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自然排卵していても排卵誘発剤は必要なのでしょうか?

コラム 不妊治療

自然排卵していても排卵誘発剤は必要なのでしょうか?

どの方法が適しているかは患者さんによって異なりますが、医師はどのような考えをもって選択しているのでしょうか。全国の先生方にお話を伺ってきました。

2010.9.7

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妊娠の可能性を高める方法の一つに卵巣を刺激して排卵を促す、排卵誘発という方法があります。
おもな方法は、患者さんの状態や治療方針に合わせて排卵誘発剤を使用するショート法、ロング法、アンタゴニスト法などがあります。
また逆に、排卵誘発を行わずに、自然排卵での治療を選ぶという選択もあります。どの方法が適しているかは患者さんによって異なりますが、医師はどのような考えをもって選択しているのでしょうか。全国の先生方にお話を伺ってきました。


タイミング療法で治療中。できれば自然に妊娠したい……。自力で排卵できている場合、排卵誘発剤を使うメリットは?厚仁病院の松山毅彦先生に伺いました。



ゴマコさん(主婦・30歳)からの投稿
タイミング療法6周期目が、今日リセット。軽度の多嚢胞性卵巣症候群で、次回から排卵誘発剤を使うように言われています。5日目から飲み始める経口薬だそうですが、自力で排卵している私が、排卵誘発剤を飲んで、どのようなメリットがあるのでしょう。多胎を防ぐため、2つ以上排卵しそうなら、その周期は見送ることになるが、その可能性は低いとも言われました。排卵誘発剤の必要性について教えてください。



ジネコ:タイミング療法で治療中だそうです。自力で排卵しているゴマコさんが、排卵誘発剤を使うメリットは?
松山先生:少し難しいのですが、自力排卵していても、たまに排卵のしかたや強さに問題のある方がいらっしゃいます。採卵しても妙に数が少ない、あるいは空胞が多いなど、そういう周期を繰り返している方には、クロミフェンなどのマイルドな刺激で誘発することがあるのです。
排卵周期があるにはあるが、命令系統が弱いというのかな。脳、視床下部、下垂体、卵巣へとつながる命令が弱いということは、当然、卵巣でつくられる卵子も力が弱い。しかもタイミング療法だと、排卵後も黄体をつくって高温期を安定させなければならない。だから、そのために排卵誘発剤を使っているのかなと思います。HMG製剤では強すぎるので、クロミフェンや、よりマイルドな刺激のシクロフェニルなどの経口薬が用いられることが一般的です。
ジネコ:卵子の成熟をバックアップするために飲む薬と考えたらよいのですね。現在はタイミング療法ですが、この先はどんな治療法があるでしょうか。
松山先生:今のところ、排卵誘発剤を使うことによって、どれだけメリハリのついたよい排卵周期をつくっていけるかということが大切なのではないでしょうか。先ほど言ったように、高温期をしっかりつくっていくことが大事。それも結局、黄体形成ホルモン(LH)が、その後、持続的に命令を与えて黄体を活性化するわけだから、クロミフェンはそこまで効いていることになる。
ジネコ:排卵しているかどうかということ以上に、メリハリの利いた排卵周期であることが大切なんですね。
松山先生:これには、いろいろな考え方があると思いますが、黄体機能不全は結局、排卵までのアプローチをコントロールすることによって、かなり改善できるのではないかと私は思っています。黄体機能不全だから黄体ホルモン剤を使いましょうとか、HCG製剤を高温期に何日も注射しましょうというのは、できれば避けたいものです。
それ以前に、黄体機能が悪いということは、排卵誘発の最初の段階が問題かもしれないと考えるべきです。ただ、排卵がきちんとあるのに高温期が安定しない人はたしかにいるので、そういう時には黄体ホルモン剤も使いますが、あまり積極的には使わないですね。その前にクロミフェンやシクロフェニルを使ったほうが高温期は安定すると思います。
ジネコ:多嚢胞性卵巣の影響は?
松山先生:確かに多嚢胞性卵巣の人は排卵日が特定しにくく、高温期が不安定です。ただ、ゴマコさんの場合は軽度ということと、結果的に排卵しているので、
神経質になって治療するほどではないと思います。
ジネコ:排卵誘発剤を使うことで、複数個の排卵が起こることについては?
松山先生:移植する受精卵の数をコントロールできる体外受精と違って、タイミング療法などの一般不妊治療のほうが、双子などの多胎になる可能性が高いといえるでしょう。
クロミフェンを使って2個以上排卵する可能性は低いですが、ゴマコさんの主治医がおっしゃるように、当院でも2個以上排卵しそうな周期はタイミング指導などをキャンセルする場合があります。また「双子になる可能性もありますよ」と説明して、了解をしていただいたうえで、タイミング指導などを行っていることもあります。りおなさんの投稿がまさにそのケースです。先生が2個とも着床する可能性が低いとおっしゃった理由は、もともと多嚢胞性卵巣で排卵障害があることと、2個排卵して2個とも着床する確率は比較的低いと考えられているからだと思います。体外受精による妊娠では、ガイドラインで移植する胚の数が規制されていますが、一般不妊治療では特に取り決めがありません。どうしたら妊娠率の向上を図りながら、多胎率を下げることができるかが、我々の重要な課題でもあるのです。
ジネコ:将来的に体外受精という選択肢も視野に入れたほうがよいですか。
松山先生:体外受精をすると、卵子が受精してきちんと胚盤胞まで育つかどうか確認できるので、それもありだと思います。るまさんの投稿にもあるように、体外受精で受精卵が問題なく育つことがわかれば、今度は卵管などピックアップ機能に問題があったのだなと結果的にわかる場合もありますよね。実際、そういう方は多いです。
しかし、今のところは自力で排卵をしているようですので、クロミフェンなどで卵の成熟を助けてあげる程度がいいと思います。排卵周期をコントロールすべく、排卵誘発剤を使っていく。それでもなかなか結果が出ないということであれば、最終的に体外受精へのステップアップも視野に入れながら、治療を進めていかれてはどうでしょうか。



厚仁病院 松山 毅彦先生

東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996年厚仁病院産婦人科を開設。日本生殖医学会生殖医療専門医。

≫ 厚仁病院

 




 





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