HOME > 女性の病気 > その他 > 知っておきたい、妊娠と骨盤の関係
HOME > 女性の病気 > その他 > 知っておきたい、妊娠と骨盤の関係

知っておきたい、妊娠と骨盤の関係

インタビュー 女性の病気

知っておきたい、妊娠と骨盤の関係

女性にとって、特に出産で大きな役割を果たす骨盤。そもそも骨盤の仕組みや機能ってナニ? 原点に戻って、LUNA骨盤底トータルサポートクリニックの中村綾子先生にお話を伺いました。 

2018.3.30

あとで読む

男性と女性とでは、構造が異なる?




骨盤は身体の中心にあり、上半身と下半身をつなぐという大きな役割を担っています。歩く際に脚に受ける衝撃を吸収して、背筋や股関節と連動して歩行スムーズにし、座る際にも上半身を支えます。


 


実は「骨盤」という名前の骨はありません。骨盤はいくつかの骨と筋肉や靭帯(じんたい)などによって構成されています。大きく分けると左右の寛骨(かんこつ)、仙骨、尾骨から構成されていて、このうち最も大きな寛骨は、腸骨・恥骨・坐骨から成り立っています。そして、この骨盤に守られるようにして、膀胱、直腸、子宮、腟といった臓器と、それぞれをつないで支える骨盤底筋群や靭帯などがあります。


 


もちろん男性にも骨盤はありますが、思春期を過ぎると性差によって形の違いがはっきりしてきます。上から見ると、女性の骨盤がそら豆のように横に幅広い楕円形であるのに対し、男性の骨盤は横幅が短いハート型をしています。女性の骨盤は妊娠・出産に備え、もともと骨盤腔(※こつばんくう、骨盤で囲まれた空間)が広いという特徴があるのです。


妊娠による、骨盤の変化とトラブル


本来は、骨盤の骨と骨は靭帯によってしっかりとつながれています。しかし、女性は妊娠するとリラキシンというホルモンが分泌されます。このホルモンには靭帯をゆるめる働きがあり、靭帯が伸びることによって骨盤が徐々に開き、胎児が大きくなるのを妨げません。赤ちゃんの通り道である産道も広げ、出産準備もすることができるのです。リラキシンは、妊娠初期に多く分泌され、産後の数日間まで分泌されると言われています。


 


妊娠中に靭帯が伸びるのはわずか1㎝ほどなのですが、この時に痛みを感じる妊婦さんも少なくありません。靭帯がゆるむことで、骨盤が不安定になるのが原因と考えられます。また、胎児の重みがかかると骨盤底筋が下垂し、そのために膀胱が圧迫されるため、妊婦さんの約6割が、頻尿や尿漏れなどのトラブルを経験します。


 


これらの対処法としては、まずは正しい姿勢を保持することが第一です。妊娠中は、胎児の重さでどうしても前傾姿勢になりがちなのです。また、インナーマッスルをきたえることも、痛みや尿トラブルの軽減に役立ちます。当院では、安定期に入った妊婦さんにはインナーマッスルや骨盤底筋をきたえるエクササイズなどを指導しています。骨盤が不安定で痛みが生じる場合には、骨盤を支える医療用ベルトなどを利用してもいいでしょう。


妊娠だけではない、骨盤トラブルの引き金


骨盤は骨だけでなく、筋肉や靭帯も重要な働きをします。骨盤内には、最も深いところに「骨盤底筋」というハンモック状に張りめぐらされた筋肉群があります。これがゆるむと、骨盤内にあるべき膀胱、直腸、子宮、腟といった臓器を支えきれず、下垂してしまいます。子宮の重みで膀胱が下がり、その膀胱の重みで腟が下がって外に出てきてしまうといったことも起こります。


 


骨盤底筋のゆるみは妊娠だけではなく、腹圧がかかるものすべてが引き金になります。しゃがむ姿勢を多くくり返し、重い物を持つなどの作業が多い農業従事者や介護のお仕事の方、くしゃみ、せきをともなう花粉症や喘息患者、便秘、肥満、加齢も骨盤底筋にダメージを与えます。また、因果関係までは解明されていませんが、喫煙者も骨盤底筋がゆるみやすい傾向にあることがわかっています。


ゆるんでしまった骨盤底筋はどうしたらいい?


骨盤底筋は、きたえることが可能です。肛門や腟を引きしめるイメージでギュッと負荷をかけるエクササイズが有効ですが、意識しにくい筋肉ですので、専門医、理学療法士、看護師から正しい指導を受けると確実です。当院からも骨盤底筋トレーニングのDVDを出していますが、実際は残念ながらきちんとできていない方が多いのです。


 


きちんと負荷がかかっているかを確認して確実なエクササイズを行うために、指導の際に当院では女性理学療法士が腟に指を入れてチェックします。1度コツを覚えればどこででもできるので、まずはしっかりと覚えていただきたいですね。フランスやオーストラリアでは、妊婦、産褥婦への骨盤底筋体操指導が広く普及しているので、日本でも広がってくれたらと思います。また、日本の女性も恥ずかしがらずに積極的に指導を受けてほしいと考えています。


 


「骨盤矯正ベルト」といったダイエット目的の商品も少なくありませんが、正しい知識で開発されているのか疑問を抱く商品も多くあります。骨盤は、ただ“締めればいい”というものではありません。「姿勢よく」を意識するだけで、シェイプアップ効果も、骨盤底筋強化も、ある程度は可能だと思います。


 


加齢などが原因で、エクササイズだけでは改善できない場合は、レーザー治療などで骨盤底筋の組織を若返らせることもできます。骨盤底筋のおとろえによる頻尿・尿漏れなどは、まずは泌尿器科や婦人科の医師に相談してみてください。


お話を伺った先生のご紹介

中村 綾子 先生(LUNA骨盤底トータルサポートクリニック 院長)


日本泌尿器科学会専門医。キレーション治療認定医。2007年横浜市立大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター臨床研修医を経て、2009年横浜市立大学泌尿器科病態学に入局。みなと赤十字病院、横浜市立大学附属病院、藤沢市民病院勤務を経て、横浜保土ヶ谷中央病院に勤務。2017年より、LUNA骨盤底トータルサポートクリニック院長就任。同院は、日本では、まだ少ない尿失禁の先進手術法「TFS」を採用し、かつ、女性スタッフのみによる女性専門の泌尿器科で、日々全国から患者さんが訪れている。

≫ LUNA骨盤底トータルサポートクリニック

image


あとで読む

この記事に関連する記事

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top