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乳がんで手術を受けた後はどうなる? 治療法と再発のリスクについて

インタビュー 女性の健康

乳がんで手術を受けた後はどうなる? 治療法と再発のリスクについて

11人に1人の女性が乳がんになる時代です。そこで、治療方法と気になる再発(転移)のリスクについて知っておきましょう。ピンクリボンブレストケア表参道クリニックの島田菜穂子先生にお話を伺いました。

2018.6.5

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早期発見なら治る確率は高く、治療の選択肢も広がる




乳がんにかかる人は多くなっている傾向にあり、今や「電車で隣に座っている人が乳がんだった」というくらいの頻度で増えています。
増えてはいますが、早期発見であれば治る確率、10年後の生存率はとても高いのが乳がんの特徴です。


がんが発生した乳腺内にだけがん細胞がみられる「ステージ0期」の場合の10年生存率は95%以上です。


しこりが2cm以下でわきの下のリンパ節に転移がみられない「ステージⅠ期」でも10年生存率は89%です。
ステージ0期、Ⅰ期のように、がん細胞が乳房の局所だけにとどまっている時に治療を始めれば、乳がんで命を落とす危険は極めて低いといえます。


しこりが2cm以上や、2cm以下でもわきの下のリンパ節に転移があるのが「ステージⅡ」は78%、しこりの大きさが5.1cm以上でわきの下のリンパ節に転移がある、もしくはしこりの大きさは関係なくわきの下のリンパや鎖骨などに転移がある「ステージⅢ」だと約50%になります。


しこりの大きさは問わず乳房から離れた臓器に転移がある「ステージⅣ」になると約25%と、ステージが進むにつれて10年生存率はどうしても低くなります。
そのため、がんを早い段階で診断し、早めに治療することが大切です。
では、現在は乳がんに対してどんな治療法があるのでしょうか。


 


治療方法は大きく分けて「局所治療」と「全身治療」の2つ


がんになった乳房そのものに対する治療が「局所治療」にあたり、主となるものが手術です。また、補助的に放射線治療が行われる場合があります。


がんが進行すると乳管や、乳管の元にあって乳汁を作り出す役割を担う小葉の膜を破ってがん細胞が外に出てしまい、乳房の健康な組織を壊したりします。


さらに進行すると、リンパ管や血管に入り込み、その流れにのって肺をはじめとする他の臓器にがんが転移してしまい、乳房以外の場所で再発(転移)する可能性もあるのです。


そういったケースに備えるために、手術などの局所治療で乳房の悪い部分を取り除いた後、全身治療として抗がん剤や女性ホルモンを抑える薬などを全身にいきわたらせることで転移や再発を防ぐようにします。


ステージ0期であれば、転移の可能衛はほぼないため「部分治療」である手術のみで、全身治療の組み合わせは必要なく、術後は定期検診のみで経過を診ることが多いです。


 


治療中は適度な運動と規則正しい食生活を心がける


がんの治療中や治療後には、適度な運動を心がけることが大切です。一部の研究結果では運動習慣のある人は、特に閉経後の乳がん発生のリスクが低いだけでなく、乳がんになった場合の再発や死亡のリスクも低いといわれています。


また、「大豆製品や乳製品を食べると再発しやすい」と思っている方がいますが、一概にはいえません。大豆食品などによるイソフラボンなどの摂取が、乳がん発症や再発のリスクを軽減させる報告もあります。


女性ホルモンを抑制する治療の最中にはサプリメントなどでの過剰なイソフラボン摂取は注意が必要な場合がありますが、一般的にはバランスよく食事で摂取する大豆製品は、むしろ乳がん発症や再発予防に効果があることが示唆されています。乳製品についても、適切な摂取量であれば再発リスクにはまったく関係がないといわれています。


極端に特定の食材だけを除去したり、逆に過度に食べてしまったり、サプリメントから特定のビタミンやミネラルを大量に摂取するのは禁物です。できるだけバランスの良い食事を美味しく楽しんで食べるよう心がけてください。


また、ストレスをためないことも再発のリスクを下げると考えられています。趣味を楽しむのもいいでしょう。


乳がんになったからといって何かを極端に我慢したり、強制することはありません。心地良い環境で、規則正しい生活を送ることが大切といえます。


 


がんになったらまず「自分の希望」を整理


さきほども述べたように、乳がんと言ってもさまざまな性質があります。また、乳がんになる方のライフスタイルによっても、治療で優先されることが変わってきます。まさに個別化医療が乳がんの治療の分野では進んでおり、治療方法も多様化しています。


治療方法や遺伝子などの研究も目覚ましいスピードで進化しており、薬物療法で使う薬も、がんの再発を促進する女性ホルモンを抑えるホルモン剤をはじめとして、がんのタイプ別にさまざまなものが開発されています。


なかにはがん経験者の方の「この薬を使ったらがん細胞が小さくなり効果があった!」という意見や体験談を、今後の治療方法の参考にしようと考えている方もいるかもしれません。
しかし、まず乳がんそのものの性質は人によって大きく異なります。また、治療を受ける方の価値観やライフスタイルにより、最適な治療はそれぞれ違います。ほかの方の体験談や情報も大変参考になりますが、誰一人まったく同じ治療というのはないのです。


したがってネットの情報や人の話だけに右往左往するのではなく、ドクターの診断を受けたら、自分にとって最良の治療方法を一緒に考えていきましょう。


その際に不可欠なのは、患者さんご自身の大切にしたいことはなにかを表明するためにも、自分自身の気持ちや希望を見直すことです。「これからどんな生活をしたいか」「何を優先した治療をしたいか」を自分の中で整理してみてください。
「治療後に子どもを産みたい」「仕事はできるだけこのまま続けたい」「治療費用はなるべく抑えたい」など、ご自身の希望によっても、治療方法の選択肢は変わってきます。
もちろん、病状やがんのステージや性質、年齢(閉経前か後か)によって希望が通らないこともあります。


ただ、自分の意思を整理してそれを医師や医療スタッフに伝えることで、ご自身の希望が実現できるか否か、希望に近い形にするためにどうしたらいいか、などをともに考えてもらうことができます。


 


家族や勤務先とのかかわり方に悩んだときも相談を


がんになってしまった場合、また再発をしてしまったとき「家族、とりわけ子どもに言いづらい」「まだ働きたいけれど、無理なのかな」と悩んでしまう人も少なくありません。そんなときも、まずはかかりつけの医療施設に相談してみてください。


医療施設にもよりますが、乳がんの治療を行っている医療施設では専門的なアドバイスができる認定看護師やソーシャルワーカー、社会福祉について詳しい専門スタッフが相談に乗ってくれることがほとんどです。また専門のスタッフが常駐していないところでも、相談できる機関を紹介してくれるでしょう。


あるいは、最近ではピンクリボンアドバイザーという特定の知識を持ち、経験を積んだボランティアの方も多く誕生しています。全国には現在7000名近くのピンクリボンアドバイザーがいますので、家族とのコミュニケーションのこと、生活のことなどさまざまなアドバイスが聞けます。


 


勤務先で産業医や産業看護師がいるところなら、今後の働き方や上手な休暇の取り方など、治療と仕事を両立させるためのノウハウを教えてくれます。


規模の小さい勤務先で産業医などが常駐していない時には、衛生管理を担当する上司に相談したり、地域の保健センターにアドバイスしてもらうことも可能です。


大切なのは、気になっていることを1人で悩みを抱え込むのではなく、ささいなことでもかかりつけの医療施設や勤務先の担当者、保健センターなどに相談することです。 それが、ご自身の希望する治療や生き方の実現につながっていきます。


 





島田先生より まとめ



『年に1回の乳がん検診は忘れずに受診してください』
「乳がんになったら今まで通りの生活ができない」と考えている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
早期発見できれば治療の選択肢も大きく広がり、治る確率も高くなります。女性は周りの大切な人の健康を気づかうことがあっても、自分のことは後回しにしがちです。早期発見のためには、まずはご自身を大切に思う時間を作ること、年1回の乳がん検診を受診することが大切。家族や自分の未来のためにも忘れずに受診してくださいね。





お話を伺った先生のご紹介

島田 菜穂子 先生(ピンクリボンブレストケア表参道クリニック 院長)


放射線専門医 マンモグラフィ認定医(A判定)日本乳癌学会認定医 日本がん検診診断学会認定医 産業医 健康スポーツ医 日本体育協会認定スポーツドクター NPO法人乳房健康研究会副理事長
筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学附属病院放射線科、東京逓信病院放射線科医長1992年同院で乳腺外来を開設。フランス、アメリカへ留学。帰国後も放射線科で診療する傍ら、2000年乳がん啓発活動を行う日本初の認定NPO法人乳房健康研究会を発足、講演や出版イベント開催等ピンクリボン活動を展開。2008年3月ピンクリボンブレストケアクリニック表参道を開院。ホノルルマラソン3回完走、週一回の休日もスポーツやトレッキングといったアウトドアを楽しむなどスポーツ好きの一面も。


≫ ピンクリボンブレストケア表参道クリニック

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