激の方法が合っていると思われます。1回目の誘発でセロフェンⓇを使って子宮内膜が薄くなったので、2回目はフェマーラⓇに変えたとのこと。文献的にも多嚢胞性卵巣の方はフェマーラⓇで妊娠に関していい成績が報告されているので、この選択は正しいと思います。問題なのは卵胞の発育が悪いということですが、これを改善するには注射をもっと細やかにコントロールすることが必要なのではないでしょうか。
単純に注射を打つだけではなく、FSHなど血中のホルモン状態をこまめに調べながら、薬が足りているのかどうかをチェックする。Millさんにとってこの量で反応するのかどうかを確認しながら、注射の量を増やすなど、うまくコントロールしていくことが大切だと思います。
30歳とまだお若いので、あえて高刺激で一度にたくさん卵子を採る必要はないと思いますね。弱めの刺激で数はあまり多く確保できなくても、質的にいい卵子が出てくる可能性は十分あると思います。





高崎ARTクリニック 堀川 隆先生

琉球大学医学部卒業。国立国際医療センター、国立成育医療センター不妊診療科勤務を経て、2009年12月より高崎ARTクリニック院長に就任。国際医療センター勤務時より内視鏡手術・生殖補助医療に従事。成育医療センターでは難治性不妊治療・加齢と不妊についての研究に取り組む。同クリニックは自然の排卵と、自然の受精メカニズムを大切にした治療を行うのがコンセプト。排卵誘発剤など薬剤の使用は必要最低限に抑え、心と体にやさしい不妊治療で妊娠率を向上させることを目指しています。

≫ 高崎ARTクリニック




 





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.30 2016 summer
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