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初めての人工授精、黄体化未破裂卵胞で排卵しませんでした

コラム 不妊治療

初めての人工授精、黄体化未破裂卵胞で排卵しませんでした

黄体化未破裂卵胞(LUF)など、排卵に問題があった場合、どのように改善したり、正常な排卵を促せばいいのでしょうか。臼井医院不妊治療センターの臼井先生に伺いました。

2010.9.7

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妊娠の可能性を高める方法の一つに卵巣を刺激して排卵を促す、排卵誘発という方法があります。
おもな方法は、患者さんの状態や治療方針に合わせて排卵誘発剤を使用するショート法、ロング法、アンタゴニスト法などがあります。
また逆に、排卵誘発を行わずに、自然排卵での治療を選ぶという選択もあります。どの方法が適しているかは患者さんによって異なりますが、医師はどのような考えをもって選択しているのでしょうか。全国の先生方にお話を伺ってきました。



ちっちさん(主婦・33歳)からの投稿
今周期、半年ぶりの診察で初めて人工授精をしました。しかし、数日後の排卵済みチェックでは排卵が確認できず(人工授精前日には排卵促進の注射もしています)、今日再度診ていただくと、やはり排卵しておらず、卵胞は46㎜にも達していました。今回は黄体化未破裂卵胞(LUF)とのことで、妊娠はないとのこと。排卵がうまくいくようにするには、どうしたらいいのでしょうか。



ジネコ:まず、黄体化未破裂卵胞(LUF)とは、どのような状態のことなのでしょうか。

臼井先生:通常、卵子が卵巣の中で育ち、十分に成熟すると黄体形成ホルモン(LH)の刺激で卵子を包んでいる卵胞が破裂して、中から卵子が飛び出します。
これが排卵なのですが、まれになんらかの原因で卵胞が破裂せず、排卵ができないことがあります。卵胞は排卵をしなくても、黄体化することによって黄体ホルモンが分泌され、高温期が続く――。これがLUFというものです。
なぜ起こるのか、その詳しい原因はまだはっきりと解明されていません。1回であれば、健康な女性でも起こりうることだと思います。
ジネコ:ちっちさんの場合、未破裂卵胞が46㎜にも達していたということですが、排卵されなかったこの卵胞はどうなってしまうのですか?
臼井先生:未破裂の卵胞はほとんどの場合、生理になったときに消えている方が多いようですね。生理が来ても残っているようでしたら、プラノバール®などを服用してリセットすることもあります。また、何个月も残って、それが新しい卵胞の成長を妨げるようであれば、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術で取り除く場合も。
しかし、そのような処置をせず、多少残っていたとしても、次の卵胞ができてくればちゃんと排卵すると思いますよ。次の周期にホルモンの値を調べて、エストロゲンが出ているようなら、その周期はリセットするようにしたほうがいいですが、エストロゲンがまったく出ていなくて、未破裂卵胞がただの嚢腫のような状態になっていれば、ちゃんと排卵するのではないでしょうか。そうなれば、また人工授精にトライすることは可能だと思いますよ。
ジネコ:LUFが起きる原因はまだはっきりわかっていないということですが、ちっちさんの場合、排卵がうまくいかないことをどのように改善していったらよいでしょうか。
臼井先生:ちっちさんは、人工授精の前日に排卵促進の注射をされたということですが、これはおそらくHCGという薬だと思います。HCGを使ってもうまく排卵しない場合、すべての方ではありませんが、LUFを起こすことがあります。もしかしたらちっちさんは、HCGによる排卵促進が合わなかったのかもしれませんね。僕だったら、次はHCGの注射ではなく、点鼻薬を使う方法をとってみると思います。その場合、卵胞ができたらエストロゲンの値とLHをチェックして、まだLHが上がっていなければ、スプレキュア®などの点鼻薬を使ってLHサージを起こし、排卵……という流れになりますね。一度トラブルが起きたり、思うような結果が出なければ、今度は違う方法にしてみる。きちんと経過をみながら、その方に合ったやり方をすれば、ちゃんと排卵される方が多いですよ。
ジネコ:ちっちさんは初回の人工授精で注射による排卵促進をされましたが、こちらのクリニックではどのような方法をとられているのですか?
臼井先生:当院の場合、最初に注射という選択はしません。まずは点鼻薬から始めます。HCGの注射を打った後でもうまく排卵されない方は、やはり、ちっちさんのように卵が大きくなってしまったり、いつまでも残ってしまう方がいるんです。
点鼻薬の場合は自然のLHサージなので、経験上、排卵の異常が起こりにくい気がします。点鼻薬でも正常な排卵が起こらなかった場合は、なぜそうなったを分析し、場合によっては次回には注射も一つの選択肢として考えていくことになるかと思います。
ジネコ:「体に対してなるべく優しい方法から始める」というのは、こちらのクリニックの方針なんですね。
臼井先生:そうですね。当院では、タイミング療法や人工授精の場合だけでなく、体外受精における排卵誘発も、体に負担をかけないようになるべく刺激が少ない方法からしていくようにしています。はじめはクロミフェンを使った低刺激法。その方法でうまくいかない方は、次はアンタゴニスト法にトライしてみる。ロング法は前の周期からと長くなりますし、卵巣過剰刺激症候群などの副作用を起こす危険性があるので、当院ではあまり行っていません。
ジネコ:ある程度刺激をしたほうが、卵子が多く採れて妊娠率が上がるのでは……?
臼井先生:よい卵が1つ採れれば受精卵を凍結して、子宮内膜をベストな状態にして戻す。そのようにすれば、最終的な妊娠率はあまり変わらないと思います。強く刺激をしたからいいというわけではなく、その方に合った方法を見つけることが大切だと思いますね。
ただし、同じことを何回も繰り返していても改善しませんから、一度うまくいかなかったら次は違う方法を試す、という柔軟性も必要だと思います。ちっちさんにも改善の余地は十分あります。担当医の先生も次の手を考えられていると思うので、2回目も前向きにトライしていただきたいですね。




臼井医院不妊治療センター 臼井 彰先生

東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。

≫ 臼井医院不妊治療センター




 





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